診断と治療
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わが国の内科総合誌のパイオニアで,数ある総合誌のなかでも抜群の安定性と評価を誇る. 新進気鋭の編集委員を迎え,最新情報を盛り込み読みごたえ満点. 連載「視診で見抜く!皮膚疾患の診かた」「注目の新薬」など. 増刊号も毎回シャープな切り口と実際的な内容が大好評. 2色刷のビジュアルな誌面. |
2024年 Vol.112 No.9 2024-09-05
ここが知りたいアルコール性肝疾患
定価:2,970円(本体価格2,700円+税)
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https://www.m2plus.com/content/isbn/9784015011209
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ねらい 土屋輝一郎
アルコールの基礎知識と対策
アルコールを取り巻く環境―アルコール代謝を含めて― 横山 顕
アルコール依存症とは? 佐久間寛之
アルコールによる疾患リスク 松井敏史,松下幸生,旭 俊臣
アルコールによる肝臓ダメージを評価する
アルコール性肝障害の診断基準 齊藤 隆,土島 睦,堤 幹宏
飲酒量を把握するための飲酒マーカー 野村文夫
アルコール性肝障害の画像評価 鈴木康秋
アルコール関連肝疾患と肝障害の見分けかた 徳重克年
アルコール性肝硬変はどのように診断するか? 長谷川直之
アルコールによる肝臓ダメージを治療する
専門クリニックにおけるアルコール依存症診療の実際 倉持 穣
断酒と減酒の使い分け―内科等における治療選択とアルコール低減外来の実際― 吉本 尚
アルコール関連肝疾患に対する栄養指導・栄養療法 佐藤慎哉,浪﨑 正,吉治仁志
アルコール性肝炎の治療 持田 智
アルコール性肝硬変の治療 坂牧 僚,寺井崇二
アルコール性肝細胞癌の現状と治療 大浦杏子,森下朝洋,正木 勉
アルコール性肝硬変肝外疾患への対応 厚川正則,近藤千紗,岩切勝彦
アルコール患者が内科一般病院に入院した際の注意点 菊池真大,菊池美穂,小西正洋
先進的なアルコール医療
アルコール依存に対するアプリ治療 宋 龍平,三宅 望,能祖一裕
アルコール関連肝硬変に対する再生医療 佐々木 嶺,山本直樹,高見太郎
アルコール関連肝疾患に対する肝移植の現状 西尾太宏,伊藤孝司,波多野悦朗
連載
ジェネラリストのための咽頭のみかた
首が痛く,口が開けにくいです! 木股由貴
注目の新薬
モノヴァー®(デルイソマルトース第二鉄) 川端 浩
弁護士が答えます! 法律相談クリニック
診断書の作成は断れる? 清水 徹
古くからお酒と肝臓は切っても切れない縁の深い関係であることはみなさんご存知のことと思う.以前からアルコール性肝障害やアルコール性肝硬変として存在していたが,これまではC型肝炎ウイルスによる慢性C型肝炎やC型肝硬変,肝細胞癌の罹患数が圧倒的に多い時代であり,厚生労働省において肝炎総合対策の推進として肝疾患診療連携拠点病院を設定するなど,C型肝炎ウイルス対策が肝疾患診療の中心であった.しかし,近年治療薬の発展によりC型肝炎ウイルスがほぼ完治するようになり,肝疾患診療は生活習慣による肝障害が着目されている.1つは非アルコール性脂肪肝炎(nonalcoholic steatohepatitis:NASH)であるが,もう1つは以前から変わらず存在しているアルコール性肝障害である.2024年(令和6年)2月に厚生労働省から「健康に配慮した飲酒に関するガイドライン」が公表され,節度ある適度な飲酒量は1日平均20 gと設定されるなどアルコールに対する関心が高まっている.そのため,低アルコール飲料や減酒療法などアルコール摂取を低減させることが社会現象にまでなりつつある.
一方で,アルコールによる依存症や肝障害の問題は依然として大きく,消化器内科だけでなく様々な角度からの対策が必要な状況である.日本肝臓学会では2023年に奈良宣言を行い,慢性肝疾患の指標としてALT 30 IU/L以上という値を設定している.肝疾患の進行を極力抑えるための早期介入を目的としており,肝疾患へ積極的に対応する姿勢をみせている.しかしながら,お酒を問題としている患者を目の前にして,どのように対処してよいか悩む診療場面が多いと思われる.そのため,本稿ではアルコールを取り巻く環境,肝障害の診断から進行度,治療方法,クリニックでの診療,入院管理など多岐にわたる場面を想定して項目を設定している.研修医にもわかりやすく解説されており,本特集を一読することでアルコール診療の一助になれば幸いである.最後に,ご多忙のなか原稿をご執筆いただいた諸先生に感謝申し上げる.
筑波大学医学医療系消化器内科
土屋輝一郎