診断と治療
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2019年 Vol.107 No.7 2019-07-05
実地内科医のための潰瘍性大腸炎診療ABC

定価:2,860円(本体価格2,600円+税)
ねらい 穂苅量太
◆診断とモニタリング
内視鏡診断と鑑別疾患 松本主之,他
潰瘍性大腸炎の病理診断 堀内和樹,他
長期予後改善を目指した潰瘍性大腸炎診療のポイント 久松理一
モニタリング:カルプロテクチンと一般検査 山本隆行,他
実地医のための炎症性腸疾患合併癌のサーベイランス 畑 啓介,他
◆治療
炎症性腸疾患治療指針・ガイドライン 中村志郎,他
5-ASA製剤とステロイド 長坂光夫
免疫調節薬のメリット,使い方,モニタリングの実際 仲瀬裕志
血球成分除去療法の使い方 山崎 博,他
生物学的製剤やJAK阻害薬の特徴と使い分け 加藤真吾,他
腸管外合併症とその対処 丸山友希,他
外科治療 小金井一隆,他
急性増悪の要因と対処 松浦 稔,他
食事指導・生活指導 大藤さとこ,他
◆special situationの治療・将来展望
高齢者・担がん患者の治療 大森鉄平,他
妊娠・出産 安富絵里子,他
ワクチン接種 渡辺憲治,他
FMT(fecal microbiota transplantation)の現状,課題,将来展望 髙林 馨,他
連載
◎症例を俯瞰する総合診療医の眼
ふらつきを主訴に初診,歩行障害を呈して紹介された生来健康な51歳男性 村上雅子
◎注目の新薬
エンタイビオR(ベドリズマブ) 加藤 順
◎医療裁判の現場から
めまいを訴えて病院を受診した患者が,医師が脳梗塞やTIAを念頭に置かず脳梗塞の治療を遅滞させたと主張して損害金の支払を求めたが,棄却された事案 鵜澤亜紀子
潰瘍性大腸炎はこの4半世紀で爆発的に患者数が増えたcommonな難病ですが,今後も何倍にも患者数が増加することが見込まれています.これまでは専門病院を中心に治療がされてきましたが,今後の患者数の増加に対しては拠点病院と地域の病院での連携治療が不可欠となってきています.今後,新たに潰瘍性大腸炎診療に携わるようになる先生も少なくないと考えられます.潰瘍性大腸炎は軽症者も多く,病診連携に適した疾患かと思われます.もう,専門家だけ診ればよい病気ではないのです.
一方で,その診断や治療は急速に変化を遂げてきています.そこで一般内科医の先生や若手の先生に向けた潰瘍性大腸炎の特集を組むことにしました.潰瘍性大腸炎には診断に有用な血液検査はありません.内視鏡や病理診断が重要ですが,そこにも一言で表せない“コツ”があります.また疾患活動性のモニタリングにCRPはあまり当てになりません.臨床症状は非常に重要ですがときどき落とし穴があります.
新しい薬剤がたくさん出てきましたが使い分けはどのようにすればよいのでしょう? どんなときに外科の先生に紹介すればよいでしょう? 若い女性患者が妊娠した場合は? 高齢者にも同じ治療でよいの? ワクチン接種はどう勧めればよいの? 生活指導は必要なのか,何を重点的に指導すればよいの?
このような様々な疑問にエキスパートの先生に答えていただいた貴重な特集になっております.明日からの診療にお役に立てることを期待しています.
防衛医科大学校内科学(消化器)
穂苅量太