チャイルドヘルス
21世紀の子どもの保健と育児を支援する雑誌
子どもの保健と育児に関する話題・情報・研究を紹介し,やさしく解説. 子どものこころと身体を安全に育てるために,どうすればよいかを考える. 保育の現場ですぐに活かせる,日常生活に密着した内容. 偏見によらず,科学に裏づけされた内容. |
2022年 Vol.25 No.1 2021-12-24
アレルギーを予防しよう!
定価:1,760円(本体価格1,600円+税)
Myオピニオン
理想の家族でなければならないと夫妻が考えたとき,DVと虐待が始まった…杉山 春
【特 集】
アレルギーを予防しよう!
(企画の言葉…堀向健太)
1 アレルギーの予防はできる?…福家辰樹
2 離乳食早期開始…崎原徹裕
3 プレ・プロ・シンバイオティクス…岡藤郁夫
4 スキンケア・保湿剤…堀向健太
5 乳児アトピー性皮膚炎に対する早期寛解導入療法とプロアクティブ療法…濵野 翔,成田雅美
6 乳児期早期の栄養とアレルギー~母乳・人工乳・加水分解乳との関連~…下条直樹
7 ビタミンD・魚油…吉田幸一
8 アレルゲン免疫療法…佐藤さくら
9 環境調整…二村昌樹
10 抗IgE抗体を用いたアレルギー疾患の発症予防研究…森田英明
【連 載】
◆子どもに漢方薬を使ってみよう 第1回
子どもと漢方薬…中島俊彦
◆子どものための本屋さん 第1回
豊かな読書体験を。「子どもの本」と「大人の本」…茅野由紀
◆知って支援力アップ! 妊娠・出産・産後にまつわる最近の話題 第2回
不育症…中塚幹也
◆りす先生のアウトドア防災ガイド 第3回
災害時の避難所…あんどうりす
◆海外子育て体験記 第5回
家庭保育(シンガポール)…佐藤麻里
◆小児科医がみた国際保健協力~マレーシアの現場から~ 第17回
マレーシアの新型コロナ対策…堀越裕歩
◆育児Q&A
食事の栄養バランス…堀川美和子
◆海外文献の紹介
子どもの逆境体験は成人期の疾患や死亡に関連している…榊原洋一
二重抗原曝露仮説の発表から10年以上が経過し,アレルギー疾患の治療(三次予防)に関する知見が大きく進歩しました.しかし,アレルギー疾患の発症予防(一次予防),増悪予防(二次予防)に関してはまだまだ課題が多く残されているようにみえます.
母乳・加水分解乳・プロバイオティクス・ビタミンD・魚油・生後早期のスキンケアについてのアレルギー発症予防に関する報告は増えているものの,これらの情報には混乱がみられる状況であり,整理する必要があるように思われます.
そして,いまだに卵の開始時期を遅らせるといった指導も見受けられますが,早期離乳食の開始による食物アレルギーの発症予防の報告から,2017年に「鶏卵アレルギー発症予防に関する提言」が公開され,卵早期開始により,卵アレルギーの発症が少なくなることが期待されています.
また,ダニ・スギに対する舌下免疫療法が行われるようになった一方で,免疫療法がアレルギー性鼻炎以外のアレルギー疾患の発症予防に有効かどうかの整理を要すると考えられます.
さらに最近,マウスに対し妊娠中に抗IgE抗体を使用することで生まれてくる仔マウスのアレルギー発症を抑える可能性が指摘されていますが,これからの研究がどのように発展していくのかを知りたいところです.
本特集は,「アレルギー疾患の発症予防・増悪予防の今」を,最先端の先生方にご教示いただくために企画しました.急速に進歩するアレルギーをとりまく情報をアップデートする読者の皆さんにお役に立つものと思います.
(東京慈恵会医科大学葛飾医療センター小児科/堀向健太)