産科と婦人科
精選された情報満載読者各位にとって欠かすことができない情報をタイムリーに提供. 「生殖おもしろ話」・「外界事情」・「青い血のカルテ」・「産婦人科診療 私のコツ」など連載も充実.
抜群の読みやすさオール2色刷り.一目でキーポイントがわかるレイアウト.
充実したラインナップ日常診療の場で即役立つ「増刊号」を年各1冊発行.日進月歩で激変する医学界のキーワードを読み解き,読者各位の壮大な負託に応えるべく「産科と婦人科」は微力を注ぎます.
2024年 Vol.91 No.8 2024-07-18
PMS・PMDDのすべて
定価:3,190円(本体価格2,900円+税)
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企画 寺内公一
Ⅰ.病態・疫学・診断
1.PMS・PMDDとは何か―病態解明・治療法開発の今後の展望― / 武田 卓
2.PMS・PMDDの診断と疫学 / 尾臺珠美・他
3.日本におけるPMS・PMDD診療の実態調査 / 吉見佳奈
4.気分症の月経前増悪(PME)の諸相 / 大坪天平
5.PMS新規診断尺度の開発 / 池田裕美枝
Ⅱ.非薬物療法
6.PMS・PMDDと栄養精神医学 / 奥平智之
7.PMS・PMDDに対するサプリメント / 小川真里子
8.PMS・PMDDに対するアロマセラピー / 松本珠希
9.PMS・PMDDに対する認知行動療法 / 南 房香・他
Ⅲ.薬物療法
10.PMS・PMDDに対する漢方治療 / 堀場裕子
11.PMS・PMDDに対するホルモン療法―婦人科診療におけるピットフォール― / 白土なほ子
12.PMS・PMDDに対するSSRI―精神科診療におけるピットフォール― / 山田和男
13.PMDDに対する新規薬剤開発―海外の動向― / 寺内公一
連載
漢方よもやま話 第8回
当帰四逆加呉茱萸生姜湯 / 能㔟充彦
弁護士が答えます!法律にまつわるあれこれ
パワハラととられないように指導するには何に気をつければよいでしょうか? / 山田隆史
専門医・認定医をとろう!私の体験記 第14回
日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医(子宮鏡)(日本産科婦人科内視鏡学会) / 小芝明美
原著
CD138検査値に基づいた慢性子宮内膜炎診断基準に関する考察 / 片野美菜子・他
「月経の前に心身の不調をきたす」という病態に関する最古の記述はヒポクラテスにまでさかのぼるそうだが,現代的な「月経前症候群(premenstrual syndrome:PMS)」と「月経前不快気分障害(premenstrual dysphoric disorder:PMDD)」の疾患概念確立の嚆矢は1931年のロバート・フランクによる「月経前緊張症(premenstrual tension:PMT)」提唱にある,というのが衆目の一致するところである.爾来100年近くの時間が経過したにもかかわらず,驚くべきことにこの疾患群の正確な病態はいまだに不明であり,さらにわが国においてこの疾患が効能・効果に明記された薬剤は1つも存在しない.男性優位社会における「女性特有の,死ぬわけではない病気」に対する無関心のみがそのような停滞の理由であるかどうかは定かではないが,しかし「女性活躍推進」を目指す社会において,女性の働きやすさがOECD加盟国中下から数えて何番目,というニュースが毎年メディアを賑わす現状を何とかしなければならないというコンセンサスの下に,特に働く女性の健康問題としての月経困難症・更年期障害とならぶ負荷であるPMS・PMDDに対する関心はかつてない高まりをみせている.PMSの有病率は5~20%,PMDDの有病率は1~3%,年間の経済損失は6,000億円とも6兆円ともいわれるのであるから,それは確かに由々しき問題である.
本特集はそのような問題意識をもって企画立案された.総論としてPMS・PMDDの病態・疫学・診断などについて,また各論として非薬物療法・薬物療法について,わが国におけるトップランナーの先生方に最新の情報をご提供いただいている.この1冊で,現時点でのPMS・PMDDのすべてが把握できる,そんな特集号であることを願っている.
(東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科茨城県地域産科婦人科学講座 寺内公一)