診断と治療
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2022年 Vol.110 No.12 2022-12-06
日常診療でみる二次性心筋症・全身疾患関連の心障害
定価:2,860円(本体価格2,600円+税)
ねらい 網谷英介
◆総論
二次性心筋症 総論 網谷英介
◆特定の原因による二次性心筋症(心筋障害)
高血圧に伴う心筋障害 川久保裕美子,他
栄養障害・代謝障害と心筋障害 長友祐司
Fabry病 久保 亨
トランスサイレチンアミロイドーシス 石井俊輔
サルコイドーシス 多田篤司,他
スポーツ心臓 木下訓光
ミトコンドリア心筋症 武田充人
抗腫瘍薬による薬剤性心筋症 福満雅史,他
◆全身疾患関連の心障害
神経筋疾患と心障害 清水 潤
血液疾患と心障害 牧 尚孝
内分泌疾患と心障害 日髙尚子,他
膠原病に伴う心障害 樋口智昭,他
睡眠時無呼吸症候群と心障害 加藤隆生
透析治療中の心障害 原澤信介,他
連 載
心電図は1 枚の窓
洞不全症候群および陳旧性心筋梗塞の既往がある76歳男性 湯澤ひとみ
注目の新薬
カログラ®錠(カロテグラストメチル) 渡辺 守,他
日本は未曾有の高齢化の結果として疾患構造が徐々に変化し,心疾患の負担が増加傾向です.特に心疾患のなかでも,より社会への負担が増えてきているのは心不全になります.このような状況において,循環器専門の医師にとどまらず,心不全の診療について基礎的な知識をおさえておくことは一般内科医の読者にも重要となってきています.心不全は複数の原因から生じ,多彩であることを特徴としていますので,それぞれの症例の病態を正確に把握し,それをもとにした適切な治療が必要とされます.心不全の精密化医療が求められている今日において,本特集では二次性心筋症にフォーカスをあてました.
二次性心筋症とは,特定の原因によって心筋障害をきたすものの総称ですが,診断が見落とされることも多く,診断には基礎的な内容の把握と,二次性心筋症について,その可能性を積極的に考えることが重要です.特に昨今の二次性心筋症の分野は各方面で進歩が目覚ましく,この分野の内容についてコンパクトに知識をブラッシュアップする機会が求められていました.本特集では各分野のエキスパートの先生に,基礎的知識と現在の状況をわかりやすくまとめていただきました.
本特集はご担当いただいた先生方の細やかな配慮により,きわめて幅広い内容に仕上がっています.また内容だけでなく,レベルにおいても多岐にわたるものとなり,循環器を専門としない一般内科医の読者にとっては二次性心筋症の紹介,字引的な役割を果たす一方で,循環器専門の読者にとっても最新の知見のよいおさらいになるのではと思います.さらに本特集は二次性の原因による心筋障害だけでなく,例えば睡眠時無呼吸や透析など,心臓以外の合併症と関連する心障害について幅広い話題を含めています.二次性心筋症や,合併症と心障害との関係に接する機会は,決して循環器の専門医に偏るものではなく,実は普段の日常臨床で一般内科医もよく直面し得る問題になりますので,本特集が幅広い読者の診断および治療の一助になることを願ってやみません.
最後にご多忙のなか,原稿をまとめていただいた執筆者の先生方に深謝申し上げます.
東京大学医学部重症心不全治療開発講座
網谷英介