小児栄養消化器肝臓病学診断と治療社 | 書籍詳細:小児栄養消化器肝臓病学
日本小児栄養消化器肝臓学会 編集
初版 B5判 560頁 2014年10月17日発行
ISBN9784787821102
定価:14,300円(本体価格13,000円+税)冊
日本小児栄養消化器肝臓学会が総力をあげて作成した学会編の教科書.口腔・食道・胃・腸・肝臓・胆道・膵臓から栄養領域,また成人期へ移行する慢性疾患など,非常に幅広い領域にわたる小児の消化器疾患を網羅し,各領域のエキスパートたちが執筆.小児栄養消化器肝臓病学をこれから学ぶ若手医師のみならず,小児外科医,内科など小児の診療に携わる医師必携書.
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目次
口 絵
資料1 便色カード
刊行にあたって 玉井 浩
序 文 松井 陽
執筆者一覧
総 論
A 発生と機能
1 消化管 清水俊明
2 肝・胆・膵 須磨崎 亮
B 症 候
1 嚥下障害 工藤孝広
2 嘔 吐 世川 修
3 食欲不振 名木田 章
4 下 痢 豊田 茂
5 便 秘 羽鳥麗子
6 腹 痛 藤澤卓爾
7 吐下血 松村成一
8 腹部膨満,腹部腫瘤 秋山卓士
9 黄 疸 須磨崎 亮
10 肝腫大 窪田 満
11 脾腫大 髙野智子
C 検査手技
1 単純X線検査 野坂俊介
2 消化管造影検査 野坂俊介
3 腹部超音波検査 余田 篤
4 腹部CT検査 宮坂実木子
5 MRI,MRCP 河野達夫
6 腹部血管造影検査 野坂俊介
7 シンチグラフィ 持田郁子
8 PET 河野達夫
9 内視鏡検査 中山佳子
10 便潜血検査 佐々木美香
11 便培養 岡田和子
12 消化吸収試験 惠谷ゆり
13 一般肝機能検査 衞藤 隆
14 腹水検査,腹腔鏡検査 古川泰三
15 肝生検 乾 あやの
16 膵機能検査 栁 忠宏
17 腫瘍マーカー 木下義晶
18 病理検査 鹿毛政義
19 遺伝子検査 須磨崎 亮
D 栄 養
1 疾患病態と栄養 土橋一重
2 微量ミネラル 児玉浩子
3 食事摂取基準 瀧谷公隆
4 栄養評価法 髙谷竜三
5 食 育 玉井 浩
E 治療手技
1 小児の輸液療法 北村知宏
2 栄養療法
1)静脈栄養 東海林宏道
2)経腸栄養 神保圭佑
3 その他
1)胃管・イレウスチューブ挿入 靍 知光
2)内視鏡的治療
a.経皮内視鏡的胃瘻造設術(PEG) 村越孝次
b.内視鏡的静脈瘤治療法 田川 学
c.内視鏡的バルーン拡張術 横山孝二
d.消化管異物除去 萩原真一郎
e.内視鏡的ポリープ切除術 石毛 崇
3)血漿交換,血液浄化療法 虻川大樹
F 移 植
1 肝移植 笠原群生
2 小腸移植 和田 基
各 論
A 口 腔
1 舌小帯短縮症 世川 修
2 口唇裂,口蓋裂 金子 剛
3 口内炎,鵞口瘡 瀧谷公隆
4 唾液腺疾患 河島尚志
B 食 道
1 先天性食道閉鎖・狭窄症 漆原直人
2 食道アカラシア,びまん性食道けいれん 川原央好
3 胃食道逆流症,食道裂孔ヘルニア 位田 忍
4 好酸球性食道炎 山田佳之
5 Mallory-Weiss症候群 財前善雄
6 食道・胃静脈瘤 田川 学
C 胃
1 胃軸捻 井上幹大
2 急性胃拡張 八木 実
3 新生児胃破裂 松藤 凡
4 肥厚性幽門狭窄症 前田貢作
5 急性胃炎,慢性胃炎 日高奈緒
6 胃・十二指腸潰瘍 今野武津子
7 Helicobacter pylori感染症 加藤晴一
D 腸・肛門
Ⅰ.解剖学的異常・通過障害
1 先天性十二指腸閉鎖・狭窄症 黒田達夫
2 先天性小腸閉鎖・狭窄症 中原さおり
3 腸回転異常症,内ヘルニア 濵田吉則
4 消化管重複症,Meckel憩室,その他の臍腸管遺残 光永哲也
5 直腸肛門奇形 渡邉芳夫
6 イレウス 増本幸二
7 上腸間膜動脈症候群 内田恵一
Ⅱ.消化管感染症
8 ウイルス性胃腸炎 柏木保代
9 細菌性腸炎 田尻 仁
10 虫垂炎 渕本康史
11 寄生虫 熊谷秀規
12 偽膜性腸炎 西亦繁雄
13 腸結核 工藤孝広
Ⅲ.炎症性腸疾患と関連疾患
14 Crohn病 新井勝大
15 潰瘍性大腸炎 牛島高介
16 分類不能型炎症性腸疾患 米沢俊一
17 腸管Behçet病,単純性潰瘍,非特異性多発性小腸潰瘍症 石毛 崇
Ⅳ.機能性消化管疾患
18 周期性嘔吐症候群 奥田真珠美
19 過敏性腸症候群,反復性腹痛症 中山佳子
20 慢性機能性便秘症 友政 剛
21 Hirschsprung病 田口智章
22 Hirschsprung病類縁疾患 田口智章
23 small left colon syndrome,胎便性イレウス 渡邉芳夫
Ⅴ.消化・吸収の異常
24 吸収不良症候群 永田 智
25 乳糖不耐症 藤井 徹
26 難治性下痢症 永田 智
27 短腸症候群 金森 豊
28 蛋白漏出性胃腸症,Ménétrier病 藤武義人
Ⅵ.その他の小腸・大腸疾患
29 壊死性腸炎 大塚宜一
30 腸重積 岡田忠雄
31 肛門周囲膿瘍,痔瘻,痔核 岡田忠雄
32 粘膜脱症候群 山田寛之
E 全身疾患の消化管病変・その他の消化管疾患
1 食物アレルギー:IgE依存性アレルギー 永田 智
2 食物アレルギー:新生児-乳児消化管アレルギー,好酸球性胃腸炎 野村伊知郎
3 免疫不全症の消化管病変 大塚宜一
4 消化管移植片対宿主病 鍵本聖一
5 IgA血管炎(血管性紫斑病)の消化管病変 青松友槻
6 Münchhausen syndrome by proxy 奥山眞紀子
7 ポリープ,ポリポーシス 岩間 達
8 その他の良性・悪性腫瘍 窪田正幸
9 消化管異物(胃石,腐食性誤飲含む) 萩原真一郎
F 腸間膜・腹壁疾患
1 腸間膜囊腫,大網囊腫 金森 豊
2 腸間膜リンパ節炎 岡島英明
3 腹膜炎,乳び腹水 中原康雄
4 横隔膜ヘルニア 臼井規朗
5 鼠径ヘルニア,腹壁ヘルニア 佐伯 勇
6 腹壁破裂,臍帯ヘルニア 窪田正幸
7 臍の異常 佐伯 勇
G 肝胆道疾患
Ⅰ.ウイルス性肝炎・その他の肝炎
1 A型肝炎 岩澤堅太郎
2 B型肝炎,D型肝炎 小松陽樹
3 C型肝炎 藤澤知雄
4 E型肝炎 角田知之
5 その他の肝炎 十河 剛
Ⅱ.胆汁うっ滞
6 胆道閉鎖症 松井 陽
7 その他の新生児乳児肝内胆汁うっ滞(胆道閉鎖症と鑑別すべき疾患) 工藤豊一郎
8 Alagille症候群 別所一彦
9 シトリン欠損による新生児肝内胆汁うっ滞(NICCD) 田澤雄作
10 進行性家族性肝内胆汁うっ滞症(PFIC,BRIC) 杉浦時雄
11 先天性胆汁酸代謝異常症 木村昭彦
12 ミトコンドリア肝疾患 村山 圭
13 新生児ヘモクロマトーシス 村山 圭
14 先天性心疾患に伴う,うっ血性肝障害 藤澤知雄
Ⅲ.囊胞性肝胆道疾患
15 先天性胆道拡張症と膵・胆管合流異常 金子健一朗
16 Caroli病,先天性肝線維症 工藤豊一郎
Ⅳ その他の肝胆道疾患
17 胆道奇形 金子健一朗
18 胆石症,胆囊炎 林田 真
19 Wilson病 高柳正樹
20 全身疾患による肝病変
1)肥満,非アルコール性脂肪肝炎 村上 潤
2)低栄養 村上 潤
3)血球貧食リンパ組織球症による肝障害 髙野智子
4)内分泌異常と肝障害 三善陽子
5)リウマチ性疾患に伴う肝障害 野口篤子
6)血液疾患に伴う肝障害 野口篤子
21 Reye症候群およびReye様症候群 虫明聡太郎
22 自己免疫性肝疾患
1)自己免疫性肝炎 角田知之
2)原発性硬化性胆管炎 十河 剛
23 薬物性肝障害 及川〈川本〉愛里
24 肝膿瘍 横井暁子
25 腫瘍性疾患(良性,悪性) 猪股裕紀洋
26 門脈圧亢進症と静脈瘤 日衛嶋栄太郎
27 体質性黄疸 丸尾良浩
28 肝不全
1)急性肝不全 虫明聡太郎
2)肝硬変,慢性肝不全 近藤宏樹
H 膵疾患
1 膵炎(急性,慢性,遺伝性・家族性,自己免疫性) 鈴木光幸
2 膵腫瘍(良性,悪性) 中原康雄
3 先天性高インスリン血症 惠谷ゆり
資料2 年齢別食事摂取基準 瀧谷公隆
索引
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序文
刊行にあたって
この度,日本小児栄養消化器肝臓学会では,小児栄養消化器肝臓病の教科書,『小児栄養消化器肝臓病学』を作成いたしました.
本学会では,若手医師の教育,より高い技術と豊富な知識をもつ医師の育成,関連する分野でのガイドラインの整備など,小児医療に貢献できるよう積極的に取り組んでおります.本書は,そうした学会の取り組みの一環であり,学会の総力をあげた教科書を目指しました.
小児の消化器疾患は,口腔・食道・胃・腸・肝臓・胆道・膵臓さらに栄養領域,また成人期へ移行する慢性疾患もあり,非常に幅広い領域にわたります.本書は,本学会の運営委員を中心に,学会員をはじめ小児外科,小児放射線,形成外科,小児アレルギー,児童精神など小児の消化器疾患にかかわりのある各領域のエキスパートの先生方にも御参画いただくことで,そうした幅広い消化器疾患を網羅的に取り上げることができました.
本書が小児栄養消化器肝臓病学を専門とされる医師だけでなく,これから小児栄養消化器肝臓病学を学ぼうとされる若手小児科医をはじめ,小児外科医,内科医など小児を診察する機会のある多くの先生方に読んでいただき,日常診療の一助となれば望外の喜びです.また1人でも多くの医師が小児栄養消化器肝臓病学を専門とされることを願っております.
最後にこの場を借りて,お忙しい中御執筆いただきました先生方の御尽力に,心より感謝申し上げます.
2014年9月
日本小児栄養消化器肝臓学会運営委員長
玉井 浩
序 文
日本小児栄養消化器肝臓学会は,その前身である小児栄養発育研究会と日本小児消化器病研究会が1974年に創設されたのを嚆矢とする.1986年に両者が合体して日本小児栄養消化器病学会となった(2006年に名称変更).運営委員長は初代が,故加藤英夫教授,続いて薮田敬次郎教授,小池通夫教授,山城雄一郎教授,私が5代目で,現在は玉井 浩教授が引き継いで今日に至っている.2013年で創立40周年を迎えたのを記念し,10月31日から東京で,The 13th Congress of Asian Pan-Pacific Gastroenterology, Hepatology and Nutrition(President:Akira Matsui, MD.)と第40回日本小児栄養消化器肝臓学会(会長:玉井 浩教授)を合同開催できたことは記憶に新しい.
私が運営委員長在任中に掲げた目標の1つが前述の国際学会開催であり,もう1つが専門書としての『小児栄養消化器肝臓病学』の刊行であった.前者はともすれば内向きになりがちだった学会員の視野を諸外国に拡大することであったのに対して,後者はこの分野の専門家を目指す人々に,現時点で知っておくべき事項を示すことを目指した.この専門書はまた,この分野以外の小児科専門医,総合医に対して,それぞれの担当する患児のもつプロブレムにエビデンスに基づいて対処する,そして必要なときには学会事務局を通して相談すべき専門家は誰かを伝える海図の役目をはたすことを目的とした.
現在,私どもの学会は大きなターニングポイントを迎えている.栄養においては低栄養からプロバイオティクス,肥満・NAFLDに,消化管においては急性胃腸炎から炎症性腸疾患,消化管アレルギーに,肝臓においてはウイルス肝炎から胆汁うっ滞,代謝性疾患,肝(細胞)移植に主要な話題が移行してきている.胎児性幹細胞,iPS細胞などの進歩は,われわれの分野においても,難治性とされてきた各種の疾患の病態生理の解明,診断・治療法の発展に多大の貢献をするだろう.
このような背景から,私ども編集主幹・委員は,それぞれの専門分野で実際に活躍している,しかも次世代の小児栄養消化器肝臓病学を担う若手に,この専門書の執筆を依頼することにした.小児外科および小児外科系の専門医にも多大の貢献をしていただいた.この分野も日進月歩であるので,数年ごとの改訂が必須である.その際には電子媒体の使用も考慮にいれるべきである.また最新の医療と患児・家族の間で看護師,コメディカルのはたす役割は大きい.第2版以降ではそうした職種の人々も執筆に参加してほしいと思う.最後に診断と治療社スタッフのバイタリティ溢れる貢献がなければ,本書は刊行できなかったことを記して謝意を表する.日本小児栄養消化器肝臓学会会員が中心になって本書を成長発達させていくことを願って序文とする.
2014年9月
日本小児栄養消化器肝臓学会前運営委員長
松井 陽