産科と婦人科
精選された情報満載読者各位にとって欠かすことができない情報をタイムリーに提供. 「生殖おもしろ話」・「外界事情」・「青い血のカルテ」・「産婦人科診療 私のコツ」など連載も充実.
抜群の読みやすさオール2色刷り.一目でキーポイントがわかるレイアウト.
充実したラインナップ日常診療の場で即役立つ「増刊号」を年各1冊発行.日進月歩で激変する医学界のキーワードを読み解き,読者各位の壮大な負託に応えるべく「産科と婦人科」は微力を注ぎます.
2017年 Vol.84 No.4 2017-03-17
骨粗鬆症ベストプラクティス

定価:本体2,700円+税
企画 髙松 潔
1.骨粗鬆症の疫学 / 松下 宏
2.骨粗鬆症の診断 / 牧田和也
3.非薬物療法 / 石谷 健
4.薬物療法:活性型ビタミンD / 安井敏之・他
5.薬物療法:HRT / 岡野浩哉
6.薬物療法:SERM / 藤野敬史・他
7.薬物療法:デノスマブ / 橋本 淳
8.薬物療法:ビスホスホネート / 樋口 毅
9.薬物療法:PTH / 岩本 潤
10.卵巣機能不全・POIにおける骨粗鬆症の実際と対応 / 粒来 拓・他
11.神経性やせ症における骨粗鬆症の実際と対応 / 鈴木(堀田)眞理
12.女性アスリートにおける骨粗鬆症の実際と対応 / 能瀬さやか・他
13.妊娠・産褥における骨粗鬆症の実際と対応 / 茶木 修
14.婦人科悪性腫瘍治療後における骨粗鬆症の実際と対応 / 高橋一広
15.閉経後骨粗鬆症の実際と対応 / 倉林 工・他
連載
若手の最新研究紹介コーナー
雌ラットにおいてテストステロンが体重・摂食量に及ぼす影響は
性腺ホルモン環境により異なる / 岩佐 武
来たれ!私たちの産婦人科 第4回
亀田総合病院 産婦人科 / 末光徳匡・他
Essay 外界事情
おそるべき銃社会アメリカ / 矢沢珪二郎
Essay 青い血のカルテ
ワシントン大統領の入れ歯 / 早川 智
症例
初期子宮体癌の合併が診断しえた
ポリープ状異型腺筋腫の1例 / 黒川晶子・他
急速な経過で死に至った
S状結腸癌卵巣直接浸潤の1例 / 長尾有佳里・他
HELLP症候群との鑑別を要した
感染性心内膜炎合併妊婦の1症例 / 今 沙織・他
執筆者紹介
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投稿規定
次号予告
日本人女性が約30年間も世界一の長寿を誇っていることはよく知られています.また,介護を受けたり寝たきりになったりせず日常生活を送れる期間を示す「健康寿命」も右肩上がりです.しかし,「平均寿命」と「健康寿命」の差,つまり何らかの健康障害をもって過ごす期間は逆に延びているのが現状であり,とくに運動器の障害が身体機能の低下を招くことから,ロコモティブシンドローム,サルコペニア,フレイルといった新しい用語の下に対策が始まっています.
この流れに対して,もちろん産婦人科医も無知ではいられません.とくに,運動器のうち重要な要素である骨に対してエストロゲンが大きな影響を持つことは周知であり,最大骨量の獲得,性成熟期における骨量維持に働くとともに,妊娠・分娩・授乳や閉経といったエストロゲンレベルの変化は骨粗鬆症や骨折を惹起する可能性があります.また,女性に多い摂食障害も骨へ影響を及ぼすなど,産婦人科が対応する領域は骨粗鬆症と深く関連しています.しかし,実際に骨粗鬆症の診療を行っている産婦人科医は約半数であるという残念な調査結果も報告されています.
一方,2015年には「骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン」の改訂版が策定され,加えて近年,新しい骨粗鬆症治療薬が次々と臨床に導入されており,治療の選択をどうするかという問題は複雑さを増しているのも事実です.
そこで本特集では,産婦人科領域における骨粗鬆症の診断と治療に関する現在のベストプラクティスを考えてみたいと思います.改めて骨粗鬆症の基礎から治療の最新知識までを知り,年齢や閉経後期間といった現在の状態,あるいは加療中の疾患が持つ骨粗鬆症のリスクについても理解しておくことは,骨粗鬆症診療を行うかどうかにかかわらず,産婦人科医必須の知識ではないでしょうか?
本特集を通して,骨粗鬆症に改めて興味を持っていただき,積極的な骨量測定や骨粗鬆症治療が増えることにより,日本人女性のQOLが向上することを期待したいと思います.
(東京歯科大学市川総合病院産婦人科 髙松 潔)