小児科診療
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2023年 Vol.86 No.7 2023-06-13
ポストコロナ,少子化時代:30年後の小児医療と人材育成
定価:3,080円(本体価格2,800円+税)
序 文 /濱田洋通
Ⅰ.30年後の小児医療の姿と小児医療者教育
30年後の小児医療の姿 /尾内一信
30年後の小児医療のダイバーシティ /石﨑優子
30年後を見据えた小児医療 /中村洋心
30年後の世界の小児医療 /堀内清華・他
福島から30年後の小児医療を語る /橋本浩一・他
30年後の小児科医のあり方 /種市尋宙
30年後を見据えた小児医療者教育 /菱木はるか
Ⅱ.様々な小児医療現場における展望と教育
30年後の小児医療者教育における大学の重要性 /今井耕輔
30年後の小児病院像 /中島弘道
30年後の小児療養型医療施設像 /石井光子
医療資源の少ない地域における小児プライマリケアの30年後 /黒木春郎
これから30年の医療過疎地域における小児医療の方策 /是松聖悟
IT時代の新しい小児医療(IT時代の小児科の課題) /坂本昌彦
Ⅲ.様々な領域における小児医療者教育
新生児医療における働き方改革の処方箋 /高橋尚人
移行期医療から考える小児病院の30年後
―こども病院から小児疾患専門病院へ― /鈴木保宏
小児外科の専門医教育の将来像 /小野 滋
子どもの心の医療の将来像 /永光信一郎
多職種で取り組む神経発達症ケアの将来像 /永沢佳純
症例報告
カテコラミン産生腫瘍に合併した二次性心筋肥大症の1例 /中村虹輝・他
原 著
ADHD治療薬へ抑肝散,抑肝散加陳皮半夏,小建中湯の補完的追加の有用性 /飯野彰人・他
ポストコロナ,少子化時代:
30年後の小児医療と人材育成
濱田洋通 /千葉大学大学院医学研究院小児病態学
少子化が加速しています.この原稿を書いている2023年春には2022年1年間の出生数が国の統計開始以来,80万人を初めて下回り,これは従来の人口予測より早いというのです.COVID-19パンデミックの影響もあるでしょう.実際にヒトとヒトとの出会いができない状況が約3年間にわたって続きました.経済格差もあるでしょう.また,働き方改革が広く呼びかけられていますが,まだまだ若者の結婚,出産年齢の方々のキャリアアップと家庭の両立が難しい社会です.
本特集は,20代の小児医療研修中の若手医師諸君が指導層になる30年後の小児医療の将来像について,現在の様々な現場にいる経験者が多角的に論じ,それを読者に感じてもらう企画です.少子化がすすむなか,COVID-19パンデミックによって小児診療は激変しました.感染対策によって大きく疾病構造が変化しています.この変化は一過性でしょうか?否,完全に元に戻ることはないでしょう.旧来の家族制度の崩壊,経済格差の広がり,デジタル化,小児医療は静かに変化していましたが,パンデミックによって一気に顕在化しています.今後,小児医療のニーズに合わせた研修医教育とその先のキャリア形成が必要です.
本特集では,小児医療体制,働き方改革,医療者のダイバーシティ,医療者教育に携わっている指導的立場の方々にお願いして,今後30年の小児医療の展望と若手医療者のキャリアアップに何が必要なのかを論じていただきます.第Ⅰ章は,30年後の小児医療の姿と小児医療者教育というタイトルで,大きな視点から30年後を予想していただきました.第Ⅱ章では様々な医療現場から展望と医療者教育について述べていただきました.小児病院,小児療養型施設,医療資源の少ない地域,ITをキーワードにその方面のエキスパートに執筆をいただいています.第Ⅲ章では,新生児,移行期医療,小児外科,子どもの心,多職種,といった小児医療の鍵となる領域に視点をおいて執筆いただいています.
ご多忙のなか,この挑戦的な企画に応えていただいた先生方に深謝いたします.企画者自身も何が正解かはわかりません.多様な立場にいる読者,特に若手医療者に感じるところがあればよいと思っています.