産科と婦人科
精選された情報満載読者各位にとって欠かすことができない情報をタイムリーに提供. 「生殖おもしろ話」・「外界事情」・「青い血のカルテ」・「産婦人科診療 私のコツ」など連載も充実.
抜群の読みやすさオール2色刷り.一目でキーポイントがわかるレイアウト.
充実したラインナップ日常診療の場で即役立つ「増刊号」を年各1冊発行.日進月歩で激変する医学界のキーワードを読み解き,読者各位の壮大な負託に応えるべく「産科と婦人科」は微力を注ぎます.
2018年 Vol.85 No.6 2018-05-18
婦人科医が注意すべき悪性腫瘍関連疾患

定価:本体2,800円+税
企画 渡部 洋
1.Peutz‐Jeghers症候群 / 石田秀行・他
2.Cowden症候群 / 寺前智史・他
3.Li‐Fraumeni症候群 / 小川英伸
4.Lynch症候群[遺伝性非ポリポーシス大腸がん(HNPCC)]/ 濵中美千子・他
5.色素性乾皮症 / 錦織千佳子
6.毛細血管拡張性運動失調症 / 小野寺雅史
7.Nijmegen染色体不安定症候群(NBS)/ 松浦伸也・他
8.Fanconi貧血 / 矢部みはる・他
9.Bloom症候群 / 金子英雄
10.Beckwith‐Wiedemann症候群 / 副島英伸
11.Werner症候群 / 森 聖二郎
12.GIST(gastrointestinal stromal tumor)/ 神田達夫・他
13.サルコイドーシス / 奈良正之
連載
医療裁判の現場から 第8回
無痛分娩をめぐる司法の動向
無痛分娩事例における民事損害賠償責任 / 秦 奈峰子
医療事故と刑事責任 / 笠間哲史
若手の最新研究紹介コーナー
婦人科癌における癌幹細胞と関連する血管内皮細胞を標的とした
新規治療法の開発 / 森 繭代
来たれ!私たちの産婦人科 第18回
社会医療法人愛仁会・千船病院 産婦人科 / 吉田茂樹
Essay 外界事情 177
ハワイのフッ素vs.虫歯戦争 / 矢沢珪二郎
Essay 青い血のカルテ 169
来たれ重き眠りよ,βアミロイドを溜めないために / 早川 智
原著
ホルモン補充周期下凍結融解胚移植における
経腟プロゲステロン製剤(ルテウムR腟用坐剤400 mg)と
経口プロゲスチン製剤(デュファストンR)の併用投与に
おける薬剤投与量と臨床成績 / 俵 史子・他
症例
当院における15歳以下の若年出産例の検討 / 藤尾加代子・他
帝王切開瘢痕部妊娠治療後,妊娠分娩に至った1例 / 木原智子・他
子宮鏡手術で診断し未治療中に増大した
低悪性度子宮内膜間質肉腫の1例 / 上野山麻水・他
10年にわたるKaufmann療法後に自然妊娠に至った無月経の1例 / 椎名有二・他
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次号予告
米国人気女優の治療体験の発信によって,遺伝性乳がん卵巣がん症候群
(hereditary breast and ovarian cancer syndrome:HBOC)が広く注目を浴びるようになり,遺伝子の生殖細胞変異に対する検査技術の確立ならびに遺伝子変異保持者に対するサポート体制の構築,さらには特定の遺伝子異常を有する悪性腫瘍に対して,より効果的に有効性を発揮する新規分子標的薬剤の開発など,近年の遺伝性婦人科がんの診療は新たなステージに移行している.
HBOC以外にも婦人科腫瘍を含めた悪性腫瘍の二次的発生に留意せねばならない疾患は種々報告されており,それらの多くは常染色体に関連する遺伝性疾患あるいは遺伝性要因を有する疾患として,厚生労働省から難病指定を受けている.しかし,ほとんどが稀少疾患であるとともに産婦人科に関連する症状に乏しいことから診療機会が少なく,病態の詳細を把握している産婦人科医は極めて少ないものと推察される.同様にこれらの疾患の診療を実際に担当する他科医師も,婦人科悪性腫瘍の二次的発生について十分な意識を有しているか否かについては不明であるといわざるを得ない.HBOC診療を機会として,乳腺外科と産婦人科が有効な診療連携体制を構築したように,今後も疾患に関連した複数診療科の密接な診療連携のための臨床情報の共有は極めて重要であると思われる.
そこで本特集においては,婦人科悪性腫瘍の発生と関連する諸疾患に関して産婦人科医の理解をより深めるために,各科のエキスパートの先生方に近年の新知見を含めた疾患の概要と注意点についてわかりやすい解説をいただくようお願いした.さらに,婦人科悪性腫瘍の二次的発生との直接的な関連性はないものの,日常診療において骨盤内腫瘍と診断され,婦人科腫瘍とくに卵巣充実性腫瘍との鑑別に苦慮されるGastrointestinal stromal tumor,および婦人科悪性腫瘍の転移および再発との鑑別診断を求められるサルコイドーシスについても産婦人科医師を対象とした実践的な解説をお願いした.
本企画が産婦人科医の新たな知識の習得のみならず,関連他科との密接な診療連携の促進に寄与できれば幸いである.
(東北医科薬科大学産婦人科 渡部 洋)