産科と婦人科
精選された情報満載読者各位にとって欠かすことができない情報をタイムリーに提供. 「生殖おもしろ話」・「外界事情」・「青い血のカルテ」・「産婦人科診療 私のコツ」など連載も充実.
抜群の読みやすさオール2色刷り.一目でキーポイントがわかるレイアウト.
充実したラインナップ日常診療の場で即役立つ「増刊号」を年各1冊発行.日進月歩で激変する医学界のキーワードを読み解き,読者各位の壮大な負託に応えるべく「産科と婦人科」は微力を注ぎます.
2020年 Vol.87 No.増刊号 2020-03-25
やさしくわかる 産科婦人科検査マスターブック

定価:9,350円(本体価格8,500円+税)
「産科と婦人科」編集委員会
大須賀 穣 髙松 潔 田中 守 渡部 洋
(五十音順)
カラー口絵
第1章 周産期分野
1. 血液型 高橋雄一郎
2. 梅毒血清反応 (STS) 笹 秀典・他
3. B型肝炎・C型肝炎 春日義史
4. HIV 水主川 純・他
5. HTLV−1 山野嘉久
6. 風疹 宮入 烈
7. サイトメガロウイルス 山田秀人・他
8. 先天性トキソプラズマ感染症 永松 健
9. 母体血胎児染色体検査(NIPT) 関沢明彦
10. 羊水検査 鈴森伸宏
11. 妊娠糖尿病スクリーニング 内倉友香・他
12. 破水検査 小川正樹
13. GBS検査 兵藤博信
14. 胎児心拍数モニタリング 鮫島 浩
15. 胎児計測(推定体重・血流) 長﨑澄人・他
16. 胎児奇形 市塚清健・他
17. 胎児付属物 長谷川潤一・他
18. 頸管長 山下有加・他
19. 産科DIC 森川 守
20. 妊娠高血圧症候群 成瀬勝彦
第2章 婦人科腫瘍分野
1. 腫瘍マーカー 平林 啓・他
2. 腹水細胞診 重田昌吾・他
3. PET 高田章代・他
4. マイクロサテライト不安定性検査 平沢 晃
5. 子宮頸部組織診 久布白兼行・他
6. コルポスコピー 坂本 優・他
7. ヒトパピローマウイルス (HPV) 松本光司
8. 子宮内膜組織診 渡邉 純
9. 子宮鏡検査 渡辺 正・他
10. 子宮内膜厚測定 金内優典
11. 卵巣癌の超音波検査 永沢崇幸・他
12. 卵巣癌の術中迅速組織診 渡辺みか
13. BRCA1/BRCA2遺伝子 関根正幸・他
14. 絨毛性疾患のhCG 山本英子・他
15. p57KIP2 田代浩徳
16. 外陰細胞診 松浦基樹・他
17. 外陰組織診 森谷卓也・他
18. センチネルリンパ節生検 山上 亘・他
19. UGT1A1遺伝子 田畑 務・他
20. がん化学療法のQOL評価 中村圭一郎・他
第3章 生殖内分泌分野
1. ゴナドトロピン 岩佐 武・他
2. プロラクチン 生水真紀夫
3. エストロゲン 小芝明美・他
4. プロゲステロン 木戸健陽・他
5. アンドロゲン 馬場 剛・他
6. 甲状腺ホルモン 平池 修
7. 抗リン脂質抗体 出口雅士・他
8. 抗ミュラー管ホルモン(AMH) 小林未央・他
9. 精液検査 宮本敏伸・他
10. 抗精子抗体検査 脇本 裕・他
11. 頸管粘液検査・Huhnerテスト 祝井麻希・他
12. 超音波による卵胞発育,排卵検査 古井辰郎・他
13. 尿排卵予測検査~尿中LH簡易測定キットの有用性,注意点~ 黄 海鵬・他
14. 子宮内膜検査 前川 亮・他
15. 子宮鏡検査 野見山真理
16. 子宮卵管造影検査 原田竜也
17. 超音波による卵管疎通性検査 関谷隆夫・他
18. 蠕動様運動 cine―MRIによる評価 吉野 修・他
19. タイムラプス検査 大津英子・他
20. 着床前検査(PGT) 高村将司・他
第4章 女性医学分野
1. 周閉経期のホルモン検査 寺内公一
2. 更年期スコア・更年期症状評価表 小川真里子・他
3. 心理テスト 中村祐三・他
4. 骨量測定 牧田和也
5. 骨代謝マーカー 森川香子・他
6. 脂質関連検査 篠原康一
7. 骨盤臓器脱関連検査 古山将康
8. 下部尿路機能障害に関する検査 中田真木
9. 淋菌 岩破一博
10. 性器クラミジア感染症 野口靖之・他
11. 単純ヘルペス 石地尚興
12. 尖圭コンジローマ 川名 敬
13. 麻疹 關 文緒・他
14. 水痘・帯状疱疹 渡辺大輔
15. 伝染性紅斑 要藤裕孝
16. 流行性角結膜炎 北市伸義
17. インフルエンザ 長谷川秀樹
18. 腟帯下 五十嵐 豪・他
19. 乳癌画像検査 加藤剛志
索引
近年は諸疾患における分子生物学的な病因解明が飛躍的に進み,産婦人科領域疾患の診断,治療および経過管理のすべてにおいてパラダイムシフトが生じてきている.特に遺伝子学的検査の急速な展開には目を見張るものがあり,婦人科腫瘍領域においては,新規分子標的薬剤の登場により薬剤有効性規定因子に関する臨床研究が進み,おもにDNA修復関連遺伝子の生殖細胞変異(germline mutation)あるいは体細胞変異(somatic mutation)の解析結果が薬剤適用のためのコンパニオン検査として保険収載された.また特定の抗腫瘍薬では,薬剤代謝関連遺伝子の検査を行うことによって効果的な有害事象の予測と管理が可能となってきている.さらに病理学的検査においても腫瘍細胞あるいは腫瘍組織における遺伝子蛋白発現の検討は診断の重要な情報として,routineに実施されていることは周知の事実である.
一方,生殖内分泌領域では,高度生殖医療による受精卵を対象とした着床前診断,さらに周産期領域においては絨毛検査や羊水検査による出生前胎児診断に,non−invasive prenatal genetic testing(NIPT)といった新規技術が導入されつつある.すなわち産婦人科診療における検査は,従来の病態に特徴的な異常値を検出する技術から,遺伝子情報という究極の個人情報を解析する手技へと変遷してきている.したがって,われわれ産婦人科医にも,新規検査に関する基本的知識と理解について頻回にupdateが求められるとともに,検査の実施にあたっては十分な倫理審査が求められていることには十分な留意が必要である.
そこで本増刊号においては,通常診療に用いられている一般検査は無論,近年の産婦人科諸分野においてトピックスとなっている新規検査についても焦点をあてて専門医に解説をいただくことを企画した.また採用した検査の保険適用の有無および検査対象疾患,および記載可能な検査については正常値の明記も依頼し,外来や病棟における検査ハンドブックとしての活用も考慮した構成を心がけた.
編集委員一同,本書が産婦人科診療における検査の有効なtoolとして活用されることを心から願っている.
(「産科と婦人科」編集委員会)