用語解説・ポイント付きで初学者にやさしい好評のテキスト改訂4版.内容のアップデートはもちろん,復習/チャレンジ用のPT/OT国家試験過去問題には,近年増えている医療画像つきの問題を新たに収載しました.認知症や脳性麻痺とからめた発達障害についての記載も追加.PT・OT・ST・ナースを目指す人には必携のテキストです.
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目次
執筆者一覧
第4版の序
初版の序
A リハビリテーション概論
1 リハビリテーションと機能訓練の違いを知っていますか? 椿原彰夫
1.誤解されやすい「リハビリテーション」
2.リハビリテーションの理念
3.リハビリテーションの発展に寄与した歴史的事項
2 医療・保健・社会福祉とリハビリテーションのかかわり方 椿原彰夫
1.リハビリテーションの領域
2.医学的リハビリテーション
3.職業的リハビリテーション
4.社会的リハビリテーション
5.教育的リハビリテーション
6.保健とリハビリテーション
7.医療と保健・社会福祉の連携
3 リハビリテーション・マインドをしっかりもって! 椿原彰夫
1.リハビリテーション・マインドの重要性
2.障害を診る心をもつ
3.障害者の社会復帰・社会参加を目指す
4.チームを大事にする
5.安心・安全な医療の提供
4 廃用症候群はとっても怖い! 平岡 崇
1.廃用症候群とは
2.二次的合併症としての廃用症候群
3.廃用症候群の予防
4.廃用の臨床症状
5 リハビリテーションの中核─回復期リハビリテーション病棟 平岡 崇
1.回復期リハビリテーション病棟の導入
2.回復期リハビリテーション病棟とは
3.回復期リハビリテーション病棟のあり方
6 生活期リハビリテーションは介護予防に役立つ! 青柳陽一郎
1.高齢者人口増加と介護問題
2.介護保険の概要
3.介護予防の施策
4.仮の要介護状態とは
7 疾患と障害の関係─国際障害分類(ICIDH)と国際生活機能分類(ICF) 青柳陽一郎
1.疾病構造の歴史と障害の扱い
2.国際障害分類
3.国際生活機能分類の意義と概要
4.国際生活機能分類の構成と使い方と問題点
8 チームの要,リハビリテーション科医 阿部泰昌
1.リハビリテーション科医の役割
2.訓練処方箋
3.チーム医療とチームリーダー
9 理学療法と理学療法士 竹中 晋
1.理学療法とは
2.理学療法士の養成
3.理学療法士の役割
4.運動療法とは
5.物理療法とは
10 作業療法と作業療法士 目谷浩通
1.作業療法士の役割
2.作業療法の実際
3.作業療法士と理学療法士の違い
11 言語聴覚療法と言語聴覚士 目谷浩通
1.言語聴覚士とは
2.言語聴覚療法
12 必要不可欠なリハビリテーション看護 阿部泰昌
1.看護師が主役!
2.生活の場としてのリハビリテーション病棟の役割
3.リハビリテーション看護の具体的な役割
13 わたしたちの大切な医療チーム 嘉村雄飛
1.大切な仲間たち
2.「義肢装具士」とは
3.「社会福祉士」とは
4.「公認心理師」とは
5.「介護支援専門員(ケアマネジャー)」とは
6.「介護福祉士(ケアワーカー)」とは
7.「生活相談員」「生活指導員」とは
8.「作業指導員」とは
9.「職業指導員」とは
10.「児童指導員」とは
11.「母子指導員」とは
14 機能評価なしには機能訓練を始められない 嘉村雄飛
1.機能評価の重要性
2.診断・評価法に求められるもの
3.診断・評価の進め方
4.機能障害・能力低下の評価の重要性
5.障害の帰結予測
15 機能障害にはどんな評価方法があるの? 目谷浩通
1.障害モデル
2.障害評価の重要性
3.機能障害の評価方法
16 能力低下(能力障害)の評価方法を習得しよう 目谷浩通
1.能力低下の評価の意義
2.日常生活活動の評価方法
3.手段的日常生活活動(生活関連動作)の評価
4.歩行障害の評価
17 歩 行 塚本芳久
1.人間はバランスを崩しながら歩く
2.歩行分析
3.歩行パターンは変化する
18 装具は障害者の必需品 塚本芳久
1.装具の目的
2.装具の命名法
3.三点固定の原則
4.下肢装具
5.上肢装具
6.体幹装具
7.治療用装具と更生用装具
8.補装具の支給体系
19 義足でも走れる 塚本芳久
1.義肢とは
2.義足の構造とその役割
3.義手の分類
20 様々な種類の車椅子 関 聰介
1.車椅子の選択
2.手動車椅子
3.電動車椅子
4.スポーツ用車椅子
5.車椅子のデザイン
21 リハビリテーションロボティクス 椿原彰夫
1.リハビリテーションとロボット
2.訓練用ロボット
3.自立支援型ロボット
4.介護支援型ロボット
5.コミュニケーション・セキュリティ型ロボット
22 医療・社会福祉と法律 関 聰介
1.医療者に関する規則
2.医療保険制度
3.高齢者の医療の確保に関する法律(高齢者医療確保法)
4.公的年金保険
5.身体障害者福祉法
6.児童福祉法
7.老人福祉法
8.介護保険法
9.障害者福祉制度
23 地域リハビリテーションと地域包括ケアシステム 椿原彰夫
1.地域リハビリテーション
2.地域包括ケアシステム
B 障害別リハビリテーションの実際
1 関節拘縮と関節可動域訓練 竹中 晋
1.関節の構造
2.関節可動域とは
3.関節可動域の制限
4.関節可動域の種類
5.関節可動域の測定
6.関節可動域訓練
2 筋力低下と筋力増強訓練 田中芳幸
1.筋力低下とは
2.筋力の定義
3.筋力の生理機構
4.筋力低下の種類
5.筋力低下の評価
6.筋力増強訓練の実際
7.持久力訓練
3 運動麻痺とニューロリハビリテーション 田中芳幸
1.運動麻痺とは
2.運動麻痺に対するリハビリテーション
3.中枢神経疾患における運動麻痺の発生機序
4.中枢性麻痺回復の原理
5.古典的な神経筋再教育
6.新しいニューロリハビリテーション
4 運動学習の理論 椿原彰夫
1.運動学習とは
2.運動療法の基本的概念
3.効果的な運動学習の計画
4.運動学習の技術
5 異常歩行と歩行訓練 塚本芳久
1.歩行の観察
2.主な異常歩行
3.歩行の基本訓練
4. 歩行動作訓練
6 失語症と言語聴覚療法 大沢愛子
1.失語症とは
2.失語症の診断
3.失語症の評価バッテリー
4.失語症の分類
5.言語聴覚療法
7 失認と失行 大沢愛子
1.失認とは
2.失認の症状とその評価
3.対応とリハビリテーション
4.失行とは
5.失行の診察と評価
6.対応とリハビリテーション
8 高次脳機能障害 椿原彰夫
1.障害についての理解
2.主な高次脳機能障害
3.高次脳機能障害の原因疾患
4.高次脳機能障害支援普及事業
9 摂食嚥下障害 大杉敦彦
1.摂食嚥下障害とは
2.解剖と食べ物の流れ
3.原 因
4.症 状
5.評価(診断)
6.治療のストラテジー
7.具体的な治療法
8.摂食嚥下障害とQOL
10 排泄障害 椿原彰夫
1.障害についての理解
2.急性期における治療
3.慢性期における治療の流れ
4.よくみられる合併症
11 痙縮のコントロール 大杉敦彦
1.筋緊張異常の概念
2.痙縮とは,固縮とは
3.痙縮の評価
4.痙縮への対応
5.具体的な治療法
12 老化と介護予防 大杉敦彦
1.老化と加齢
2.老化の種類
3.老年症候群
4.フレイル
5.サルコペニア
6.運動器不安定症とロコモティブシンドローム
7.低栄養状態 PEM
8.認知症
9.各臓器の老化
10.老化の悪循環
11.高齢化への対策
C疾患別リハビリテーションの実際
1 脳卒中(急性期) 岸田芳幸
1.疾患についての理解
2.リハビリテーションは何をするのか
3.急性期リハビリテーションの目的
4.急性期リハビリテーションは誰がどのように行うか
5.具体的治療内容
6.チームの重要性
2 脳卒中(回復期) 岸田芳幸
1.急性期から回復期へ
2.回復期リハビリテーションの目的は
3.回復期リハビリテーションはどのように行われるか
4.具体的なアプローチ
5.社会復帰への地域連携
6.将来への期待
3 パーキンソン症候群 山田裕子
1.疾患についての理解
2.パーキンソン病とは
3.臨床症状
4.障害評価
5.治療とリハビリテーション
4 脊髄小脳変性症 椿原彰夫
1.疾患についての理解
2.障害の把握と評価
3.一般的治療法と薬物療法
4.リハビリテーション治療の概要
5 多発性硬化症 山田裕子
1.疾患についての理解
2.臨床症状
3.経過・予後
4.障害評価
5.治療とリハビリテーション
6 神経・筋疾患 大根祐子
1.疾患についての理解
2.進行性筋ジストロフィー
3.多発性筋炎
4.ギラン・バレー症候群
5.筋萎縮性側索硬化症
6.脊髄性筋萎縮症
7 脊髄損傷 大根祐子
1.疾患についての理解
2.症 状
3.機能障害の評価
4.治療の大まかな流れ
5.具体的なリハビリテーションプログラム
8 外傷性脳損傷 椿原彰夫
1.疾患についての理解
2.リハビリテーションにおける特徴
3.外傷性脳損傷に特徴的な高次脳機能障害
4.治療のポイント
9 四肢切断 杉山岳史
1.疾患についての理解
2.切断の分類
3.切断部位の選択
4.義 肢
5.切断者の機能評価
6.上肢切断のリハビリテーション
7.下肢切断のリハビリテーション
10 運動器疾患 椿原彰夫
1.疾患についての理解
2.運動器疾患に特徴的な障害
3.一般的治療の流れ
4.リハビリテーション治療の要点
11 関節リウマチ 椿原彰夫
1.疾患についての理解
2.一般的治療の流れ
3.リハビリテーション治療の要点
4.よくみられる合併症
12 慢性疼痛 杉山岳史
1.感覚・痛みの概念
2.体性感覚の受容器
3.体性感覚の伝導路
4.リハビリテーションにおける評価
5.慢性疼痛に対するアプローチ
13 脳性麻痺と発達障害 文野喬太
1.脳性麻痺の定義
2.脳性麻痺の分類
3.脳性麻痺の原因
4.脳性麻痺の治療
5.脳性麻痺の二次的合併症
6.発達障害とその対応
14 心筋梗塞と虚血性心疾患 文野喬太
1.疾患についての理解
2.検 査
3.救命救急医療
4.急性期リハビリテーション
5.回復期リハビリテーション
6.生活期リハビリテーション
15 呼吸器疾患 横山光洋
1.呼吸器リハビリテーションの概念
2.呼吸器リハビリテーションにおける評価
3.呼吸器リハビリテーションにおける治療手技
4.その他の各種疾患・状態に対するアプローチ
16 悪性腫瘍 椿原彰夫
1.疾患についての理解
2.悪性腫瘍の疫学
3.悪性腫瘍の治療原則
4.進行がんの治療方針
5.がんリハビリテーションの基本的な考え方
6.がん患者の身体機能の評価
7.周術期のリハビリテーション
8.化学療法・放射線治療とリハビリテーション
9.女性がんとリハビリテーション
10.頭頸部がんに対する嚥下リハビリと言語訓練
11.転移性骨腫瘍に対するリハビリテーション
12.骨髄移植後のリハビリテーション
17 生活習慣病 横山光洋
1.生活習慣病についての理解
2.糖尿病と運動療法
3.脂質代謝と運動療法
4.高血圧と運動療法
5.虚血性心疾患と運動療法
付 録
1.大脳の機能と障害
2.関節可動域表示ならびに測定法
3.皮膚分節(dermatome)
4.徒手筋力テスト(Manual Muscle Testing:MMT)
Challenge!! 理学療法士・作業療法士国家試験問題 解答と解説
Coffee Break 椿原彰夫
出典一覧
索 引
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序文
第4版の序
本書の初版が出版された2007年頃は,医療保険で支払われる急性期・回復期のリハビリテーション医療から介護保険で支払われる生活期のリハビリテーション医療福祉への円滑な移行が模索されていた時代でした.それから16年が過ぎ,リハビリテーション医療はますます必要性が増し,医療の分野においても介護の分野においても理学療法士や作業療法士,言語聴覚士,看護師等の役割が重要視されるようになりました.特に,回復期リハビリテーション病棟に「アウトカム評価(回復状態を客観的に評価するシステム)」が診療報酬制度に取り入れられ,障害をよりよく回復させることができる場合に高い報酬が与えられるようになりました.医療専門職には十分な知識と高い技術が求められるようになり,チーム内の綿密な連携が不可欠となったといえます.
初版は初心者が簡単に理解できるリハビリテーションの入門書として発刊いたしましたが,改訂を重ねるごとに新しい治療法や評価法,概念・制度の変化も記載するようにしてまいりましたので,現在では難しい治療内容の詳細や画像診断も含まれています.しかし,平易な文章で理解しやすく記述していることに変わりはありません.専門用語は,自分で他の教科書を調べなくても理解できるよう,解説を右側の欄に記載していますが,養成校に入学した初年度からすべての専門用語を記憶する必要はないとお考えいただければ安心です.改訂版では,国家試験も視野に入れた教科書になっていますので,卒業する頃までには熟読され,しっかりと覚えてくださることを本書の方針といたしております.
リハビリテーションは小児から高齢者まで,臓器では運動器(筋骨格系・神経系)から内臓や精神心理までの幅広い分野を包含しています.障害をもつすべての方々に,理想に近いリハビリテーションのサービスを提供し,高いQOLを与えることのできる医療専門職へと成長されることを,心から祈念申し上げます.
2023年11月吉日
椿原彰夫
初版の序
高齢化社会を迎えた現在,リハビリテーション医療と保健・福祉サービスの充足が強く求められています.その需要に応えるべく,理学療法士・作業療法士・言語聴覚士の養成校が急増し,多くの療法士の卵が育っていきます.私の知っている新入生たちは皆,障害者や高齢者の機能回復と社会復帰のために貢献できるようしっかりと勉学に励み,療法士として立派に成長したいと願うひた向きな情熱と優しい心の持ち主ばかりです.
新入生が最初に教えられる医学関係の科目は,「リハビリテーション総論」や「リハビリテーション医学」という名称の講義です.もちろん,医学の知識は同時期に始まる解剖学や生理学の内容以外には,ほとんど皆無です.リハビリテーションの導入を教えるにあたっては,医学と医療の知識についても少しずつ説明しなければなりません.しかしながら,わかりやすく,かつ内容のしっかりしたリハビリテーションの入門書は,これまで見当たりませんでした.そのために,私の講義では単元ごとにスライドを作り,パソコンを使って説明してきました.学生のなかには,良い教科書を紹介してほしいと願い出る人も少なくはありませんが,その都度,関連する雑誌を紹介していました.そんな折に「診断と治療社」編集室から,初心者のためのリハビリテーションに関する教科書出版のお話をいただきました.リハビリテーション医療を志す学生にとっては,リハビリテーションの概略とその考え方を1年目に知っていることは必須の条件です.そこで,皆さんが辛い気持ちを持つことなく,簡単に勉強できる入門書を書こうと決心しました.共著者の先生方には,頑張って覚えるような内容は極力省略し,聞きなれないような用語については欄外に説明してくださるよう伝えました.この本は,リハビリテーションのことを全く知らない初心者のためのものですので,推理小説を読むくらいの気楽な気持ちで読んでいただければ幸いです.
理学療法士,作業療法士,言語聴覚士,看護師,介護福祉士などのコメディカルを目指している学生の方々,医学生,あるいは,これから高齢者・障害者の医療と保健・福祉にかかわっていこうとされる医師や専門職の皆様に読んでいただき,多くの障害者・高齢者に大きな幸せを与えられる社会を築き上げてくださるようお願い申し上げます.
平成19年3月吉日
椿原彰夫