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2016年 Vol.79 No.6 2016-05-11

先天代謝異常症-エキスパートによる最新情報-

定価:本体2,700円+税

冊 

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掲載論文

序 文  /井田博幸

Ⅰテクノロジーの進歩
先天代謝異常症におけるマイクロアレイ染色体検査の応用  /山本俊至
次世代シークエンス  /内山由理・他
iPS細胞  /大津 真
タンデムマス・スクリーニング  /山口清次

Ⅱ治療法の進歩
化学シャペロン療法  /檜垣克美・他
基質合成抑制療法  /井田博幸
酵素補充療法-現状と展望  /奥山虎之
遺伝子治療  /大橋十也
再生医療  /梅澤明弘

Ⅲ各疾患の進歩
ミトコンドリア病の診断  /大竹 明・他
ミトコンドリア病の治療  /古賀靖敏
シトリン欠損症  /大浦敏博・他
フェニルケトン尿症  /呉 繁夫
ケトン体代謝異常症  /深尾敏幸
副腎白質ジストロフィー  /下澤伸行
カルニチン代謝異常症におけるカルニチン治療  /高柳正樹
尿素サイクル異常症  /中村公俊

論 説
先天代謝異常症から自閉症スペクトラム障害まで  /平岩幹男

原 著
発作性動作誘発性ジスキネジア21症例の臨床的検討  /武井 悠・他

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ねらい

井田博幸  /東京慈恵会医科大学小児科学講座

 先天代謝異常症は基礎医学と臨床医学を両輪として進歩してきた臨床分野である.近年,各疾患の病態生理の解明および生化学・分子生物学・再生医学の進歩により,先天代謝異常症の診断・治療において新たな展開がみられている.
 マイクロアレイは主として染色体異常症の診断に用いられているが,先天代謝異常症の診断の一部にも応用可能である.次世代シークエンスは先天代謝異常症を含む遺伝性疾患の診断に有用であるが,課題も指摘されている.21世紀の医療に大きなインパクトを与えるiPS細胞をどのように先天代謝異常症の診断・治療に応用していくかを考えていくことは今後の大きな研究テーマである.タンデムマスを用いた新生児マススクリーニングは2014年から全国で実施されるようになった.この結果,有機酸代謝異常症や脂肪酸代謝異常症の発症前診断が可能となり,予後の改善が期待されている.第Ⅰ章では以上のようなテクノロジーの進歩と先天代謝異常症との関係について解説する.
 近年,ライソゾーム病においては酵素補充療法が開発され,患者さんのQOLが改善した.しかしながら,中枢神経系に効果がない点,定期的に点滴静注が必要な点などの課題も明らかになってきた.そこで化学シャペロン治療や基質合成抑制療法などの治療法が開発されている.また,上記のような課題に加えて,抗体産生などの酵素補充療法の課題を克服する研究も進んでいる.遺伝子異常により発症する先天代謝異常症において遺伝子治療は究極の治療である.すでに一部の先天代謝異常症において遺伝子治療の臨床治験が行われ,良好な成績が得られている.ES細胞,iPS細胞を用いた治療も先天代謝異常症に今後は応用可能である.第Ⅱ章では以上のような先天代謝異常症の治療法の進歩,そして今後の展望について解説する.
 第Ⅲ章ではミトコンドリア病,シトリン欠損症,フェニルケトン尿症,ケトン体代謝異常症,副腎白質変性症,カルニチン代謝異常症,尿素サイクル異常症の各疾患について,実地臨床上の最近の診断および治療の進歩を解説する.
 本特集は以上のように先天代謝異常症の診断・治療に関する最新情報をエキスパートの先生に執筆していただきました.本特集により読者の方々が先天代謝異常症の最近の進歩と今後の展望について実感していただければ幸いです.最後になりましたがお忙しい中,ご執筆くださいました先生方に感謝申し上げます.

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