新生児マススクリーニング,指定難病,小児慢性特定疾病の対象疾患から,『新生児マススクリーニング対象疾患等診療ガイドライン2019』に収載されていない疾患を中心にまとめた,ガイドライン2019年版の第二弾! 疫学,臨床症状,新生児マススクリーニングの結果から診断へ至るまでの鑑別診断フローチャート,成人期の診療の課題,実診療の現場で役立つ情報が満載.ガイドライン2019年版と合わせて活用してほしい.
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目次
序 文 中村公俊
執筆者一覧
ガイドライン追加にあたって
1 非ケトーシス型高グリシン血症(NKH)
2 高チロシン血症(1型,2型,3型)
3 シスチン尿症
4 セピアプテリン還元酵素(SR)欠損症
5 芳香族アミノ酸脱炭酸酵素(AADC)欠損症
6 コハク酸セミアルデヒド脱水素酵素(SSADH)欠損症
7 チロシン水酸化酵素(TH)欠損症
8 メチルグルタコン酸尿症
9 HMG―CoA合成酵素欠損症
10 HSD10病
11 スクシニル-CoA:3―ケト酸CoAトランスフェラーゼ(SCOT)欠損症
12 ホスホエノールピルビン酸カルボキシキナーゼ(PEPCK)欠損症
13―1 ガラクトース血症Ⅲ型―UDPガラクトース―4―エピメラーゼ(GALE)欠損症
13―2 ガラクトース血症Ⅱ型―ガラクトキナーゼ(GALK)欠損症
13―3 ガラクトース血症Ⅳ型―ガラクトースムタロターゼ(GALM)欠損症
14 Menkes病
15 オクシピタル・ホーン症候群
16 先天性葉酸吸収不全(HFM)
17 先天性胆汁酸代謝異常症
18 先天性グリコシルホスファチジルイノシトール(GPI)欠損症
19 グルコーストランスポーター1(GLUT1)欠損症
巻末資料
索引
mini column
mini column① ニチノシン(NTBC;オーファディンR)について
mini column② 肝臓の超音波検査
mini column③ GPIアンカー型蛋白(GPI―AP)の欠損と病態
mini column④ PIGG欠損症とEmm抗原
mini column⑤ 先天性トランスポーター異常症
クリニカルクエスチョン(CQ)
CQ1:高値の血中チロシン値が神経症状を悪化させるのか?
CQ2:高チロシン血症2型と3型に対する治療薬は存在しないのか?
CQ3:高チロシン血症1型において,肝移植後にNTBCは必要か?
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序文
序 文
先天代謝異常症は遺伝性の希少難病であり,その診断には専門的な知識と診療におけるネットワークを要します.対象となる疾患は多く,そのすべてを網羅することは容易ではありません.日本先天代謝異常学会は『新生児マススクリーニング対象疾患等診療ガイドライン2015』を2015年11月に,その改訂版である『新生児マススクリーニング対象疾患等診療ガイドライン2019』を2019年9月に発行しました.ガイドライン2019では27の疾患と2つの病態を扱い,新生児マススクリーニングで発見された先天代謝異常症の標準的な検査・治療について分かりやすく説明されています.そして全国のどこで発見された患者さんであっても,同じような検査,治療が受けられるように,基本的な診療の知識を要約しました.そしてこの度,『新生児マススクリーニング対象疾患等診療ガイドライン2019 Part 2 [2019年版未収載疾患編]』を発行することになりました.ガイドライン2019で扱った疾患は新生児マススクリーニングの対象疾患として重要なものが多く含まれていますが,その鑑別にあがる疾患,指定難病とされている多くの疾患については,十分に扱うことができませんでした.それらの疾患についても同様に診療ガイドラインが必要との要望もあり,今回のPart 2 [2019年版未収載疾患編]の発行に至っています.診療ガイドライン2019と,その追補版のPart 2 [2019年版未収載疾患編]を用いることで,多くの新生児マススクリーニング対象となっている先天代謝異常症の診療が標準化されると考えます.ぜひ,本書を臨床現場で活用していただき新生児マススクリーニング対象の患者さんの診断・治療に役立てていただければ幸いです.
最後になりましたが本書を作成するにあたり,ご尽力いただきました執筆者の先生方,多大なご尽力をいただきました日本先天代謝異常学会診断基準・診療ガイドライン委員会委員長の小林弘典先生,副委員長の伊藤哲哉先生,前委員長の村山 圭先生に感謝申し上げます.
2023年9月
日本先天代謝異常学会 理事長
中村公俊