診断と治療
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2018年 Vol.106 No.1 2018-01-11
先制医療 予防医療の最前線

定価:本体2,500円+税
◆総論
先制医療―新しい個別化予防をめぐって― 井村裕夫
先制医療と新規バイオマーカー 朝長 毅
リキッドバイオプシーによる先制医療実現に向けて 吉岡祐亮
◆先制医療・予防医療の実際
大腸がんの化学予防 石川秀樹
ピロリ菌除菌と除菌後指導 松成 修,他
高血圧 藤原健史,他
心臓突然死 村田広茂,他
感染性疾患(ワクチン接種) 山田充啓,他
肝がん 持田 智
脳動脈瘤・未破裂脳動脈瘤 鈴木謙介,他
糖尿病(生活習慣病) 津下一代
◆これから期待される先制医療
Alzheimer病の発症前診断 伊藤義彰
慢性閉塞性肺疾患(COPD)の先制医療 一ノ瀬正和
◆非内科疾患の先制医療
骨関節疾患—転倒と骨折— 浦野友彦
遺伝性腫瘍における乳がんへの先制医療―遺伝性乳がん卵巣がん症候群を中心に― 田辺記子,他
アジア人の加齢黄斑変性の遺伝子変異―最新の治療について― 木下絵梨,他
◆連載
◎症例を俯瞰する総合診療医の眼
意識障害で来院し,溶血性貧血,血小板減少,破砕赤血球がみられた87歳女性 吉田 舞,他
◎人気の診療科紹介
神戸市立医療センター中央市民病院神経内科 幸原伸夫
◎注目の新薬
リフキシマ®(リファキシミン) 岩佐元雄
予防医療は高度救急病院より,むしろ一般医にとって重要な項目であると考え,予防医療の進歩に焦点をあてて特集を組みました.近年,予防医療のなかでも,ハイリスク群の診断や早期診断によって囲い込みを行い,ある患者さんに限って予防をする,先制医療が疾患によっては実現可能な時代になってきております.
本特集ではまず先制医療がどんなものであるか,それを実現可能にする技術革新の紹介と未来像を概説していただきました.つぎに内科系各疾患における予防医療・先制医療についての取り組みを紹介していただいております.ハイリスク群の囲い込みについては,実は胃がんの萎縮度や肝がんの線維化など,従来からあるマーカーなどが重要であり,遺伝子検査が必須というわけではありません.また感染症ワクチンについては予防医療の最も先駆の領域でありますが,それゆえに様々な問題点がこれまで明らかになった分野かと思います.これらに加え,最近の話題やこれからの方向性など,各分野のエキスパートの先生に解説をいただいております.
これらの考え方が医療の効率化につながり,より医療資源を集中すべきところに活用することで,医療の質的な向上がもたらされることと考えられます.また内科疾患以外の領域,特に先制医療のすすんでいる整形外科領域,婦人科領域,眼科領域については患者さんから相談を受けることも少なくないと考え,特集の最後に紹介いたしました.本特集が皆様の明日からの診療に役に立つことを祈願しております.
防衛医科大学校内科学(消化器)
穂苅量太