診断と治療
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2019年 Vol.107 No.9 2019-09-06
「生活習慣病」診療の新潮流:この10年で何が変わった

定価:2,860円(本体価格2,600円+税)
ねらい 鈴木 亮
◆心血管イベント一次予防のための早期治療の進歩
本態性高血圧 佐藤伸之,他
脂質異常症 若林徹治,他
メタボリックシンドローム・肥満症 山内敏正,他
◆血管障害の早期診断・新治療と重症化予防
脳血管障害 伊藤義彰
冠動脈疾患 下浜孝郎,他
末梢動脈疾患 宮田哲郎
腎不全 森武美帆,他
◆ゼロ次予防・一次予防としての環境整備と生活指導
特定健診・特定保健指導の現状と展望 村本あき子,他
「生活習慣病」の食事療法 窪田直人
喫煙をめぐる環境 鈴木幸男
減酒支援のポイント 真栄里 仁,他
不眠症の診断と治療 井上雄一
運動・トレーニングの外来指導 鈴木康裕,他
連載
◎症例を俯瞰する総合診療医の眼
心窩部痛と意識消失を主訴とした73歳男性 梅田裕司,他
◎注目の新薬
イベニティ®(ロモソズマブ) 松本俊夫
◎医療裁判の現場から
肝多発腫瘍切除手術後に発症した横隔膜へルニア・絞扼性イレウスの鑑別診断のための検査義務をめぐって 松村武志
「成人病」が「生活習慣病」という呼称に変更されて久しく経ちます.現在は広く人口に膾炙した一般語となり,超高齢社会の影響もあってか,テレビや週刊誌に溢れる健康情報は多くが生活習慣の重要性を説くものです.社会の成熟とともに,生活環境が整備されてきた側面もあります.しかし世間に流布する情報は断片的で一過性です.事実,医学の進歩は急速で,10年前の専門知識が今は主流でないということも珍しくありません.メディアに流れる情報も把握した上で,内科医はエビデンスを意識し,個別に最適化した治療を実践していく必要があります.
本特集では,慢性疾患として外来受診することの多い「生活習慣病」の早期診断と予防,治療とフォローアップについて,この10年間の潮流を専門家の解説により俯瞰的に一望することを目的としています.「心血管イベント一次予防のための早期治療の進歩」の章では,高血圧症,脂質異常症,メタボリックシンドローム・肥満症の管理について,また「血管障害の早期診断・新治療と重症化予防」の章では,脳血管障害,冠動脈疾患,末梢動脈疾患,腎不全の治療について,最後に「ゼロ次予防・一次予防としての環境整備と生活指導」の章では,特定健診の成果や,食事,喫煙,飲酒に関する近年のエビデンス,一般からの関心も高い不眠症治療やトレーニング指導など,医療者としてよく知っているつもりでいながら,ともするとあやふやな理解になりがちな知識を,各分野の第一人者の先生にアップデートしていただいています.
患者さんが求める「生活習慣」の情報に加えて,さらに一歩進んだ治療や予防を実践するための一助として,本企画が役立つことを祈念しています.
東京医科大学 糖尿病・代謝・内分泌内科
鈴木 亮