チャイルドヘルス
21世紀の子どもの保健と育児を支援する雑誌
子どもの保健と育児に関する話題・情報・研究を紹介し,やさしく解説. 子どものこころと身体を安全に育てるために,どうすればよいかを考える. 保育の現場ですぐに活かせる,日常生活に密着した内容. 偏見によらず,科学に裏づけされた内容. |
2024年 Vol.27 No.11 2024-10-29
子育て支援に活かそう!アタッチメント
定価:1,870円(本体価格1,700円+税)
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https://www.m2plus.com/content/isbn/9784015302711
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2024年 Vol.27 No.12 2024年11月発売予定
特集/外国人の子どもを支援する〜SDGsの視点から〜
Vol.28 No.1 特集/コロナ後どうなった? 子どもの感染症
Vol.28 No.2 特集/ヘルスコミュニケーションを考えよう
Vol.28 No.3 特集/みんなで取り組む 5歳児健診
Vol.28 No.4 特集/食育を見つめなおす〜“食”がつくる子どもの健康〜
Vol.28 No.5 特集/子どもの居場所〜安全と笑顔を守るために〜
Vol.28 No.6 特集/医療的ケアが必要な子どもと,きょうだい,家族
Myオピニオン
支援が必要な子どもたち…黒田美幸
【特 集】
子育て支援に活かそう!アタッチメント
(企画の言葉…宮本信也)
1 アタッチメントとは何か,何をもたらし得るか?…遠藤利彦
2 アタッチメントの世代間連鎖…久保田まり
3 アタッチメントの評価…金政祐司
4 アタッチメントを阻害する要因~気になる親子の背景の理解のために~…山下 洋
5 妊娠期から考えるアタッチメント…本島優子
6 アタッチメントの視点からの子育て支援…北川 恵
7 アタッチメントの障害~保育所・幼稚園での気づきと対応~…青木 豊
8 アタッチメントの障害~小学校・中学校での気づきと対応~…米澤好史
9 社会的養護とアタッチメント…谷向みつえ
10 アタッチメントの障害と発達障害…山崎知克,山崎晃子,岩﨑美奈子
11 非行とアタッチメント…工藤晋平
【連 載】
◆児童精神科医が伝えたい子どものメンタルヘルスのこと 第11回
「朝,起きられない」と子どもが訴えるとき…関 正樹
◆おさえておきたい! 子どもの歯科事情 第11回
口腔内の怪我を防ぐ~歯ブラシ事故・ストローが歯にはまる事故~…佐々木明彦
◆患者指導がぐっと楽になる! 動機づけ面接のすすめ 第11回
内科外来診療における動機づけ面接…島田 健
◆読書で育む共感力と探究心 第11回
関西国際学園初等部 Library Newsletter「司書の本棚」より②~関西の図書館巡り 大阪・神戸・西宮・京都~…熱田幸子
◆育児Q&A
はしかの流行…伊藤健太
◆海外文献の紹介
ASDやADHDを有する人の死亡率は,一般人口より有意に高い…榊原洋一
【研究・報告】
わが国の父親への育児支援状況報告~自治体と企業への調査から父親への育児支援を考える~…高木悦子,他
アタッチメント(愛着)は,子どもの心の発達を考えるうえでとても重要です.アタッチメントが適切に形成されることで,子どもは安心して親から離れ,いろいろな事柄に取り組んでいきます.困ったらいつでも親が自分を助けてくれる,守ってもらえると信じているからこその行動です.一方で,アタッチメントの形成が阻害されると,子どもたちにはさまざまな問題が生じてくることが少なくありません.生じる問題は,行動問題で示されることが多く,外在化行動問題か内在化行動問題のどちらかの状態,あるいは,しばしば両方の状態となります.発達障害に対する関心が高まり,特殊教育から特別支援教育となった2000年代後半から,問題行動を示す子どもたちがいると,「発達障害ではないか?」という目で見られるようになりました.ところが,最近では,「この子は本当に発達障害なのだろうか?」あるいは「この子は発達障害だけなのだろうか?」という問いかけが増えてきているように感じています.発達障害の枠組みだけでは理解が困難な子どもたちに対しては,アタッチメント形成の問題の視点から見つめると理解ができることがあります.アタッチメントについて適切に理解することは,子どもの問題行動の解決だけでなく,広く子育て支援にも有用です.
本特集は,このような問題意識で企画したものです.内容は,アタッチメントの総論から親子への支援,さらに,さまざまな子どもの心の問題との関連まで網羅したものとなっています.アタッチメントに関心がおありの方々に少しでもお役に立てれば幸いです.
なお,本特集の各論文において,同じ意味の用語が異なる表記となっているところがあります.例えば,「障害」・「障がい」や「アンビバレント型」・「両価型」・「抵抗型」などです.用語の選択には,執筆された方々のお考えが反映されています.その点を踏まえ,本特集においては,用語の統一を行っておりません.よろしくご理解いただければ幸いです.
(筑波総合クリニック,筑波大学名誉教授/宮本信也)