2014年春の保険認可に伴い,従来のストリッピング術に代わって下肢静脈瘤治療の標準基本手技となった高周波ならびに1470レーザーによる血管内焼灼術の実践ガイドブック.下肢静脈瘤の検査方法,手術適応,術式選択,手術手技など,著者の臨床経験をもとに具体的かつ詳細に解説する.さらに,新時代のストリッピング法や硬化療法,術後の血栓予防にも深く言及し,経験の浅い医師にも効果的な治療プランが立てられるよう繊細な配慮がなされている.
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目次
1 疾患概念と病態生理─診療に必要な基本的項目
A. 疾患の概念
B. 下肢静脈の解剖と病態生理
C. 理学的検査,脈波検査法(静脈機能の無侵襲診断法)
D. 下肢静脈瘤の臨床分類
E. 治療の適応
F. まとめ
2 超音波検査─最も重要な診断技術
A. 検査機器
B. 基本手技
C. 検査体位
D. 検査手順
E. 記載方法
F. 稀な静脈瘤とその他の疾患
3 治療の実際─血管内焼灼術を中心とした最新治療プラン
A. 治療方法の選択
B. 手術の実際
1. 術前マーキング
2. 血管内焼灼術
3. 血管内治療時代のストリッピング術
4. 瘤切除術の基本とコツ
5. 硬化療法
4 圧迫療法と生活指導─治療の成否を決める術後ケア
A. 術後の管理
B. 弾性ストッキングの効用
C. 弾性ストッキングの穿き方
D. うっ滞性潰瘍に対する圧迫療法
E. 弾性ストッキングの合併症
あとがき
参考文献
索 引
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序文
杉山 悟 広島逓信病院 外科部長
2014年,下肢静脈瘤の分野で,高周波焼灼機器と新しいバージョンのレーザー焼灼機器が保険認可となった。今までとは明らかに違う,術後疼痛の極めて少ない治療機器であり,それは今後,本邦で血管内焼灼術が標準術式となることを決定づけたと言っても過言ではない。
これまで下肢静脈瘤に関しては多数の成書がみられ,その多くがストリッピングを基本術式とし,血管内治療を新しい治療と位置付けてきたが,今後は血管内治療が標準術式で,ストリッピングを旧式の治療と位置付けていくものに変わると思われる。そして,本幹の焼灼術が画一的な標準手技となるため,プロとしての仕事かどうかは,適応の選択や本幹以外の手術,硬化療法などの選択・手技にかかってくると言えるかもしれない。
本書は,教科書的な順序に従って記載されているが,その実,一般的な考え方というよりは,筆者が現時点で下肢静脈瘤について考えている「独断」も含まれている。下肢静脈瘤の疾患概念,検査方法,手術適応,術式の選択,手術手技などについて現在までに行った自らの臨床経験や研究を根拠にして書き下ろした。至らぬところも多いかもしれないが,今後,下肢静脈瘤の治療を行うにあたってのヒントを豊富に盛り込めたものと自負している。ぜひ,それぞれの施設がステップアップを目指す上で役立てていただきたい。
2015年6月