診断と治療
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2022年 Vol.110 No.6 2022-06-07
下部尿路機能障害(排尿障害)へのアプローチ
定価:2,860円(本体価格2,600円+税)
ねらい 朝倉博孝
◆総論
下部尿路機能障害の概念・病態 三井貴彦,他
下部尿路機能障害の疫学 相川 健
下部尿路機能障害の診断と治療 柿崎秀宏
◆トピックス
下部尿路機能障害とリハビリテーション 鈴木康之,他
膀胱内マイクロバイオームと下部尿路機能障害 古田 昭,他
再生医療と下部尿路機能障害 後藤百万
超高齢社会における下部尿路機能障害 鈴木基文
薬剤性下部尿路機能障害 中平洋子
COVID—19 パンデミックにおける下部尿路機能障害領域の治療指針 篠島利明
◆各論:下部尿路機能障害を呈する個々の疾患
前立腺肥大症 松岡香菜子,他
過活動膀胱と切迫性尿失禁 横山 修,他
女性尿失禁(腹圧性尿失禁と切迫性尿失禁) 加藤久美子,他
男性尿失禁(前立腺全摘術後の尿失禁など) 海法康裕,他
低活動膀胱 関戸哲利
間質性膀胱炎 巴 ひかる
夜間頻尿 吉田正貴,他
糖尿病と排尿障害 税所芳史,他
神経疾患と排尿障害 佐藤めぐみ,他
骨盤臓器脱・婦人科疾患・GSM と下部尿路機能障害 岡垣竜吾
連 載
◎心電図は1 枚の窓
労作時の呼吸苦と体重増加を主訴に来院した77歳男性 西山信大
◎注目の新薬
ペマジール® 錠(ペミガチニブ錠) 大石梨津子,他
◎総説
高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン第3版 2022年追補版を考える
~高尿酸血症を起点とするメタボリックドミノの概念を含めて~ 久留一郎
下部尿路機能障害は,いわゆる健常者でも,加齢とともに出現する一方,原因あるいは関連のある病態も多々あり,一般的な症状として,多くの臨床医が対応すべき病態であります.一般臨床医は,下部尿路機能障害の多くの背景因子を考慮し,診断・治療をすすめていきます.したがって,一般臨床医は,下部尿路機能障害については,相当広い知識や経験が要求されます.本企画のねらいは,下部尿路機能障害をコンパクトにまとめてわかりやすく論述し,理解していただくことにあります.各分野の泌尿器科スペシャリストの先生方に各種テーマについて論述してもらい,さらに,関連のある神経疾患,糖尿病,産婦人科領域についても,神経内科,糖尿病内科,産婦人科の先生方に,専門的な視点より論述していただきました.
下部尿路機能障害における診断・治療については,多くのガイドラインが作成され,筆者の方々には,適宜,追記していただきました.いわゆるスタンダードな診断・治療についても理解できるものと思っております.また,新しい治療も開発され,難治性過活動膀胱における仙骨神経刺激やボツリヌス毒素膀胱壁内注入法についても言及していただきました.さらに,下部尿路機能障害の分野においても,再生医療の技術は開発され,実用化されつつあります.今後の可能性についても論述していただきました.
一方,このような下部尿路機能障害は,排便とともに,排泄障害にあたり,食事,移動,睡眠,認知症などと同様に,日常生活に密接に関連があり,看護・介護においても重要な項目であります.最近,排尿自立支援の保険加算が認められ,入院だけでなく,外来での加算も可能となり,医師だけでなく,看護師・理学療法士・薬剤師の役割も重要となっております.
泌尿器科も,他の分野と同様に,様々な学会より,治療指針などの対応の仕方について提言がなされております.具体的には,診断における注意点や手術適応について優先度が示されております.
以上より,本特集が,日常の診断・治療の有効な情報として,下部尿路機能障害の理解を深め,多くの医療関係者の臨床における一助となれば,編集者として,喜びもひとしおであります.
埼玉医科大学病院泌尿器科
朝倉博孝