小児科診療
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連載「Photo Quiz」ではビジュアルに画像診断のポイントを解説.
2021年 Vol.84 No.増刊号 2021-04-02
〜エキスパートの経験に学ぶ〜小児科 Decision Making
定価:9,900円(本体価格9,000円+税)
序 文 /山岸敬幸,永田 智,星野 直,三牧正和
1 よくみる症状
発 熱 /深沢千絵
胸 痛 /東 浩二
発 疹 /井上紳江
易感染 /高田英俊
成長障害 /數川逸郎
不明熱 /清水博之
失 神 /市橋 光
2 緊急を要する病態
意識障害 /星野英紀
髄膜炎 /齋藤昭彦
呼吸困難 /松井彦郎
ショック/低血圧 /植松悟子
てんかん重積状態 /菊池健二郎・他
3 中毒および異物による病態
食中毒 /菅田 健
異物誤飲 /竹井寛和
薬剤による中毒 /喜屋武玲子・他
ガス中毒 /喜屋武玲子・他
4 外傷等
頭部外傷 /井原 哲
四肢外傷 /滝川一晴
熱 傷 /山本 康
5 行動・発達の問題
乳幼児期の発達遅滞 /井之上寿美・他
注意欠如多動症 /宮島 祐
自閉スペクトラム症 /広瀬宏之
尿失禁・夜尿 /大友義之
学業不振 /岡 牧郎
睡眠障害 /星野恭子
不登校状態 /関口進一郎
うつ(うつ病・うつ状態) /高橋長秀・他
食行動異常 /北島 翼・他
児童虐待 /小川 厚
6 神経に関する病態
知的障害 /高橋長久
小頭,大頭,頭蓋変形 /阿部裕一
頭 痛 /藤田光江
有熱性けいれん /星野廣樹・他
無熱性けいれん /日暮憲道
乳児の筋緊張異常 /佐藤敦志
筋力低下 /小牧宏文
不随意運動(ジストニア,ヒョレア) /井手秀平
運動失調 /水野朋子
7 眼・耳・鼻・喉に関する病態
視覚障害 /林 思音
結膜充血 /豊口光子
斜 視 /神部友香
頭頸部腫瘤 /仲野敦子
鼻 炎 /西村龍夫
いびき /杉山 剛
咽頭炎・扁桃炎 /田島 剛
8 呼吸器に関する病態
咳 嗽 /望月博之
無呼吸 /木原裕貴
呼吸困難 /木村光一
喘 鳴 /吉原重美
9 心臓と血管に関する病態
チアノーゼ /山岸敬幸
徐 脈 /住友直方
うっ血性心不全 /竹蓋清高・他
高血圧 /藤田直也
リウマチ熱 /塩野淳子
上室頻拍 /牛ノ濱大也
心室頻拍 /鈴木嗣敏
心雑音 /中澤 誠
10 消化器に関する病態
急性腹症 /柏木項介・他
慢性・反復性腹痛 /藤川皓基・他
急性下痢 /鍵本聖一
慢性下痢 /虻川大樹
嘔 吐 /安田亮輔・他
血 便 /余田 篤
便 秘 /中山佳子
腹部腫瘤 /家原知子
黄 疸 /田川 学
腹 水 /荒川 歩
肝腫大 /野口篤子
脾 腫 /堀越泰雄
肝機能異常 /虫明聡太郎
11 腎・泌尿器に関する病態
血 尿 /三浦健一郎・他
蛋白尿 /堀之内智子・他
急性腎障害 /藤永周一郎
陰嚢腫脹/陰嚢痛 /末吉 亮
12 筋・骨格に関する病態
筋・骨格系の障害 /佐藤孝俊・他
足・関節痛 /岸 崇之
歩行異常・跛行 /高村和幸
13 皮膚に関する病態
丘 疹 /玉城善史郎
母 斑 /馬場直子
水 疱 /定平知江子
14 血液に関する病態
リンパ節腫脹 /滝田順子
貧 血 /前田美穂
好中球減少 /鶴田敏久
血小板減少 /坂本 淳・他
凝固異常 /藤村純也
15 ホルモン・代謝・電解質に関する病態
外性器異常 /石井智弘
思春期遅発 /志村直人
高カルシウム血症,低カルシウム血症 /大薗恵一・他
高血糖 /鈴木潤一・他
高カリウム血症,低カリウム血症 /幡谷浩史
低ナトリウム血症,高ナトリウム血症 /奥田雄介・他
低血糖 /鈴村 宏
先天代謝異常症 /但馬 剛・他
代謝性アシドーシス /松村和哉・他
肥 満 /井ノ口美香子
思春期早発症(男児) /有阪 治・他
思春期早発症(女児) /有阪 治・他
低身長 /井垣純子
16 思春期女子に特有の病態
思春期女子の多毛 /中野さつき・他
思春期女子の不正性器出血 /横浜祐子・他
骨盤内炎症性疾患 /津田尚武
思春期女子の腹痛と月経困難 /白土なほ子
外陰腟炎 /藤本晃久
無月経(原発性,続発性) /甲村弘子
17 新生児に関する病態
新生児期の貧血 /落合正行
新生児期の黄疸 /小谷野耕佑
新生児期の出血性疾患 /近藤昌敏
新生児の呼吸障害 /長谷川久弥
新生児期の先天代謝異常症 /衞藤 薫
新生児発作 /奥村彰久
新生児の敗血症 /内山 温
索 引
山岸敬幸 /慶應義塾大学医学部小児科
永田 智 /東京女子医科大学小児科学講座
星野 直 /千葉県こども病院感染症科
三牧正和 /帝京大学医学部小児科
小児科医は子どもの健康と病気について,いつも思いを新たに,自ら修練しなければなりません.研修医であっても指導医であっても,勤務医であっても開業医であっても,生涯にわたって勉強し続ける義務があります.続けるためには,わかりやすく,楽しく,元気が出るような教科書で学びたいものです.
私たち小児科医の診療の基本は,両親から病歴を聴取し,子どもの身体所見を引き出し解釈すること,そしてさらに進んだ情報を提供することにあります.小さな子どもたちを診療する医師は,その観察力と直感力を磨くことが重要です.注意深く観察することの価値は高く,この観察で見つけた手がかりとそれまでに学んだ知識に,おそらく経験からくる直感的なひらめきも結びついて診断に至ります.たくさんの子どもたちのたくさんの病気の診察のために忙しい日々の中では,単純で気楽なアプローチも必要ではないか,と思っていました.そこで本増刊号では,単純で気楽に読めて,しかも確実なアプローチを教えてくれる書籍として,小児疾患の主要症候・病態を全領域からピックアップし,各領域のベテランの先生方に,診断に至る過程(鑑別診断)をフローチャート形式で,診断後の治療を図表で示していただきました.文章による解説には一般的な説明以外に,むしろ筆者の先生方の知識や経験に基づく,診療における“エキスパートのコツ”,“tips”,“落とし穴”を述べていただきました.鑑別診断や治療の手引きとしての簡潔で見やすい図表と,実際に患者を診療する際の,ベテランの先生方の成功の秘訣,失敗しない秘訣,ちょっとしたコツを共有できる一冊となりました.
小児科医の診療のアプローチは基本的に臨床的であり,この増刊号は症状と徴候にこだわりました.病気の定義や,周到な臨床像や,詳細な検査所見などを解説する系統的な教科書ではありません.本書に収載された教訓的なアプローチによって,診療に携わるすべての小児科医は元気づけられるでしょう.シンプルでありながら,子どもたちをもっと手厚く,もっと思慮深く診療できるようになるために,本書に散りばめられた金言,格言,警句など,ぜひ楽しみながらお読みいただき,そしてすぐにでも日々の診療に生かしていただければ,誠に幸甚です.