本書は,膵臓病に関する幅広い知識と専門的技術の習得を目指す医師に向け,豊富なイラストや画像,わかりやすい記述など,若手医師にも手に取りやすい内容となっている.1.膵炎診療,2.内視鏡診断治療,3.癌薬物治療,4.膵疾患外科治療,5.放射線診断・IVR,6.癌放射線治療,7.緩和医療,8.病理診断といったカテゴリー別に,膵臓病学の基礎から臨床まで最新の知識を網羅した.
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目次
口絵
『膵臓病診療ガイドブック』発刊に寄せて 岡崎和一
序文 伊藤鉄英
執筆者一覧
頻出略語一覧
第I部 基礎編
A 膵の発生と解剖 易 勤
B 膵の生理と生化学 石黒 洋
C 膵疾患の病理 能登原憲司
第II部 臨床総論
A 膵疾患の疫学 菊田和宏,正宗 淳
B 膵疾患の身体所見と症候 清水京子
C 膵疾患の検査
1) 生化学検査 髙橋孝輔 安田一朗
2) 各種マーカー検査 阪上順一,片岡慶正
3) 膵外分泌機能検査 洪 繁
4) 画像検査
a. 超音波検査 北野雅之,古田眞智
b. CT 戸島史仁,蒲田敏文
c. MRI 吉満研吾
d. 核医学検査 村上康二
e. 内視鏡検査 藤澤聡郎,伊佐山浩通
5) 膵生検・病理学的検査 肱岡 範
6) 遺伝子検査 濱田 晋,正宗 淳
D 膵疾患の診断
1) 腫瘍性疾患 増田充弘,児玉裕三
2) 炎症性疾患 山本智支,乾 和郎
E 膵疾患の治療・処置総論
1) 生活指導・食事指導 佐藤賢一
2) 薬物療法 五十嵐久人
3) 内視鏡治療・処置 黒澤貴志,糸井隆夫
4) 体外衝撃波結石破砕療法(ESWL) 林 香月,大原弘隆
5) 外科的治療・処置 岸和田昌之
6) 放射線治療 伊藤芳紀
7) IVR治療・処置 石神康生,伊良波裕子,牛島泰宏
8) 抗癌薬治療 古瀬純司
9) 移植治療 大島 稔,鈴木康之
10) 症状緩和療法 森 雅紀
第III部 疾患編
A 急性膵炎 竹山宜典
B 慢性膵炎 清水京子
C 自己免疫性膵炎 内田一茂,耕﨑拓大,岡崎和一
D 膵癌 澤田成朗,藤井
E 膵性糖尿病 丹藤雄介
F 膵神経内分泌腫瘍 伊藤鉄英
G 膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN) 山口武人,喜多絵美里
H その他の膵 胞性病変 山本智久,里井壯平
I 加齢,他臓器疾患と膵病変 中川顕志,庄 雅之
J 膵外傷 村上壮一,平野 聡
第IV部 情報編
A 膵疾患の診療ガイドラインとその使い方 吉田雅博
B 膵疾患の遺伝カウンセリング 森実千種
C 膵疾患の予防に関する情報 廣田衛久
D 膵疾患関連における患者会の現状 蘆田玲子,山田眞佐美
E 膵がん教室の実施と有用性 丸木雄太,奥坂拓志
Lecture
■ 膵癌の早期診断 花田敬士
■ 膵癌の腹腔鏡下手術 大塚隆生,中村雅史
Column
■ 日本膵臓学会の国際協力 高折恭一
■ パンキャンジャパン(PanCAN Japan)~膵臓癌の治療成績倍増にむけて~ 眞島喜幸
索引
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序文
序文
日本膵臓学会では,膵臓疾患診療に関する総合的知識および専門的技量を有する広い領域のすぐれた指導的医師および診療施設を認定し,指導医間の連携および若手医師の指導・育成により質の高い膵臓疾患診療体制をわが国に構築し,国民から信頼される専門医療の提供,膵臓疾患に関する啓発や情報提供を通じて国民の健康と福祉に貢献することを目的に,認定指導医制度を発足させました.
認定指導医には,1.膵炎診療,2.内視鏡診断治療,3.癌薬物治療,4.膵疾患外科治療,5.放射線診断・IVR,6.癌放射線治療,7.緩和医療,8.病理診断,の8つのカテゴリーが設けられています.今回,日本膵臓学会岡崎和一理事長より日本膵臓学会認定指導医のために,最新の膵臓に関する知識を共有できるようなテキストを作成するように命ぜられました.日本膵臓学会教育委員会がこの業務を担当することとし,教育委員会では2018年12月に膵臓病診療ガイドブック作成委員会を発足させました.その後,認定指導医の8つのカテゴリーに沿って,執筆項目の決定および執筆者の選定をおこないました.日本膵臓学会の各カテゴリーのエキスパートの先生方の協力を得て2020年4月に発刊にたどり着きました.本書は膵臓疾患領域を幅広く網羅しており,現在認定指導医である先生だけでなく,今後認定指導医を取得しようとする先生方にもぜひ本書を手に取って診療の場で利用して頂きたいと思います.また,日本膵臓学会では指導施設制度も発足しており,認定指導医の常勤が条件となります.前述しましたが,今後質の高い膵臓疾患診療体制の構築,患者様への専門医療の提供,膵臓疾患に関する啓発や情報提供のためにぜひ本書を役立てて頂きたいと思います.
2020年3月
日本膵臓学会教育委員会 委員長
伊藤鉄英
『膵臓病診療ガイドブック』発刊に寄せて
日本膵臓学会は,1969年(昭和44年)に日本膵臓病研究会として設立後,1985年(昭和60年)には日本膵臓学会となり,2019年には50周年を迎えました.研究会として発足した頃は200人前後であった会員数も2019年には4,000人を超え,膵臓関連学会としては世界最多の会員を擁する学会に成長しました.この間,膵臓病学発展に果たしてきた日本膵臓学会の貢献は多大なものがありますが,膵癌をはじめ膵疾患は依然として診断と治療に最も難渋する疾患の1つであり,日本膵臓学会の社会に対する責務は今後もますます大きくなると思われます.
以上を背景に,2018年,膵臓疾患診療に関する総合的知識および専門的技量を有する広い領域のすぐれた指導的医師および診療施設を認定し,指導医間の連携および若手医師の指導•育成により質の高い膵臓疾患診療体制をわが国に構築し,国民から信頼される専門医療の提供,膵臓疾患に関する啓発や情報提供を通じて国民の健康と福祉に貢献することを目的として,日本膵臓学会による認定指導医・指導施設制度が発足しました.現在,指導医には8つのカテゴリー(1.膵炎診療,2.内視鏡診断治療,3.癌薬物治療,4.膵疾患外科治療,5.放射線診断・IVR,6.癌放射線治療,7.緩和医療,8.病理診断)が設けられています.認定された指導医・および指導施設はわが国でも有数の膵疾患を経験し膵臓学を専門とする医師・施設であり,それぞれ学会ホームページ上で公開されています.さらに指導内容の質を担保する方策の1つとして指導医が指導すべき内容の指針を示すべく,教育委員会(伊藤鉄英委員長)が中心となり,この度『膵臓病診療ガイドブック』が上梓されました.執筆陣は教育委員会の委員・指導医および膵疾患に関して極めて高度な診療・研究レベルを有する専門家にお願いしました.膵臓病学の基礎から臨床まで,最新の知識を網羅した内容となっていると自負しております.本書を通じて膵疾患診療および患者さんのQOLの向上に資すれば,企画した日本膵臓学会としてこれ以上の歓びはありません.
最後になりますが,本書を発刊するにあたり,御尽力いただきました教育委員会委員・執筆者の皆様,ならびに出版をお引き受けいただきました「診断と治療社」に深甚の謝意を表したいと思います.
2020年3月
日本膵臓学会 理事長
岡崎和一