産科と婦人科
精選された情報満載読者各位にとって欠かすことができない情報をタイムリーに提供. 「生殖おもしろ話」・「外界事情」・「青い血のカルテ」・「産婦人科診療 私のコツ」など連載も充実.
抜群の読みやすさオール2色刷り.一目でキーポイントがわかるレイアウト.
充実したラインナップ日常診療の場で即役立つ「増刊号」を年各1冊発行.日進月歩で激変する医学界のキーワードを読み解き,読者各位の壮大な負託に応えるべく「産科と婦人科」は微力を注ぎます.
2022年 Vol.89 No.12 2022-11-18
月経困難症治療あるある
定価:3,190円(本体価格2,900円+税)
企画 五十嵐敏雄
Ⅰ.婦人科特定疾患治療管理料
1.器質性月経困難症に対する「婦人科特定疾患治療管理料」 / 谷川原真吾
2.婦人科特定疾患治療管理料の診療計画書 / 浦田陽子・他
Ⅱ.月経困難症の薬物療法あるある
3.ホルモン療法の選択 / 北脇 城
4.LEP療法(周期投与&連続投与) / 篠原康一
5.ジエノゲスト療法 / 甲村弘子
6.GnRH誘導体およびアンタゴニスト療法 / 泉谷知明・他
7.レボノルゲストレル放出子宮内システム療法 / 太田郁子
8.レボノルゲストレル放出子宮内システム療法の管理―挿入・管理・交換― / 五十嵐敏雄・他
Ⅲ.器質疾患別の月経困難症治療あるある
9.卵巣チョコレート囊胞や子宮内膜症関連 / 柳樂 慶・他
10.子宮腺筋症関連 / 賀来哲明・他
11.子宮筋腫関連 / 前川 亮
12.その他の器質性月経困難症 / 江頭活子
13.機能性月経困難症 / 熊切 順
Ⅳ.患者背景と月経困難症治療あるある
14.ライフステージに応じた月経困難症治療 / 小川真里子・他
15.月経困難症治療のアドヒアランスと長期投与 / 北島百合子
症 例
双角双頸子宮に生じた帝王切開瘢痕部妊娠の出血対策 / 佐々木晴菜・他
器質性月経困難症が令和2 年度から外来指導管理料の対象となり,「婦人科特定疾患治療管理料」が保険収載された.器質性というと子宮内膜症や子宮腺筋症などの疾患を背景とするが,背景疾患がはっきりしない機能性の月経困難症に悩む女性も多い.月経困難症の治療には手術療法も含めて選択肢が複数あり,治療開始前にそれぞれの治療の特徴や副作用を患者に説明する必要がある.薬物療法だけでも選択肢としては低用量エストロゲン・プロゲスチン(LEP)療法,プロゲスチン療法,レボノルゲストレル放出子宮内システム(LNG‒IUS)療法などがあり,投与法としては周期的投与や連続投与や局所投与などがあり,方針として年齢や効果,副作用,妊娠希望等の患者の人生設計などをトータルに考えて選択肢の中から最適なものを勧めることになる.
治療開始後でも効果や副作用を確認したりトラブルシューティングに対応したり薬の変更を検討したりしなければならない.途中で頻繁に起こる副作用や問題にパターンがあって,医師は対応するべく「月経困難症治療あるある」に習熟しておかなければいけない.「あるある」とは頻繁に起こる事柄を意味しており,たとえばLNG‒IUS では「不正出血が続く」「脱出した」「生理がこない」「糸が見えなくなった」などの本当にあるあるなトラブルから,「穿孔した」「筋腫が大きくなった」など少なめだけれども無視できないあるあるなトラブルまである.LNG‒IUS は局所療法の1 つであるために基本的に排卵が抑制されないという大きなメリットがあるが,それは全身作用が少ないというデメリットにもなる.また子宮内に留置するという特殊な投与法ならではの特徴や管理法も理解しておく必要がある.
本号では月経困難症治療のエキスパートに「月経困難症治療あるある」を伺い,それぞれの機序やトラブルシューティングを教えていただく.本号が少しでも診療の一助になり,月経困難症に悩む女性のQOL 向上につながれば幸甚である.
(帝京大学ちば総合医療センター産婦人科 五十嵐敏雄)