診断と治療
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2020年 Vol.108 No.6 2020-06-05
心疾患診療に活かす心臓リハビリテーション:まとめエッセンス

定価:2,860円(本体価格2,600円+税)
ねらい 網谷英介
◆心臓リハビリテーションの基礎知識
運動療法を理解するための運動生理 絹川真太郎
運動療法の方法論 堀 健太郎,他
虚血性心疾患に対する心臓リハビリテーション 紺野久美子
心不全に対する心臓リハビリテーション 木田圭亮,他
大動脈疾患・末梢動脈疾患に対する心臓リハビリテーション 牧田 茂
◆包括的心臓リハビリテーションの実際
高齢者における心臓リハビリテーションの諸問題 杉江正光,他
心肺機能検査の見かたと注意 村田 誠
心不全リハビリテーション標準プログラムの概説 平敷安希博
心不全治療と栄養 鈴木規雄,他
心疾患患者の心理的スクリーニングと介入法 石原俊一
◆心臓リハビリテーションのトピックス
在宅医療における心臓リハビリテーション 鮫島光博,他
神経筋電気刺激治療の有効性 星合 愛,他
フレイル・サルコペニアの簡便な見分け方,その対策 岩津弘太郎,他
サルコペニアに対する薬物的・栄養学的介入 石田純一
心疾患患者の呼吸筋トレーニング 田屋雅信
心腎連関のリハビリテーション:腎臓リハビリテーション 大迫希代美,他
連 載
◎症例を俯瞰する総合診療医の眼
急性発症の右眼瞼下垂,複視を呈した80歳男性 小糸 秀,他
◎注目の新薬
ハルロピ®テープ(ロピニロール経皮吸収剤) 野元正弘
総 説
セマグルチドの臨床薬理学:週1回投与のGLP-1受容体作動薬 稲垣暢也
高齢化とともに,心不全を中心として循環器疾患の社会的なインパクトはますます増大してきています.それに対してさまざまな薬物療法や外科治療を含めた取り組みがなされていますが,それだけでは十分に克服できているとはいえず,それらの治療を補完すべく心臓リハビリテーションの役割がますます大きくなってきています.心臓リハビリテーションは虚血性心疾患,心不全,大動脈疾患,心臓手術後などが適応となりますが,エビデンスは十分に蓄積されているとはいえ,詳細な方法論に関してはまだ複数の検討すべき課題が残されています.特に最近問題となっているのは,高齢患者および心不全重症患者に合併することの多いサルコペニアを伴った問題で,これに対する多職種からなる多面的なアプローチの必要性は日に日に高まっているといえます.包括的リハビリテーションには運動療法に限らず,栄養学的介入,心理学的介入,患者教育などさまざまな局面が含まれるも,これらの各分野の発展ならびに各分野の横断的な検討はまだまだ発展途上の段階にあります.
そのような状況にある心臓リハビリテーションの特集として,網羅的に基礎的分野から今日的な発展的な話題にもふれ,それぞれ卓越したエキスパートの先生方に最新の情報を含めて大変わかりやすくまとめていただきました.初学者の先生方の理解を助けるための基礎的項目を最初にそろえ,中盤に現在トピックとなっている各論,終盤に現在発展段階にある今日的話題について,大変コンパクトにまとめられています.初学者の先生方のよき道しるべになるだけでなく,専門家の先生方にとっても読みごたえのある復習教材となる特集になったのではないかと自負しております.心疾患をみる一般内科医の先生にとって心臓リハビリテーションの考え方は日常診療にも応用できる重要な考え方であると思いますので,本特集がそれらをご案内できる一助となればと思います.
最後にご多忙のなか,大変わかりすい原稿をまとめていただいた執筆者の先生方に深謝申し上げます.
東京大学循環器内科
網谷英介