小児科診療
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2023年 Vol.86 No.1 2022-12-13
子どもと家族への心のケア
定価:3,080円(本体価格2,800円+税)
序 文 /古庄知己
Ⅰ.子どもと家族への心のケア:レジェンド小児科医が伝える普遍的なこと
心育ての子育て /渡邊久子
傷ついた親子に幸せを~「とも育て®」による「マルトリ予防®」の普及に向けて~ /友田明美
親子の関係性を支える /宮本信也
Ⅱ.様々な領域における心のケア
新生児・周産期領域における心のケア /永田雅子
遺伝カウンセリングの視点から考える,小児領域の心のケア /秋山奈々
COVID-19診療における心のケア /田中敏博
小児循環器領域における心のケア /仁尾かおり
小児代謝異常症(糖尿病以外)疾患診療における心のケア /石毛美夏
小児糖尿病診療における心のケア /柚山賀彦
小児腎臓領域における心のケア /濱田 陸・他
小児アレルギー疾患における心のケア /本村知華子
小児腫瘍疾患における心のケア /白井 史
重症心身障害児診療における心のケア /熊田知浩
小児救急医療/PICUにおける心のケア /池山由紀
外来小児科診療における心のケア /宮林麻里
重篤な疾患をもつ子ども・家族とこれからについて話し合う
~アドバンス・ケア・プランニングの考え方を小児医療に取り入れるために~ /余谷暢之
子どもを亡くした家族への心のケア /山下恵子
症例報告
乳児期よりアトピー性皮膚炎を合併した難治性気管支喘息に対して
デュピルマブが効果を示した20歳男性例 /寺師義英・他
短時間の有熱時けいれんで発症したけいれん重積型
(二相性)急性脳症(AESD)の一例 /杉立 玲・他
子どもと家族への心のケア
古庄知己 /信州大学医学部遺伝医学教室
これまで一般小児科医,新生児科医,遺伝科医として急性・慢性の様々な疾患・障がいをもつ子どもたちの診療に携わるとともに,地域小児保健活動に関与してまいりました.また,先天性疾患・障がいをもつ子どもの親として,医療や社会的支援を受けてまいりました.小児科診療のあらゆる領域において医療が進歩し,社会的支援体制が充実してきた現在,疾患・障がいをもつ子どもと家族への心のケアは最も重要な課題と位置づけられるのではないでしょうか.
本特集では,子どもと家族への心のケアについて,様々な視座や取り組みの実際をご紹介します.Ⅰ部では,3人のレジェンド小児科医の先生から,豊富な専門的診療の経験から心のケアの普遍的なことをお示しいただきます.小児科医が子どもの心に責任をもって向き合い全力で支えること,親子がともにあたたかく見守られて育つ環境を整備することの大切さが伝わってきます.また,ひたむきに生きる子どもたちから大人が学び,命が尊重される持続可能な社会作りを目指さなければならないことを教えられます.
Ⅱ部では,突然の疾患や障がいと向き合う新生児・周産期領域や遺伝領域,関係性の断絶を余儀なくされたCOVID-19診療の現場,長期的に疾患と向き合う循環器疾患・代謝疾患・糖尿病・腎疾患・アレルギー疾患などの慢性疾患領域,生命にかかわる疾患と向き合う救急医療や腫瘍領域,重い障がいと向き合う重症心身障害児領域,日常にひそむ親子の不安の窓口となる地域一般小児科診療における子どもと家族への心のケアについて,また子どもの生命と直接向き合うケア(アドバンス・ケア・プラニング,子どもを亡くした家族へのケア)について,日々最前線で取り組むとともに発信をされている方々(小児科医,看護師,臨床心理士,認定遺伝カウンセラー)よりご紹介いただきます.
本特集号が,全国の小児科医療施設(開業小児科,地域病院,小児病院,大学病院)や保育・療育・教育の現場で参照され,疾患や障がいをもつ子どもたちやそのご家族をあたたかく包み込む存在になることを願っています.
本企画に賛同して下さった小児科診療編集委員会の先生方,大変お忙しいなか,本特集号にご寄稿いただいた先生方に心より感謝申し上げます.
最後になりましたが,本特集を疾患・障がいをもつすべての子どもたち,そのご家族,そして日々寄り添い支えている関係者の方々に捧げたいと思います.