患者さんと向き合う医療者・医療系学生に不可欠なPOS,なかでもSOAPを正しく理解して身につけるためのノウハウをこの一冊に凝縮.これで実務に自信がつく!
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目次
はじめに
著者紹介
第Ⅰ章 POSを正しく理解しよう
1 POSとは考え方である
a Problem Oriented System
b POSは“プロブレムごと”に考えるもの
c POMRの考え方
d POSの基本精神
2 SOAPとは何か
a SOAP
b SとO
c AとP
d SOAPのどこが優れているのか
3 クラスタリングがPOS理解の要である
a クラスタリング
b クラスタリングと分類は違う
c 常にクラスタリングを意識しよう
4 プロブレム
a プロブレムとは焦点をあてたところ
b プロブレムを概念として捉える
c 必ずプロブレムネーム(タイトル)をつける
d プロブレムリスト
5 オーディットを必ずやろう
Review解答
第Ⅱ章 SOAPをモノにしよう
A SOAP遊びをやってみよう
1 SOAPをモノにするにはSOAP遊びが一番
a SOAP遊びは初学者にとって必須の練習
b POSの基本も学ぶことができる
2 SOAP遊びとは何か
a SOAP遊びのやり方
b プロブレムネーム(タイトル)のつけ方
3 SOAP遊びによる効果
a SOAP分析の能力が身につく
b SOAPがどこで完成なのか,そのバランス感覚が身につく
c 入手しなければSOAPが完成しない情報がある
d 違う情報に出会ったらそれまでの想定は捨てる
4 SOAP遊びを行ううえで気をつけること
a 症例に基づいたSOAPで練習しない
b 実現不可能なプランを立てない
c 後ろ向きのプランで終わらせない
d 必ず後からタイトルをつける
e 長くなっても詳しいタイトルをつける
f 必ずチェックをする
g SとOはあまり厳密に区別しなくてもよい
5 効果の高い練習方法
a 200個くらい作ってみるとよい
b 人に読んでもらう
c 仲間と一緒に始める
B SOAPのバランス
1 SOAPのつじつまを合わせる
a 全体的にバラバラなSOAP
b プロブレムの設定があいまいなSOAP
c 情報が足りなくて成立していないSOAP
d そのプロブレムに関係のない情報が含まれているSOAP
e 情報が取捨選択されていないSOAP
f 必要な情報が足りないSOAP
g ほかのプランも成り立ってしまうSOAP
h タイトルがSOAPと合っていない
2 SOAPのチェック
a SOAPのつじつまが合っているかをチェックする
b タイトルとSOAPのバランスをチェックする
3 いろいろ入れ換えてみて変化を学ぶ
a O情報の変化によってプランが変わってくるSOAP
b OとAを入れ換えてみる
c SとOを入れ換えてみる
第Ⅲ章 勉強会の実際
A 勉強会の開き方
1 少人数での勉強会
a 食事会や茶話会をかねて
b 少人数でのやり方(1グループのみで行う場合)
c わかったことを意識して定着させる
2 多人数での勉強会
a 事前に基本的な学習は済ませておく
b グループワーク成功のための準備
c グループワークを行ううえでの注意点
d 全員でSOAPを書いてみる
e ワークに用いるSOAPをグループで一つ選ぶ
f 選んだSOAPをいろいろ作り変える
g グループごとに,話し合った内容を発表
h 全体ディスカッション
i 学びを振り返る
B 勉強会の実際
Index
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序文
はじめに
本書は,POSを理解するにあたっての基本中の基本とでもいうべきSOAPに焦点をあて,誰もが自信をもってSOAPを書けるようになることを目指して編まれたテキストです.英語を学ぶにはまず始めにアルファベットを学ぶように,POSを学ぶにあたっては,このSOAPをしっかりと理解し,感覚として身につけていただきたいのです.本書には私が長年薬剤師のPOS教育に携わってきた経験から得られた様々なノウハウが詰まっています.最前線で活躍されている皆さんにも,未来を担う学生の皆さんにも,そして施設の中で指導的立場にいるベテラン方にも,きっと役に立つであろうことを確信いたします.
本書の冒頭で述べているように,POSは考え方です.そしてSOAPを分析ツールとして捉えることにより,考え方としてのPOSをより深く理解できるようになります.さらにプロブレムやクラスタリングなども含めたPOSの基本的な考え方を,実際の業務で役に立つように本当の意味で身につけるためには,分析ツールとしてのSOAPを,感覚として捉えられるくらいしっかりとモノにする必要があるのです.SOAPを「バランス感覚」で捉えられるようになったとき,あなたの頭の中にPOS的思考回路がきっとできあがっていることでしょう.
現状,業務において記録の方式としてPOSを取り入れている施設は多いと思います.当然その場合,日々の記録はSOAPで書いているはずです.しかし,実務においてSOAPを用いていながら,「本当にこれでいいのだろうか」「何かもう一つスッキリしない」と感じている方が以外に多いのではないでしょうか.POSの考え方やその理念は,実務に活かしてこそ役に立つのであり,決して机上の空論や観念論ではないのです.そのためにはSOAPを自分で書いて,「自信をもってこのSOAPでOKだと思える」ことが大事なのです.
本書は,これからPOSを学ぶ初学者はもちろん,すでに業務においてPOSを行っている,薬剤師,看護師,管理栄養士,その他様々な職種の医療者の皆さんに,もう一度SOAPの本質を学びつくしていただくための最適なテキストであると自負するものです.本書を手に取ってくださった皆様が,SOAPをしっかりとモノにして,POSを業務の中で存分に使いこなしていただけることを強く願う次第です.
2010年3月
岡村祐聡