産科と婦人科
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2023年 Vol.90 No.11 2023-10-19
子宮頸がんの包括的戦略
定価:3,190円(本体価格2,900円+税)
企画 宮城悦子
Ⅰ.発がんメカニズムと予防・検診
1.子宮頸がんの発がんメカニズム / 柊元 巌
2.子宮頸がん予防―HPVワクチンが果たす役割 / 工藤梨沙・他
3.子宮頸がん検診―1)子宮頸部細胞診が果たす役割 / 小田瑞恵
4.子宮頸がん検診―2)HPV検査が果たす役割 / 黒川哲司・他
Ⅱ.診 断
5.子宮頸部上皮内病変の精密検査とフォローアップ / 杉山裕子
6.子宮頸部腺癌の病理―HPV関連腺癌とHPV非依存性腺癌― / 岩本雅美
7.子宮頸がんの臨床進行期決定における画像診断の役割 / 栗原宏明・他
Ⅲ.治 療
8.子宮頸部上皮内病変の治療 / 笹川寿之
9.浸潤子宮頸がんの妊孕性温存療法の適応と限界 / 田中京子・他
10.進行子宮頸がんに対する広汎子宮全摘出術の合併症対策 / 宇津木久仁子・他
11.子宮頸がんに対する低侵襲手術の今 / 小林栄仁
12.進行子宮頸がんに対する放射線治療の進歩 / 幡多政治
13.進行・再発子宮頸がんの薬物療法の進歩 / 宇佐美知香
14.妊娠合併子宮頸がんの治療コンセンサス / 田畑 務・他
15.若年子宮頸がん患者の根治的治療後のQOL改善 / 吉丸真澄
連 載
弁護士が答えます!法律にまつわるあれこれ
説明内容を理解してもらうのが難しそうな患者からの同意取得はどうすればいいの? / 粟野公一郎
専門医・認定医をとろう!私の体験記 第6回
臨床遺伝専門医(日本人類遺伝学会/日本遺伝カウンセリング学会) / 関口 太
症例
子宮腺筋症より発生した未分化子宮肉腫の1例:子宮腺筋症の悪性化リスクの考察 / 長井友邦・他
日本では,子宮頸がん検診の受診率が約40%と,欧米先進国の70~90%と比べて低いうえ,受診率は高齢者で定期的に受診し,毎回「異常なし」の結果を受け取っている比較的高齢の女性の受診に支えられているという現状があります.
また,HPVワクチンについては,9年にわたった定期接種の勧奨差し控えが2022(令和4)年度より中止となり,2022年度に25歳になるまでの年代の女性が3年間の無料キャッチアップ接種を受けられることになりましたが,まだ接種率は低迷しています.よって,日本では当面の間,進行子宮頸がんの患者は減少しないことが予測されており,包括的戦略が求められております.
そのような背景のなかで,HPVワクチンに関しては2023(令和5)年度より定期接種となった9価HPVワクチンについて,子宮頸がん検診に関しては細胞診・HPV検査各々の役割について概説いただきました.
また,診断に欠かせない精密検査の適応と方法,HPV関連がん・非関連がんの概念が導入されつつある子宮頸部腺癌の病理診断,臨床進行期分類に使用可能な画像モダリティについて取り上げました.
さらに治療については,血管新生阻害薬に加えて免疫チェックポイント阻害薬が使用可能になったことや,手術・放射線治療の進歩について,分野でご活躍の先生に解説をお願いしました.
本特集で,現在における子宮頸がんの予防から最新治療まで,包括的戦略にキャッチアップいただければ幸いです.
(横浜市立大学医学部産婦人科学教室 宮城悦子)