小児科診療
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連載「Photo Quiz」ではビジュアルに画像診断のポイントを解説.
2022年 Vol.85 No.6 2022-05-12
小児神経検査マニュアル
定価:3,080円(本体価格2,800円+税)
序 文 /石垣景子
Ⅰ.各検査の目的と方法
脳波検査 /伊藤 進
表面筋電図検査/針筋電図検査 /石山昭彦
大脳誘発電位 /木村一恵
末梢神経伝導検査 /藤井克則・他
終夜睡眠ポリグラフ検査,睡眠潜時反復検査 /福水道郎
神経筋超音波検査 /石山昭彦
骨格筋画像検査 /佐藤孝俊
髄液検査 /福與なおみ
先天代謝異常症検査 /李 知子
心理・発達・知能検査 /中務秀嗣
Ⅱ.症状・疾患からみた検査のすすめ方
てんかん,発作性疾患 /白石秀明
不随意運動(ジストニア) /熊田聡子
末梢神経疾患 /荒畑幸絵・他
神経筋接合部疾患 /白井真規・他
筋疾患 /小牧宏文
自閉スペクトラム症 /星野恭子
症例報告
新規SCN11Aバリアントを同定した小児四肢疼痛発作症の1大家系例 /朽方豊夢・他
小児神経検査マニュアル
石垣景子 /東京女子医科大学小児科
日常診療において,小児神経疾患と遭遇する機会は少なくありません.小児神経疾患と一括りにいっても,てんかん,神経発達症,神経感染症,神経変性疾患,神経免疫,神経筋疾患,末梢神経疾患など多岐にわたり,これらの診断手順,検査方法をすべて把握することは,小児神経専門医であったとしても容易ではないでしょう.頭部画像以外の,小児神経疾患の臨床生理検査や負荷試験に関して,具体的に記載されている書物は少なく,専門施設に一任されています.また希少疾病であるため,遭遇する機会が少なく,以前に経験を報告した同一施設内でも情報を維持するのは困難です.一方,内分泌疾患においては,負荷試験マニュアルが定期的に出版されており,検査にかかわる情報が維持され,普及したことで,内分泌疾患の早期診断,治療に結びついているといえます.このため,今回,小児神経疾患の検査方法に関する情報を統合し,マニュアル化することで,非専門施設であってもタイミングを逃さず診断できることを目標といたしました.
本特集では,研修医,若手医師だけでなく,小児科医の誰もが安心して小児神経疾患の検査に臨めることを目的としています.特に,小児における具体的な検査方法,検査時の注意点の記載に力を入れていただき,本特集をみれば検査が実際に行えるような,現場で役立つ記載をお願いしました.重症筋無力症の診断に塩酸エドロホニウム試験が必要であることは研修医でも知っていますが,小児に対し,体重あたりどのくらいの量のエドロホニウム塩化物注射液を入れ,どのような副作用が生じ得るか,あらかじめ準備しておくものは何かなどは,意外に得にくい情報です.周囲に依頼できる専門施設がなく,自分で実際に行わなければならない場合,多大な不安を伴うこととなりますが,このような場面で役立つことを一番の目的としています.また,先天代謝異常症の鑑別において,全例に尿中有機酸分析やアミノ酸分析を提出する若手医師が多くみられますが,これらの検査にどのような意味があるのか,もう一度検査の意義を見直す契機としていただければと思います.
「I.各検査の目的と方法」では,各検査に焦点をあて,専門医の先生方に,どのような症状,疾患を疑った場合に検査を行うか,検査時の注意点などを,研修医が理解,実施できるように具体的にご説明をいただきました.脳波検査,誘発電位などの基本的な検査から,最近話題となっている神経超音波検査,骨格筋画像検査などの新しい検査方法までを紹介していただいています.また,「II.症状・疾患からみた検査のすすめ方」では,I.をふまえ各疾患の専門家の先生方に,実際にどのように検査を駆使して,診断をすすめていくか,鑑別のフローや具体的な手順に関して,解説をお願いしました.
小児神経疾患の早期診断,早期治療を目標として,日々の診断に役立てていただければ幸いです. ご多用にもかかわらず,本特集の原稿の執筆をご快諾くださいました先生方にこの場をお借りして,深く感謝申し上げます.