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小児科診療

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2022年 Vol.85 No.11 2022-10-12

感染症診療における迅速検査を知る

定価:3,080円(本体価格2,800円+税)

冊 

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掲載論文

序 文  /久田 研

総論 感染症診療における迅速検査を知る
遺伝子診断技術の導入~わが国の現状と課題を知る~  /宮入 烈
迅速診断技術の限界を知る  /伊藤健太
今も昔も必要な検査~適切な検体採取と微生物検査を知る~  /庄司健介
AMR対策における迅速検査の役割を知る  /松永展明

各論Ⅰ 感染症診療に用いられる検査技術とその原理
迅速抗原検査(総論)  /新庄正宜
遺伝子増幅検査  /小松充孝
次世代型全自動多項目遺伝子増幅検査  /村田美香・他
Gram染色と培養検査  /上原由紀
質量分析装置  /三澤成毅

各論Ⅱ 各種感染症における迅速検査と最新の診断技術
COVID-19  /中村幸嗣・他
インフルエンザ  /佐藤晶論
RSウイルス・ヒトメタニューモウイルス  /山崎雅彦・他
マイコプラズマ・クラミジア(クラミドフィラ)  /奥村彰久
百日咳・レジオネラ  /中野沙季
水痘・帯状疱疹ウイルス・単純ヘルペスウイルス  /五十嵐 成
輸入感染症(デング熱,マラリアなど)  /水野真介
重症感染症(敗血症,呼吸器,中枢感染症など)  /吉野 豪・他

原 著
北海道における不規則なRSウイルス感染症
 流行パターンの解析  /長 和俊・他

総 説
起立性調節障害研究、睡眠研究等からみた思春期の「朝の起床困難」に関連する背景因子  /神山 潤

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ねらい

感染症診療における迅速検査を知る
久田 研  /順天堂大学医学部小児科

 感染症診療における早期診断と治療方針の決定には,適切な臨床診断とともに,起因微生物の検出・同定が重要です.そのため,特殊な装置や技術を必要とせず,リアルタイムに結果が得られるPOCT(point of care testing)が求められてきました.これまでPOCTの多くは,イムノクロマト法を中心とした抗原検査でした.しかし,抗原検査には感度に限界があり,また,検査できる微生物も限られることから,海外では,遺伝子増幅検査法を用いた感染症診断技術がすすみ,POCTとしての導入もすすんでいました.わが国でも,徐々に遺伝子増幅診断法が認可されてきましたが,POCTとしての導入にはほど遠い現状でした.しかし,COVID-19の流行を契機に,それまで研究室レベルで行われていた遺伝子増幅診断法が全国規模で広まり,検査数が増えたことからコストも下がり,POCTとしての技術や機器も開発導入されるに至りました.この流れは,今後,様々な微生物に対して応用されていくと思います.一方で,遺伝子増幅検査法には様々な方法が存在し,抗原検査法を含め,検査法の選択には,各検査法に対する十分な知識と検出限界を知っておくことが必要になります.そこで,これら最新の知識を整理し,状況に応じた検査法の選択と,得られた結果の正しい解釈の参考になればと思い,感染症診断技術についての特集を企画しました.
 本特集では,感染症診断技術の現状や課題,検査の限界などの総論に加えて,各診断技術の原理について解説いただき,実臨床での参考となるよう,迅速診断法が利用可能な感染症について,その疾患概要や診断手順,現在利用可能な検査キットや保険適用,そして,検査のピットフォールについてまとめていただきました.
 COVID-19の流行初期,無症状の人に対するPCR(polymerase chain reaction)スクリーニング検査を積極的かつ幅広く地域に導入する必要性を叫ぶ声が一部であがったことは記憶に残っているかと思います.また,最近では,家庭にも抗原検査キットが配布されるようになりました.本特集をご一読いただくことで,このような対応の利点だけではないピットフォールについてご理解いただき,実臨床での適正使用と正しい結果の解釈の参考にしていただければ幸いです.
 最後に,COVID-19の流行下でご多忙のなか,本特集の執筆をご快諾いただきました先生方に,この場をお借りして深謝申し上げます.

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