神経生理学とMEの基礎知識,脳波,筋電図・神経伝導分野の多岐にわたる出題範囲から,頻出テーマの120問を厳選.一題ごとに各分野のエキスパートが詳しく解説し,解き進めながら臨床神経生理のポイントを身につけることができる.正答率をもとに記載された各問題の難易度,付録コード表で出題傾向を参照すれば,専門医・専門技術師として求められる水準を自ずと理解できる.試験問題解説書でありながら,初学者にも格好の参考書である.
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目次
刊行にあたって
はじめに
執筆者一覧
A−1.神経生理学の基礎
問題001 ニューロンとシナプス
問題002 静止膜電位と活動電位
問題003 興奮と抑制
問題004 末梢神経(脳神経系,体性神経系,自律神経系)
A−2.ME 技術と安全対策
問題005 電流と電圧
問題006 交流雑音(ハム)
問題007 電圧増幅器の入力インピーダンスと電極接触抵抗
問題008 電圧増幅器の入力インピーダンスと電極接触抵抗
問題009 時定数と周波数特性について
問題010 時定数と周波数特性について
問題011 A/D 変換について
問題012 同期加算平均の原理
問題013 同期加算平均の原理
問題014 電気的安全対策(機能アース,保護アースなど)
問題015 B,BF,CF形装着部機器
B−1.脳波検査に関連する脳の生理と解剖
問題016 脳波の発生機序
問題017 脳波の発生機序
問題018 脳波の発生機序
B−2.患者への対応と処置
問題019 乳幼児の取り扱い
問題020 患者急変への対応(痙攣,嘔吐,欠神,疼痛など)
B−3.脳波検査
問題021 脳波波形の種類と特徴
問題022 脳波電極の特性
問題023 脳波電極の特性
問題024 電極配置法(10‒20 法など)
問題025 電極配置法(10‒20 法など)
問題026 脳波導出法とその特徴
問題027 脳波導出法とその特徴
問題028 アーチファクトの鑑別と対策
問題029 アーチファクトの鑑別と対策
問題030 アーチファクトの鑑別と対策
B−4.脳波計について
問題031 デジタル脳波計の特徴
問題032 デジタル脳波計の特徴
問題033 デジタル脳波計の特徴
B−5.正常脳波(判読法を含む)
問題034 新生児(低出生体重児を含む)・乳幼児・小児・成人・高齢者の脳波像の特徴
問題035 新生児(低出生体重児を含む)・乳幼児・小児・成人・高齢者の脳波像の特徴
問題036 脳波賦活法(睡眠,光,過呼吸など)
問題037 脳波賦活法(睡眠,光,過呼吸など)
問題038 睡眠段階による脳波変化
問題039 睡眠脳波の加齢による変化
問題040 その他正常変異波形など
B−6.臨床脳波(判読法を含む)
問題041 基礎(背景)活動の異常
問題042 てんかん性異常波(てんかん症候群と脳波)
問題043 てんかん性異常波(てんかん症候群と脳波)
問題044 てんかん性異常波と鑑別必要な波形とその意義(POSTS, Wicket spikes, BETS,その他)
問題045 てんかん性異常波と鑑別必要な波形とその意義(POSTS, Wicket spikes, BETS,その他)
問題046 発作時脳波記録の注意点
問題047 脳炎・脳症,意識障害と脳波
問題048 脳血管障害,脳腫瘍,脳器質障害と脳波
問題049 周期性放電とバースト・サプレッション・パターン
問題050 その他
B−7.睡眠ポリグラフィ(PSG)
問題051 終夜睡眠ポリグラム(PSG)の記録法(小児を含む)と解析法
問題052 終夜睡眠ポリグラム(PSG)の記録法(小児を含む)と解析法
問題053 PSG 検査に必要な各種生体現象
問題054 簡易型無呼吸モニタ検査
問題055 各種睡眠障害のPSG の特徴
問題056 各種睡眠障害のPSG の特徴
問題057 睡眠潜時反復検査(MSLT)と覚醒維持検査(MWT)
B−8.脳死判定
問題058 記録法(記録時間,高感度記録,電極間距離,雑音レベルなど)
問題059 記録法(記録時間,高感度記録,電極間距離,雑音レベルなど)
問題060 脳死判定基準
B−9.脳波分析 【掲載なし】
B−10.脳誘発電位
問題061 SEP,AEP(ABR を含む),VEP,ERP 検査法
問題062 SEP,AEP(ABR を含む),VEP,ERP 検査法
問題063 SEP,AEP(ABR を含む),VEP,ERP 検査法
問題064 SEP,AEP(ABR を含む),VEP,ERP 検査法
問題065 SEP,AEP(ABR を含む),VEP,ERP 検査法
問題066 各種誘発電位波形の臨床的意義
B−11.画像検査とその他の機能検査
問題067 fMRI の原理
問題068 MEG の原理
問題069 近赤外線スペクトログラフィの原理
C−1.筋・神経検査に関連する生理と解剖
問題070 神経線維の構造と生理学(軸索変性と再生,節性脱髄)
問題071 神経線維の構造と生理学(軸索変性と再生,節性脱髄)
問題072 脊髄の解剖
問題073 筋の構造と収縮メカニズム
問題074 筋の構造と収縮メカニズム
問題075 主な筋の支配神経と神経走行および走行異常
問題076 主な筋の支配神経と神経走行および走行異常
問題077 主な筋の支配神経と神経走行および走行異常
問題078 その他,筋電図検査に必要な神経生理学(瞬目反射など)
問題079 その他,筋電図検査に必要な神経生理学(瞬目反射など)
問題080 その他,筋電図検査に必要な神経生理学(瞬目反射など)
問題081 その他,筋電図検査に必要な神経生理学(瞬目反射など)
C−2.患者への対応と処置
問題082 検査の説明と同意
C−3.筋電計について
問題083 その他電気刺激装置など
C−4.筋電図検査
問題084 針筋電図と表面筋電図のフィルター設定
問題085 線維自発電位・陽性鋭波など安静時異常電位の種類と臨床的意義
問題086 線維自発電位・陽性鋭波など安静時異常電位の種類と臨床的意義
問題087 線維自発電位・陽性鋭波など安静時異常電位の種類と臨床的意義
問題088 運動単位電位波形の成り立ちと異常発生のメカニズム
問題089 筋電図所見異常の経時的変化
問題090 干渉波の評価
問題091 表面筋電図の臨床応用
問題092 単一筋線維筋電図の概要
C−5.誘発筋電図(磁気刺激を含む)と神経伝導検査
問題093 刺激と運動アーチファクトと除去対策
問題094 刺激と運動アーチファクトと除去対策
問題095 刺激と運動アーチファクトと除去対策
問題096 神経伝導速度に影響する生理的要因
問題097 CMAP 波形のパラメータと各々の臨床的意味
問題098 CMAP 波形のパラメータと各々の臨床的意味
問題099 神経走行異常とCMAP波形
問題100 SNAP波形のパラメータと生理的時間的分散
問題101 SNAP波形のパラメータと生理的時間的分散
問題102 主な運動および感覚神経伝導検査の刺激・導出部位
問題103 主な運動および感覚神経伝導検査の刺激・導出部位
問題104 脱髄および軸索変性疾患の伝導速度と誘発電位波形
問題105 F 波,H 波の鑑別と臨床的意義
問題106 F 波,H 波の鑑別と臨床的意義
問題107 F 波,H 波の鑑別と臨床的意義
問題108 手根管症候群の臨床像と神経伝導検査
問題109 手根管症候群の臨床像と神経伝導検査
問題110 その他の主な絞扼性神経障害と神経伝導検査
問題111 その他の主な絞扼性神経障害と神経伝導検査
問題112 主な末梢神経・筋疾患の臨床像(ALS,筋ジスなど)
問題113 反復誘発筋電図(疲労検査)
問題114 反復誘発筋電図(疲労検査)
問題115 反復誘発筋電図(疲労検査)
問題116 脊髄誘発電位(術中モニタリング)の概要
問題117 経頭蓋磁気刺激検査(運動誘発電位)の概要
問題118 経頭蓋磁気刺激検査(運動誘発電位)の概要
問題119 交感神経皮膚反応の概要
問題120 交感神経皮膚反応の概要
C−6.筋電図検査に関する安全対策 【掲載なし】
付 録
試験問題内容のコード番号分類表
索引
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序文
刊行にあたって
日本臨床神経生理学会は,人の健康上の問題に直結した臨床分野と,脳・神経・筋の機能解明のための基礎分野が一体となり,ヒト神経系の複雑なシステムの研究を推進する学会です.そのために “教育”がとても重要であると考え,さまざまな事業を行っております.さらには神経学的補助検査としての臨床神経生理検査の施行と判読・解釈において,高度の専門的知識と技術・技能を身につけている専門医・専門技術師を養成するために,一定の水準に達している医師・技術師が脳・神経疾患の診療に関与することによって診療の質を向上し,国民の福祉・健康に貢献することを目指して,認定制度を設けています.つまり教育に重点をおき,専門医・専門技術師を育成し,社会に貢献していこうと考えております.
その中で,日本臨床神経生理学会は2004年より認定制度を創設し,当初5年間は一定水準に達した者を認定する移行期間を設けました.その後2009年から日本臨床神経生理学会認定医・認定技術師第1回筆記試験を開始しました.さらには臨床神経生理の領域は,その技能において明確な専門性を有するもので,新専門医制度の専門医を目指すべきであるとの考えから,日本専門医機構未承認診療領域連絡協議会への入会を申請し,2015年6月に承認されました.学会認定制度を学会専門医,専門技術師制度に変更し,指導医や研修施設認定を開始しました.今後,さらによりよい専門医・専門技術師制度を構築して,教育・育成をさらに充実し,全国で活躍することを期待しております.実際には脳波分野,筋電図・神経伝導分野,両分野の専門医・専門技術師を取得することができます.
2004年から開始された認定制度は,一定の研修,条件を備えた会員が受験できる制度です.2018年で第10回試験を終え,新しい専門医・専門技術師を輩出しました.
本書は,第1回から第10回までに行われた,実際の試験とその出題者による解説書です.試験問題は,患者に対する対応,脳波・筋電図検査に共通する基本的な神経生理学とMEの知識の共通試験,と脳波分野,筋電図・神経伝導分野で求められるそれぞれの専門試験に分かれています.日本臨床神経生理学会,委員会全体で何度も議論を重ねて作成した,試験の集大成です.本書を参考にされ,勉学に励まれ,多くの専門医・専門技術師が増え,社会に貢献できるようにと願っております.会員の皆様方をはじめとして,さらに多くの方々かのご協力,ご支援を賜れば幸甚です.よろしくお願い申し上げます.
2018年10月吉日
日本臨床神経生理学会
理事長 正門由久
はじめに
本書の最大の特徴は問題を解きながらいろんなことが学べることです.いろんなことが学べるといっても,本書は試験問題解説書ですから,毎年6月上旬に行われている日本臨床神経生理学会専門医・専門技術師試験の受験者が読みやすいように工夫されています.
現在,移行期間を含めると,516名の脳波分野専門医,444名の筋電図・神経伝導分野専門医,283名の脳波分野専門技術師,221名の筋電図・神経伝導分野専門技術師が本学会に在籍されています.10年前から始まった専門医・専門技術師試験(当初は認定医・認定技師試験)の合格率は分野ごとに若干の差があるものの,専門医・専門技術師ともに低い年度でも概ね75%以上を保っています.これは本試験では奇をてらった難問が出題されることはなく,本学会試験委員会によって難易度が一定に調整されていることを示しています.本書では,頻出分野の120問を厳選しました.問題ごとに出題時の正答率にもとづいた難易度が明示されていますので,問題を解いたときのご自身の感覚と比較してみてください.さらに,受験者の皆さんには,巻末に付録として掲載されている「試験問題内容のコード番号分類表」の活用をお勧めします.この分類表の右側の列に本書で取り上げられた過去問の出題数が記載されています.これを見ると,出題されやすいコード番号に偏りがあることがわかります.実は,この傾向は過去10年で大きく変わっていません.つまり,出題数の多いコード番号の分野はほぼ毎年出題されているということになります.どのくらいの難易度の問題がどの分野から出題されやすいのか,本書を解きながら学んでください.本学会が専門医・専門技術師として必要と考えている知識の水準が自ずとわかってきます.
執筆者一覧からわかるように,各解説はそれぞれの専門分野ごとに日本のエキスパートが執筆しています.したがって,本書は試験問題解説書でありながら,同時に,解きながら臨床神経生理学のポイントが身につく格好の参考書といえます.ぜひ初学者の皆様にも手にとっていただければと思います.
本書の刊行にあたり,2000問以上の過去問をコード番号分類にしたがって整理し,基礎資料を作成していただいた畑中裕己先生,津田笑子先生と,編集全般に関わっていただいた内藤寛先生,木崎直人先生,吉村匡史先生,軍司敦子先生,藤原俊之先生,植松明和先生に深く感謝の意を表します.皆様の貢献がなければ本書は完成しませんでした.ありがとうございました.
2018年10月吉日
日本臨床神経生理学会
試験委員会・委員長 今井富裕