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小児科診療 最新号

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雑誌「小児科診療」2022年 Vol.85 No.1 基礎理論に基づいた小児漢方診療

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掲載論文

序 文 西村 甲 

Ⅰ.漢方基礎理論
漢方基本病態の考え方  /西村 甲 
漢方理論からみた小児の成長と発達  /西村 甲 

Ⅱ.漢方診療における基本事項
基本病態からの漢方薬の選択方法  /石毛 敦 
一般的服用方法と小児科的アレンジ  /坂﨑弘美 
母子同服  /齋藤 陽 

Ⅲ.疾患別漢方治療
皮膚疾患―アトピー性皮膚炎を中心に―  /前嶋啓孝 
慢性呼吸器系疾患  /羽根靖之 
うつ病・パーソナリティ障害  /森 蘭子 
発達障害・脳性麻痺  /尾崎裕彦 
小児の睡眠障害に対する漢方治療の基本的な考え方とその実際  /平岩久幸 
循環器疾患  /玉田耕一 
機能性頭痛  /橋本倫太郎 
消化管疾患  /山中章好 
肛門疾患  /藤井泰志 
血液疾患  /川島 希
腎・泌尿器疾患  /髙村光幸 
肝胆膵疾患  /松浦恵子 
月経関連疾患  /小川恵子 
急性感染性呼吸器疾患  /野上哲夫 
学校保健安全法関連感染症と小児漢方診療  /木許 泉 

漢方処方リスト

ねらい

基本理論に基づいた小児漢方診療
西村 甲  /伊勢慶友病院小児科

 これまでも小児科漢方診療に関する特集が組まれてきており,小児診療においても漢方の利用が注目されています.多忙な日常診療において即実践できることは重要であり,臨床エビデンスもあれば,初心者にとって漢方薬の選択は容易になります.従来の特集においては,このような視点に重きを置いていたと思います.しかし,漢方は単にガイドラインに則って利用するものではありません.本来漢方薬を処方するうえで,漢方病態を把握することは必要不可欠です.
 今回の漢方特集では,以下のことを読者に理解していただきたいと考えております.患児の漢方病態を把握したうえで,各患児に適した漢方を処方することが効果を引き出すポイントとなること,さらに,これをふまえて投与したとしても,必ずしも有効であるとは限らず,その場合,当初の漢方診断において隠れていた別の病態に注目していく必要があること,です.このような病態判断においては,どうしても基本的な漢方理論を習得しておくべきです.本特集では,基礎となる漢方理論も一部用いながら,患児の病態分析をすすめつつ,根拠をもって漢方診療を行うことを目標としています.
 このような目標を達成するためには,第一に重要な点は漢方用語の定義です.同じ用語であっても用いる人によってその意味が異なることが多々あります.それなりの漢方経験者であれば,用いる人の背景を知ることで大凡用語の意味を把握することができます.しかし,いまだ統一されたとはいえない状況にある漢方用語のために,初心者は翻弄されてしまうことがよくあります.本特集をご覧になる読者におかれては,このようなことが極力ないように配慮しました.総論で,本特集で用いる基本用語とその定義を提示します.長く漢方に取り組むうえで,最も違和感なく対処していける定義だと考えております.
 次に,漢方薬そのものの理解が大切になります.総論で種々病態における漢方処方と西洋薬との併用に関する解説を行います.漢方薬は種々の生薬から構成されていますが,そのなかには基本病態に対する漢方薬の組み合わせであったり,基本病態に対する漢方薬に数種の生薬が付加されたりするものがかなりあります.このような漢方薬の組成分析を行うことで,その特徴をより把握しやすくなります.また,西洋薬中心に治療されている場合には,漢方薬との併用には十分注意する必要があり,その点についても要約を提示しておきました.
 このような土台のうえに漢方診療を行っていくと,患児にひそむ種々の病態を把握して,各々の病態に適する処方を選択することが可能になります.効果が認められなかった場合,マニュアル的処方のように行きづまる危険性は低減されると思います.各論では,漢方治療が効果的な疾患を取り上げ,病態分析についても解説しておりますので,総論と対比しながら理解を深めてください.同じ病名でも患児の漢方病態は異なることがありますので,その分析には苦労もありますが,そこを解決できた場合には初心者の域を大きく超えたことになり,漢方治療をさらに充実感をもって行うことができるようになります.
 本特集が漢方に取り組むきっかけとなり,さらには漢方に対する理解を深め,より専門的に習熟していく基盤となることを期待しております.
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