産科と婦人科
精選された情報満載読者各位にとって欠かすことができない情報をタイムリーに提供. 「生殖おもしろ話」・「外界事情」・「青い血のカルテ」・「産婦人科診療 私のコツ」など連載も充実.
抜群の読みやすさオール2色刷り.一目でキーポイントがわかるレイアウト.
充実したラインナップ日常診療の場で即役立つ「増刊号」を年各1冊発行.日進月歩で激変する医学界のキーワードを読み解き,読者各位の壮大な負託に応えるべく「産科と婦人科」は微力を注ぎます.
2022年 Vol.89 No.増刊号 2022-03-24
こんな時どうする?他科とのコミュニケーションガイド
定価:10,450円(本体価格9,500円+税)
「産科と婦人科」編集委員会
五十嵐敏雄 石本人士 寺内公一 宮城悦子
(五十音順)
ねらい
第1章 新生児科・小児科・新生児外科
1.新生児の呼吸障害 内山 温
2.黄疸,高ビリルビン血症 高橋尚人
3.新生児のショック 松崎陽平
4.新生児の感染症 越智史博
5.新生児低血糖 北東 功
6.母体糖尿病から生まれた新生児の管理 久保井 徹
7.母体甲状腺機能異常から生まれた新生児の管理 河井昌彦
8.母体自己免疫疾患から生まれた新生児の管理 和田雅樹
9.新生児の嘔吐,腹部膨隆,排便障害 大森さゆ
10.新生児の分娩損傷 長 和俊
11.なんとなく元気のない新生児 中西秀彦
12.新生児のけいれん 長田朝美・他
13.新生児メレナ 山道奈都子・他
14.先天性股関節脱臼 朝貝芳美
15.先天代謝異常スクリーニング 杉山洋平・他
16.胎児の口唇口蓋裂 岡部圭介・他
17.新生児外科疾患 藤野明浩
18.性分化疾患(DSD)およびTurner症候群 中谷久恵・他
19.小児悪性腫瘍治療後のヘルスケア 清谷知賀子
第2章 内分泌内科
1.糖尿病と妊娠 和栗雅子
2.甲状腺疾患と妊娠 吉原 愛
3.糖尿病 鴫山文華・他
4.ビタミンD不足・欠乏の予防と対応 猪川聡美・他
5.甲状腺機能異常(不妊症・更年期障害など) 片井みゆき
第3章 消化器内科・消化器外科
1.炎症性腸疾患 西田大恭・他
2.術後腸閉塞症 三毛牧夫
3.便秘 鈴木秀和・他
4.痔核・脱肛 山名哲郎
5.消化管間質腫瘍(GIST) 三宅基隆・他
6.末梢挿入式中心静脈カテーテル(PICC) 井上善文
7.急性虫垂炎 畑 啓昭
8.腸管損傷の回避法・対処法 Strategy for bowel injury in laparoscopic surgery 福永正氣・他
第4章 循環器内科・呼吸器内科
1.妊婦の先天性心疾患 大内秀雄
2.気管支喘息・呼吸器疾患 松山洋美・他
3.不整脈 甲谷友幸
4.虚血性心疾患 河野宏明
5.睡眠時無呼吸症候群と多血症 神下耕平・他
第5章 膠原病科・リウマチ科
1.抗リン脂質抗体症候群 舟久保ゆう・他
2.ベーチェット病 土田優美・他
3.全身性エリテマトーデス 阿部早和子・他
4.線維筋痛症・慢性疲労症候群 三木健司
5.関節リウマチ 松本 功
第6章 脳神経内科・脳神経外科
1.脳梗塞のプライマリーガイド 千葉哲矢・他
2.可逆性後部脳症症候群(PRES)・可逆性脳血管攣縮症候群(RCVS) 伊藤泰広・他
3.妊産婦脳卒中 黒田 敏
4.てんかんと妊娠 藤本礼尚
5.抗NMDA受容体脳炎 Anti‒N‒methyl‒d‒aspartate(NMDA)receptor encephalitis 亀井 聡
6.下垂体腫瘍 立花 修
7.頭痛 永田栄一郎
8.認知症 越智雅之・他
第7章 整形外科・老年内科
1.妊婦の整形外科疾患―腰痛の対応と分娩時の諸注意を中心に― 久野木順一・他
2.女性アスリートのヘルスケア 大沢亜紀・他
3.骨粗鬆症 土江博幸・他
4.関節痛・変形性関節症とロコモティブシンドローム 石橋英明
5.フレイル 小川純人
第8章 腎臓内科・泌尿器科
1.高血圧 豊原敬文・他
2.腎疾患 内田啓子
3.腎移植後の妊娠 市丸直嗣・他
4.尿路結石・尿路感染症 井口太郎・他
5.産婦人科領域の難治性腹水症に対するCARTの実際 山田洋輔・他
6.骨盤臓器脱 布施美樹・他
7.下部尿路機能障害 吉澤 剛・他
第9章 皮膚科・形成外科
1.妊婦の皮膚疾患 藤本和久
2.ケロイド 小川 令
3.ヘルペス 本田まりこ
4.高度肥満女性の創部離開 榊原俊介・他
5.抗悪性腫瘍薬・分子標的薬による皮膚障害 浅井知佳・他
第10章 耳鼻咽喉科・眼科
1.めまい 伏木宏彰・他
2.妊婦の眼科疾患 大内亜由美・他
第11章 歯科・口腔外科
1.妊娠中の歯科治療 松浦信幸
2.更年期女性にみられる口腔疾患への対応 伊藤加代子・他
第12章 精神科
1.妊産婦の精神科疾患 竹内 崇
2.統合失調症 赤尾綾香・他
3.摂食障害 佐藤薫子・他
4.月経前症候群(PMS)・月経前不快気分障害(PMDD) 大坪天平
5.うつ 前田優那・他
第13章 乳腺外科
1.乳がんと妊娠 池田達彦・他
2.ホルモン補充療法有害事象としての乳がん 片岡明美・他
第14章 腫瘍内科・血液腫瘍内科
1.免疫チェックポイント阻害薬の副作用 三宅絵里佳・他
2.血液疾患合併妊娠 横山健次
第15章 放射線科・麻酔科・緩和ケア科
1.CVカテーテル・CVポート 菅原俊祐
2.産婦人科手術の術前評価 稲垣喜三
3.深部静脈血栓症合併患者の周術期管理 板垣博也・他
4.婦人科患者のがん疼痛 余宮きのみ
第16章 東洋医学科
1.産婦人科医が知っておくべき漢方診療 森 瑛子・他
索引
年齢を重ねるに連れて,「外部環境の不連続な変化が内部環境に与える影響は,内部環境の自発的な調節をはるかに超える」ことをますます実感している.身近な例でいえば,2時間の会議のために往復6時間かけて移動するようなことが2年前まで当たり前に行われており,時間の面でも費用の面でもそれはあまりに無駄ではないかと誰もが感じていたに違いないが,自発的にそれを変えることはなかなか困難であった.しかしSARS−CoV−2による環境の激変によりわれわれはZoom,WebEx,or Teamsの中で日々生息しており,あの頃の形に戻ることは今後二度とないであろう.
同じようなことを,本増刊号のテーマである「他科とのコミュニケーション」についても感じている.われわれはストレート研修の世代に属しており,大多数の人間は卒業してすぐに,大学病院のいずれかの診療科に所属した.他科の実臨床に関する知識は学生時代に実習で頭の中に蓄えたわずかなもののみであり,ちょっとしたことですぐに行き詰ってしまう.先輩の先生方も多くは同じキャリアパスを辿っており,他科のことをよく知っているのは例外的に優秀な先生だけであった.さりとて忙しい最中に直接あれこれと基本的なことを訊きに行くには,他科との垣根はそれなりに高かった.そんな時に生協の書店でみつけたある商業誌のバックナンバーがとても頼りになって,今でもその特集号は自分の本棚に鎮座している.『産科と婦人科』1992年第59巻の増刊号「他科から産婦人科医へのアドバイス―他科のコンサルテイションを受ける前にこれだけは知っておきたいミニマムエッセンス」がそれである.620頁の大部であるが,134項目にわたりすべて他科の専門家の先生方が,産婦人科医の日常的にもつ疑問に詳しく答えている.
今般縁があって本誌の編集のお手伝いをさせていただくことになり,増刊号の企画を考える段になって最初に思い浮かんだのが上記の書物であった.約30年前の自分のお気に入りが現代に蘇ったらどうなるだろう? 幸いほかの編集委員の先生方と編集部のご賛同をいただき,さらに他分野のエキスパートの先生方を執筆者としてお招きすることができて,ここに85項目からなる「こんなときどうする? 他科とのコミュニケーションガイド」の企画が完成したことは,大きな喜びである.
1つだけ気になっていること,それは2004年の臨床研修必修化という外部環境の不連続な変化が,「他科とのコミュニケーション」を劇的に変えたのではないか,ということである.今の若い先生方は2年間の初期研修中に多くの科の臨床的な知識を肌感覚として身に着け,さらに病院中に構築された「いつでも相談できる先生」のネットワークが,他科との垣根をとても低くしているように見受けられる.そんな若い先生方は,30年前の自分と同じようにこの本に好意をもってくれるだろうか? ぜひ感想をお聴きしたいと思っている.
「産科と婦人科」編集委員
東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科茨城県地域産科婦人科学講座 寺内 公一
帝京大学ちば総合医療センター産婦人科 五十嵐敏雄
東海大学医学部専門診療学系産婦人科 石本 人士
横浜市立大学医学部産婦人科学教室 宮城 悦子