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小児科診療 最新号

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雑誌「小児科診療」2022年 Vol.85 No.3 症例から考える小児泌尿器疾患小児病院での私のみかた

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掲載論文

序 文  /山崎雄一郎 

Ⅰ.乳幼児によくみる泌尿器疾患
乳児の水腎症(腎盂尿管移行部通過障害)①  /相野谷慶子 
乳児の水腎症(腎盂尿管移行部通過障害)②  /佐藤裕之 
乳児の重複腎盂尿管・尿管瘤①  /西 盛宏・他 
乳児の重複腎盂尿管・尿管瘤②  /松井 太・他 
乳児の後部尿道弁①  /益子貴行・他 
乳児の後部尿道弁②  /濱野 敦・他 
乳児の尿路感染と膀胱尿管逆流①  /長谷川雄一 
乳児の尿路感染と膀胱尿管逆流②  /川合志奈 
乳幼児の停留精巣・遊走精巣①  /大橋研介・他 
乳幼児の停留精巣・遊走精巣②  /春名晶子・他 
乳幼児の埋没陰茎と包茎①  /久松英治 
乳幼児の埋没陰茎と包茎②  /此元竜雄 

Ⅱ.学童期によくみる泌尿器疾患
学童期の尿失禁①  /中村 繁・他 
学童期の尿失禁②  /市野みどり
学童期の夜尿症①  /松野大輔 
学童期の夜尿症②  /上仁数義・他 

Ⅲ.急いで対応すべき小児泌尿器疾患
精巣捻転―新生児期から思春期までの対応―  /上原央久・他 

症例報告
吸入ステロイド薬の中止により改善したびまん性汎細気管支炎の症例  /寺尾彩子・他 

第26回川崎病全国調査成績  /阿江竜介・他 

ねらい

症例から考える小児泌尿器疾患:
小児病院での私のみかた

山崎雄一郎  /神奈川県立こども医療センター泌尿器科

 筆者は泌尿器科医として大学病院と小児病院にそれぞれ20年近く勤務してきた.大きな違いは患者の紹介元である.大学病院泌尿器科には泌尿器科医から紹介が多く,小児病院泌尿器科には小児科医から紹介が来る.当たり前のように思われるかもしれないが,泌尿器科医には泌尿器科医師のみかた,考えかたは容易に想像できる.ところがいくら小児泌尿器を専門として長く診療してきても,根が外科医である小児泌尿器科医に小児科医のみかた,考えかたが本当にわかるのかと言われると自信がない.逆もしかりであろう.この異なる診療科間でよいコミュニケーションが取れることが小児泌尿器診療では重要となる.本特集をお引き受けするにあたりそのための一助になればという思いが生じた.
 小児泌尿器疾患を最初にみるのは小児科医である.その小児科医を読者とする本誌に泌尿器科医が疾患の解説を書くと,気がつかないうちに教えようという上から目線になりやすい.
 それでは小児科医の共感を得られないのではないかと考え,2つの工夫を行った.1つは症例提示から入って臨床の現場の空気を作ってもらおう.もう1つは同じ疾患項目を複数の医師に解説してもらった.ガイドラインが多数発刊される今日でも,現場の診療は医師や施設により異なる.異なる考え方を掲載することで,読み手である若手小児科医の迷いを生むのか,共感を得られるのかはわからない.しかしそれがリアルワールドである.書き手の方も複数が同じ項目を書くとなると,読み手にどう自身の診療を伝えるかを普段以上に考えてくれるかもしれない.
 本特集では教科書のように小児泌尿器疾患を網羅的には取り上げなかった.小児科医が最初に診断することの圧倒的に多い疾患,泌尿器科医から小児科医にフォローをお願いすることがある疾患,腎機能の予後からこれだけははずせない疾患,そういった基準で選択した.小児泌尿器として重要な分野ではあるが,性分化疾患や尿道下裂は新生児・乳児期から専門的もしくは外科的診療が主体となるため割愛した.また診療方針が明確に規定されているWilms腫瘍,横紋筋肉腫といった腫瘍もはずさせていただいた.
 執筆にあたって著者は全員小児専門施設の小児泌尿器科医,それも筆者のような引退間際でなく現役バリバリの先生方にお願いした.筆者自身の経験からいっても圧倒的多数の小児泌尿器疾患を小児科医から紹介されていると思うからである.提出いただいた原稿を読み,狙い通りであった.読みすすむことで筆者自身が多くの気づきを感じ,勉強をさせていただいた.著者の皆様方にお礼申し上げる次第である.そして同じ小児泌尿器疾患でも様々な対応のあることを小児科医の皆様に感じていただき,小児泌尿器疾患に対するさらなる興味をもっていただければ幸いである.
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