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診断と治療社 | 雑誌詳細:小児科診療

小児科診療

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2022年 Vol.85 No.秋増刊号 2022-10-05

今考える,移行期医療

定価:6,600円(本体価格6,000円+税)

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掲載論文

序 文  鹿島田健一・本田雅敬・丸 光惠

Ⅰ 概 説
 移行期医療とは  本田雅敬
 日本小児科学会と移行期医療  賀藤 均

Ⅱ 臨床現場から考えよう,移行期支援の医療体制
主要施設
 東京都立小児総合医療センター・多摩総合医療センター①医師  三浦 大
 東京都立小児総合医療センター・多摩総合医療センター②医師  辻野元祥
 東京都立小児総合医療センター・多摩総合医療センター③看護師  青木裕美
 東京都立小児総合医療センター・多摩総合医療センター④行政(東京都)
    東京都福祉保健局少子社会対策部家庭支援課母子医療助成担当
 国立成育医療研究センター/国立国際医療センター①医師  窪田 満
 国立成育医療研究センター/国立国際医療センター②医師  稲垣剛志
 国立成育医療研究センター/国立国際医療センター③看護師  古尾谷侑奈・他
 大阪母子医療センター①小児科医師  位田 忍
 大阪母子医療センター②看護師  田家由美子
 大阪母子医療センター③行政(大阪府)  大阪府健康医療部保健医療室地域保健課
 千葉大学医学部附属病院①小児科医師  日野もえ子
 千葉大学医学部附属病院②ソーシャルワーカー  横内宣敬
 千葉大学医学部附属病院③行政(千葉県)  千葉県健康福祉部疾病対策課
 長野県立こども病院①小児科医師  瀧聞浄宏
 長野県立こども病院②看護師  林部麻美
 東京大学医学部附属病院①小児科医師  佐藤敦志・他
 東京大学医学部附属病院②看護師  岩﨑美和・他
地域移行期医療
 地域医療(プライマリ・ケア)  一ノ瀬英史
 地域医療(成人期を支える)  生田陽二

Ⅲ 自立支援に欠かせない社会保障制度と就労支援
社会保障制度と就労支援
 社会保障制度と就労支援  春名由一郎
 小児慢性特定疾病  掛江直子
 指定難病  狩谷哲芳
 診療報酬  大山昇一・他
 介護保険  石渡久子・他
 行政が考える今後  遠藤明史

Ⅳ 実は知らなかった,自立支援の様々な見方,あり方
総合的な観点
 移行期支援と多職種連携  丸 光惠
 多職種連携の課題  櫻井育穂
多職種の観点
 自立支援員  本田睦子
 臨床遺伝  篠木絵理
 リエゾン  田中恭子
 臨床心理  山本悦代
 ソーシャルワーカー  城戸貴史
 薬剤師  門脇美智子・他
 患者登録システム  盛一享德
 教育者  武田鉄郎

Ⅴ 疾患モデルから考えよう これからの移行期医療
総 説
 これからの移行期医療を考える  鹿島田健一
Down症候群
 Down症候群の移行支援(小児医療から)  玉井 浩
 Down症候群の移行支援(成人医療から)  竹内千仙
5p-症候群
 5p-移行支援の概説  小国弘量
 5p-症候群支援ガイドブックの紹介  藤平容子
発達障害
 移行支援総論  石﨑優子
 移行期支援の実際(現場からの視点)  古川恵美
在宅医療ケア児
 移行支援総論  奈良間美保
 移行支援の実際(医療からの視点)  冨田 直
 移行支援の実際(社会からの視点)  望月成隆・他
二分脊椎
 移行支援総論  沼田 理
 移行支援の実際  堂前有香
希少難治性慢性消化器疾患
 移行支援の実際(医療からの視点)  尾花和子
 移行支援総論  田口智章・他
性腺機能低下症
 移行支援の実際:女性  榊原秀也
 移行支援の実際:男性  永尾光一

索 引
 和文索引・欧文索引・数字索引

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ねらい

鹿島田健一 東京医科歯科大学発生発達病態学
本田雅敬  東京都立小児総合医療センター臨床研究支援センター
丸 光惠  兵庫県立大学看護学部小児看護学

 「移行期医療」の重要性が久しく叫ばれ,巷には多くの本が溢れている.しかし,多くの医療者にとって「移行期」は身近でありながら,どこか近寄りがたい存在でもある.同じ疾患をもつ患者でも移行期医療で必要とする医療体制や社会資源が全く異なることは,よく経験する.普段,疾患別に医療課題を捉えることに慣れている医師にとって,移行期医療を前にしてとまどうことはある意味自然なことかもしれない.
 移行期医療の課題を疾患別に網羅しようとすれば,待ち受けるのは際限なく細分化され,経験則とナラティブな言説が支配する世界である.疾患がもつ特徴の重要性はいうまでもないが,疾患単位に基づいた最大公約数を求めるだけでは, 移行期医療をうまく捉えられない.
 一方,社会保障や行政サービス,コメディカルスタッフの支援などに目を広げれば,全く異なる疾患であっても,移行期医療で必要とするタスクには多くの共通点がある.むしろそうした支援にかかわるスタッフのほうが,移行期医療がもつ共通の課題とその特徴をよく理解していると感じることが多い.それらの多くは,疾患領域とは独立して,社会,地域,経済的状況により規定される.移行期医療は,各職種が担当患者の課題を手際よく見出し,各課題を統合することによってはじめて可能となる.そのような多職種の連携に基づく議論が,移行期医療の個別化を支える.
 本増刊号は,移行期医療患者を目の前に,自身で課題を見出し医療の方向性を考えるうえで活用されることを念頭に作成した.キーワードは「多角的な視点」と「自立支援」である.概説2篇による第Ⅰ部の後,第Ⅱ部で「臨床現場から考えよう,移行期支援の医療体制」と題し,移行期医療モデル事業施設の地域や行政に応じた医療体制のあり方と課題を多角的に捉えた.さらに地域医療や行政からの視点を総合的に論じた.第Ⅲ部で「自立支援に欠かせない社会保障制度と就労支援」を,移行期医療の課題に特化して考察を加えた.教育を含め,普段医療機関に勤務する立場から視界に入りにくい領域に光を当てた.多職種の観点をお互いに知ることは,移行期医療を推し進める大きな力となる.「実は知らなかった,自立支援の様々な見方,あり方」と題し,第Ⅳ部にまとめた.第Ⅴ部は疾患別の各論である.疾患を網羅せず,移行期医療のモデルとなる疾患を厳選した.
 日頃,臨床現場で遭遇する移行期患者への直接的な答えは,本増刊号には書かれていないだろう.しかし移行期医療を考えるヒントは数多く含まれている.本書を紐解くことで,移行期医療の多様な課題を捉え, 統合する道筋が,飛び石のごとく浮かび上がることを期待する.原稿執筆者は,医療スタッフに加え,行政に携わる方まで多岐に及んだ.多忙な業務の合間を縫って作成いただけたすべての執筆者の皆様にこの場を借りて深く感謝申し上げたい.

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