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書籍詳細

新版 どう読む?こう読む!
てんかんの発作間欠期・発作時脳波診断と治療社 | 書籍詳細:てんかんの発作間欠期・発作時脳波

国立病院機構静岡てんかん・神経医療センター名誉院長/岐阜大学医学部客員臨床系医学教授/静岡県立大学客員教授(薬学部)

高橋 幸利(たかはし ゆきとし) 編著

新版 B5 並製 288頁 2024年09月09日発行

ISBN9784787826480

定価:7,480円(本体価格6,800円+税)
  

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2022年の国際抗てんかん連盟による新しいてんかん症候群分類に沿ったてんかん症候群ごとに発作間欠期,発作時脳波の見るべきポイントを脳波図を示しながら詳細に解説.本書に登場する各てんかん症候群の基本的な臨床特徴,脳波特徴を覚え,具体的な脳波異常箇所を確認しながら典型的な異常をとらえることで,“脳波判読は難しい”という苦手意識を克服し,自信をもって正常・異常の判断ができるようになります!

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目次

第1部 総 論
A てんかん発作・てんかん・てんかん症候群の最新分類  高橋幸利
B 脳波の役割:発作間欠期・発作時・発作直後の脳波と臨床症状  高橋幸利
C 覚醒時,睡眠時の背景脳波活動の発達,加齢に伴う変化  植田佑樹
D 突発性異常波(発作間欠期)  本山りえ/川口典彦
E 境界領域の脳波所見  池田 仁
F 光刺激で誘発される脳波異常  美根 潤/高橋幸利
G アーチファクトの種類と見分け方  荒木保清
H 発作時脳波の見方  西田拓司

第2部 各 論
A 全般てんかん
小児欠神てんかん(CAE)  宮下光洋
若年欠神てんかん(JAE)  寺田清人
若年ミオクロニーてんかん(JME)  芳村勝城
全般性強直間代発作のみを示すてんかん(GTCA)  山崎悦子
ミオクロニー欠神発作を伴うてんかん(EMA)  徳本健太郎

B 焦点てんかん
海馬硬化を伴う内側側頭葉てんかん(MTLE-HS)  日吉俊雄
中心側頭部棘波を示す自然終息性てんかん(SeLECTS)  福岡正隆
自律神経発作を伴う自然終息性てんかん(SeLEAS)  秋山麻里
小児後頭視覚てんかん(COVE)  池田浩子

C 発達性てんかん性脳症または進行性神経学的退行を伴う症候群
①新生児・乳児期発病
 早期乳児発達性てんかん性脳症(EIDEE)  今井克美
 遊走性焦点発作を伴う乳児てんかん(EIMFS)  九鬼一郎
 乳児てんかん性スパズム症候群(IESS)  山口解冬
 Dravet症候群(DS)  水谷聡志
 KCNQ2―発達性てんかん性脳症(KCNQ2-DEE)  大松泰生
 ピリドキシン/ピリドキサールリン酸依存性発達性てんかん性脳症(PD/P5PD-DEE)  矢部友奈/高橋幸利/秋山倫之
 CDKL5―発達性てんかん性脳症(CDKL5-DEE)  森岡景子/高橋幸利
 PCDH19群発てんかん  木水友一
 グルコーストランスポーター1欠損症(Glut1DS)  渡辺陽和
 Sturge-Weber症候群(SWS)  小川博司
 視床下部過誤腫による笑い発作  大谷英之
②小児期発症
 ミオクロニー脱力発作を伴うてんかん(EMAtS)  最上友紀子
 Lennox-Gastaut症候群(LGS)  久保田裕子
 睡眠時棘徐波活性化を示す発達性てんかん性脳症(DEE-SWAS)  白石秀明
③発症時期が一定でない疾患
 Rasmussen症候群(RS)  高橋幸利
 進行性ミオクローヌスてんかん(PME)  江川 潔

第3部 付 録
A 発作時脳波焦点とMRI所見  近藤聡彦
B 発作時脳波焦点とSPECT所見  松田一己
C 発作時脳波焦点とPET所見  臼井直敬
D よりよい脳波記録のための検査テクニック  鈴木菜摘
E 長時間ビデオ脳波検査に耐えられる電極装着法(当院で行われている装着の一例)  佐藤哲也

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序文

静岡てんかん・神経医療センターでは,てんかんに関する医学知識の普及のため,若手医師向けに「てんかん学研修セミナー」や「Epilepsy exposure course(てんかん研修初期コース)」という個人研修を行っています.参加された方にお伺いすると,てんかん診療の中でお困りの点としては“脳波判読が難しい”,という声が多いです.脳波は数値で表せず,形やその変化の仕方で判断しなければならないことから,自己学習では習得が難しく,周りに自信をもって指導してくれる指導医が少ないためではと思っています.脳波記録にはアーチファクトという脳波以外の成分も混じるため,脳波変化が見えなかったり,アーチファクトを脳波と考えてしまったりする落とし穴があります.また,正常というかてんかんではないのに,てんかんの人に見られる脳波異常を持っている人がいたり,てんかんなのに何度脳波検査を行っても脳波異常が出ない症例もあったりして,てんかんでない人を脳波でてんかんと誤診してしまう落とし穴もあります.ビデオ脳波同時記録装置以外の通常の脳波計による検査のみですと,発作を起こしている脳波異常なのか,発作を起こさない発作間欠期脳波異常なのか判断が難しく,微細な発作を見逃してしまう落とし穴もあります.
本書では,2022年の新しい国際抗てんかん連盟のてんかん症候群分類に従って,てんかん症候群ごとに発作間欠期,発作時脳波を大きな脳波記録図を用いて,見るべき点を詳細に解説しました.典型的な異常をしっかり覚えていただくことで,自信をもって脳波正常と判断できるようになります.読者のみなさんが,各てんかん症候群の基本的な臨床特徴,脳波特徴を覚えていただいて,色々な落とし穴を避けて,正しい脳波判読ができるようになっていただけるように祈念しています.


2024年3月吉日
メジロの姿に春を想う漆山にて.
静岡てんかん・神経医療センター名誉院長/小児科  高橋幸利