医療保育 改訂第4版診断と治療社 | 書籍詳細:医療保育 改訂第4版
―ぜひ知っておきたい小児科知識
川崎医科大学小児科 名誉教授
梶谷 喬 (かじたに たかし) 著
川崎医療福祉大学医療福祉学部医療福祉学科 客員教授
佐々木 正美 (ささき まさみ) 著
近大姫路大学教育学部こども未来学科 教授
小河 晶子 (おがわ あきこ) 著
川崎医療短期大学医療保育科 教授,主任/川崎医科大学小児科 教授
寺田 喜平(てらだ きへい) 著
改訂第4版 B5判 並製 152頁 2015年10月01日発行
ISBN9784787821935
定価:2,750円(本体価格2,500円+税)冊
保育士資格を有する保育士が,より医療に関する専門性を高めて活躍するために最適のテキスト.小児の疾患の概論と各論に多くのページを割き,症状面と疾患面から説明している.疾患各論では,基礎知識から発展的な知識へ,段階を踏んで学ぶこともできるよう配慮している.今版ではエピペン®の使用方法,発達障害全般,アナフィラキシー,予防接種の基本などの記述を中心にアップデートした.
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目次
執筆者一覧
改訂第4版の序
改訂第3版の序
改訂第2版の序
まえがき(初版の序)
出版に寄せて
Part I 医療保育概論
1 医療保育とは
2 病児・障害児保育の保健管理
3 医師および看護師との連携
4 地域との連携
5 保護者との連携
Part II 救急対応
1 子どもの一次救命処置
2 心肺蘇生の実際
3 異物による気道閉塞
4 エピペン®の使用方法
Part III 事故防止と対応
1 わが国における乳幼児の事故発生の現状
2 “不慮の事故”による死亡原因
3 家庭内における事故
4 保育所における事故
5 病院における事故
6 事故時の対応
7 リスクマネジメントと事故防止
8 保護者に対する家庭内事故防止の指導
Part IV 子ども虐待への対応
1 わが国における子ども虐待の実態
2 初期対応
3 子ども虐待の発生要因
Part V 発達障害
1 発達障害者支援法と発達障害の定義
2 発達障害児のおかれている現状
3 自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害
4 アスペルガー症候群
5 限局性学習症
6 注意欠如・多動症
7 保護者を相談・医療機関へつなげる
8 TEACCHプログラムの応用と実践
Part VI 乳児突然死症候群(SIDS)
1 乳児突然死症候群(SIDS)の定義
2 SIDSの発生頻度
3 SIDS発生のリスクファクター
4 保育所での防止対応
5 保護者へのサポート体制
Part VII アレルギーへの対応
1 食物アレルギー
2 気管支喘息
3 アトピー性皮膚炎
Part VIII 感染症対策
1 感染経路パターン
2 予防できる感染症と治療できる感染症
3 職員のワクチンで予防可能な疾患対策
4 女性職員への対策
5 感染症対策の基本
6 学校保健安全法
7 予防接種の基本
Part IX 疾患の概論と各論
A 症状と疾患の概説
1 発達遅滞
2 発 熱
3 けいれん
4 腹 痛
5 嘔 吐
6 下 痢
7 機嫌が悪い(泣き止まない)
8 発 疹
9 下肢痛
B 疾患各論
1 感染症
2 神経系の疾患
3 アレルギー性の疾患
4 循環器系の疾患
5 腎臓の疾患
6 代謝・内分泌系の疾患
7 消化器系の疾患
8 血液の疾患
9 悪性疾患
10 呼吸器系の疾患
11 皮膚の疾患
12 耳鼻咽喉系の疾患
13 目に関連する疾患
14 手足に関連する疾患
参考文献
索 引
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序文
改訂第4版の序
改訂第3版が発刊されて,早3年がたちました.その間認定こども園が決定され,いよいよ新しい制度のもとで乳幼児の保育が始まろうとしています.しかし,小さな子どもをお預かりすると,時に突然の心肺停止や気道閉塞など緊急事態も発生します.初期3分間以内に実施される心肺蘇生が重要で,救命のためには救急車の到着を待つことはできません.食事アレルギーによるアナフィラキシーショックによる死亡例が報告され,職員のエピペン®使用も求められています.また免疫力の低い乳幼児では感染が拡大しやすく,集団保育の場では有効な感染予防対策が必要です.わが国は予防接種の遅れた国でしたが,最近は無料で接種できる定期接種が急激に増加しています.それらを感染防止のため保護者に勧めるには,どうしても予防接種の知識が必要です.さらに発達障害の子どもが増加しており,多くの先生方はどのように対応するのかお困りだと思います.このような子どもに関連する医療や支援の部分を,この「医療保育」で学べるように配慮しています.どうか本書を利用いただき,明日の子ども達のために活かされたらと願っています.
今回の大きな改訂部分は,心肺蘇生にアナフィラキシーやエピペン®の使用方法の追記,予防接種の変更部分,2013年米国DSM-5に伴う発達障害のサブカテゴリーの変更などを行いました.これからも,可能であれば必要な事項の追加や変更も定期的に実施していきたいと思っています.しかし,まだまだ至らないところがあると思いますので,読者の皆様方からのご指導,ご鞭撻をいただければ幸いです.
梶谷 喬名誉教授は今回も改訂に参加してくださり,貴重なご意見やご指摘を頂戴しましたが,今回序文は梶谷先生から私にバトンタッチすることになりました.最後に,ご多忙中加筆や訂正をいただきました執筆者の皆様に感謝申し上げます.ありがとうございました.
平成27年6月
寺田喜平
改訂第3版の序
改訂第2版が発刊されて,約3年が経過しました.
今回改訂された主な内容は下記の通りです.
子どもの発達障害の診断や治療のエキスパートとして有名な佐々木正美特任教授に新規項目として「TEACCHプログラムの応用と実践」を執筆していただきました.また寺田喜平教授の「わが国における乳幼児の事故発生の現状」「感染症対策」の一部が訂正され,新しいワクチン,すなわち,インフルエンザ菌b型に対するHibワクチン,結合型肺炎球菌(7価)ワクチン,ロタウイルスワクチンの導入,各種予防接種を行う順序が加筆されました.小河晶子教授は注意欠陥多動性障害児に対する薬物療法を加筆されました.また筆者も病棟保育の病児に対して,心理的,精神的サポートとして使用されるキワニスドールの説明を加えたりして,読者に,より一層理解しやすいよう加筆しました.
これらの改訂により,本書が医療保育に携わる多数の関係者に利用され,活用されることを期待しています.
平成24年7月
梶谷 喬
改訂第2版の序
本書が発刊されて,すでに2年半の歳月が流れました.このたび,主として下記のような理由から,改訂する運びになりました.
まず,近年とくに注目されている小児の発達障害の記載が少ないので,その内容をあらためて詳しく紹介することになりました.それから,「医療保育士」という職業の実体を具体的に示すために,医療保育概論の「A.医療保育とは」と「B.医療保育の特性」をまとめて,「医療保育士とは」に加筆,再編しました.また,医療保育概論の「D.医師および看護師との連携」,「E.地域との連携」,「F.保護者との連携」の箇所に,コミュニケーションについて加筆,再編を行いました.最近,学校保健で問題になっているアレルギー疾患とくに食物アレルギーの除去食依頼書やエピペン®の使用について加筆しました.さらに,新型インフルエンザ対策や新しく使用できるようになったHib(インフルエンザ菌b型)ワクチン,近く導入されるであろうワクチンについても加筆致しました.腎臓疾患に「5)膀胱尿管逆流症」,悪性疾患に「5)網膜芽細胞腫」を追加しました.
なお,発達障害の項は私達の同僚である川崎医療短期大学医療保育科准教授の小河晶子先生に依頼して執筆してもらいました.小河准教授は小児の発達障害,発達障害児の保育・教育のエキスパートであり,このたびの御協力に心から感謝しています.
この改訂第2版が保育士とくに医療保育士の皆さんやこれから保育士をめざす学生さんに広く読まれ,活用されることを念願しています.
平成21年7月
梶谷 喬
まえがき(初版の序)
現在,保育現場では,デリケートな乳児の保育,急性や慢性の病気を患う子どもの保育,知的または発達障害のある子どもの保育,肢体不自由児の子どもの保育など,医療知識を必要とする場面が,急速に増加しています.
平成17(2005)年4月に私ども川崎医療短期大学に全国初の医療保育科が新設され,修業年限3年で医療の専門的知識と保育技術をもつ保育士を養成しています.ところが,医療保育の講義に使用するテキストとして適当なものがほとんどありませんでした.そこで,私ども二人の小児科医が診断と治療杜の依頼を受け,医療保育のためのやさしいマニュアルを執筆することに致しました.寺田喜平教授は小児感染症や予防接種にとくに造詣の深い小児科医で,本書でもこれらの面に力を入れて執筆してくださいました.
本書が保育士とくに病棟保育士,外来保育士,病(後)児保育士,入所施設の障害児保育士だけでなく,保育所嘱託医,幼稚園園医,保育所勤務の看護師をはじめ,多くの関係者に広く活用され,医療保育の普及と質の向上に役立つことを期待しています.
平成19年2月
梶谷 喬
全国で初めて川崎医療短期大学に医療保育科(3年制)が認可され,私は学生に「感染と防御」,「小児病学」を教えることになりました.しかし,当然ながら適切な教科書となるものがありません.できるだけ実用的に利用できる教科書を作成したいと考え,学生だけでなく,すでに病棟保育や病児保育,保育園や幼稚園で働いている保育士の皆さんをも対象としました.今後保育の現場でも,小児の病気に対する知識,とくに救急蘇生法などが要求されるでしょう.
読者のご意見でさらによりよい書にしたいと考えています.
平成19年2月
寺田喜平
出版に寄せて
今日,わが国は未曾有の少子時代を迎えています.しかし,小児の数は減少する一方,保育所への入所希望児は年々増え続け,特に低年齢児保育の希望が増加しています.また,社会情勢の急激な変化に伴い,保育への要望は著しく多様化し,保育の対象は病児や心身発達障害児など特別な保育が必要な乳幼児にまで拡大しています.発熱やけいれん,喘息発作などの突発的な症状への関わりも多くなっています.
乳幼児は遊びを通して自分を表現し,成長していきます.このことは,病児であっても例外ではありません.入院中の乳幼児の遊びは心のケアや健康回復のために不可欠の要素であり,小児医療においては医師や看護師による治療や看護だけでなく,保育ケアもきわめて重要です.
平成17年4月,川崎医療短期大学は病児や発達障害児の病状について的確な判断と対応ができる保育士を養成する3年課程の医療保育科を開設し,社会の要請である医療保育の需要に応えることにしました.本学科は幸いにも,全国短期大学で唯一の医療に強い保育士養成施設ということで受験生の評判もよく,喜ばしい限りです.
このたび,本学医療保育科教授の梶谷喬先生と寺田喜平先生の共著による「医療保育─ぜひ知っておきたい小児科知識」が上梓されることになりました.誠に御同慶のいたりであります.両先生は,長年にわたって小児科学の教育・研究・診療に従事されているエキスパートです.私も小児科医であり,梶谷先生とは50年来の,寺田先生とは30年来の,お互いに気心の通じ合った友人ですが,両先生の活躍振りには常々感銘を受けて参りました.
本書が現在医療保育を勉強中の学生諸君の教科書としてだけでなく,実際に保育に携わっておられる方々にも格好の参考書となることを信じております.
平成19年2月
川崎医療短期大学学長
守田哲朗