小児科診療
最新の情報からベーシックな知識までわかりやすくお届けします!
読者の要望にお応えすべくup-to-dateな特集を提供.内容の充実とわかりやすい解説に腐心しました.
一目で要点をとらえ,本文へ読みすすみやすいレイアウト.
「増刊号」・「特大号」を年各1冊発行.読者の厚い信頼に応える内容で日常診療に不可欠な情報満載.
連載「Photo Quiz」ではビジュアルに画像診断のポイントを解説.
2018年 Vol.81 No.8 2018-07-13
小児の中枢神経画像update

定価:本体2,700円+税
序 文 /大場 洋
Ⅰ.総 論
小児脳の正常発達 /松田めぐみ・他
1H-MRスペクトロスコピー(MRS) /相田典子
小児脳神経疾患のASL /井手口怜子
胎児MRI /丹羽 徹
Ⅱ.各 論
遺伝子異常 /森 墾
周産期脳症 /早川克己・他
外傷・虐待v小山雅司
てんかん /森本笑子・他
脳奇形 /宇都宮英綱
脊髄の先天奇形のMRI /安藤久美子・他
神経皮膚症候群 /中井雄大
急性脳炎・脳症 /髙梨潤一
脱髄・中毒 /鹿戸将史
先天代謝・神経変性Ⅰ:オルガネラ病 /住田 薫・他
先天代謝・神経変性Ⅱ:オルガネラ病以外 /神田知紀・他
小児脳腫瘍 /石井仁也・他
原 著
レベチラセタムが奏効したチックの2例 /小沢 浩・他
症例報告
在宅中心静脈カテーテル留置中に上大静脈症候群を起こした2例 /林 辰司・他
出生時に下肢の血管腫を認め経過観察中に静脈瘤,片側肥大が出現し診断に至った
Klippel-Trenaunay-Weber症候群の1例 /真鍋博美・他
大場 洋 /帝京大学医学部放射線科学講座
MRIは導入され30年以上経過し撮像装置や技術の進歩とともに,次々と新たな撮像法が生まれている.MRIは小児神経疾患の画像診断において欠くことのできないモダリティーとなっている.この間,放射線科医の知識,レベルも向上し,小児神経放射線診断に習熟した放射線科医も増加している.小児科医のMRIの知識も向上し,放射線科医と同等あるいは並みの放射線科医よりもはるかに知識を持った小児科の先生も増えてきている.もともと日本の小児神経のレベルは非常に高く,新しい疾患概念の確立,新しい遺伝子の発見が数多くなされている.全エクソーム解析などの導入により,画像診断の役割も見直される時期に来ている.しかしながら,遺伝子解析ですべての疾患が分かるわけではなく,MRIをはじめとした画像診断の役割はなお大きく,比較的容易に画像で診断に到達できたり,鑑別疾患を絞れたりすることも少なくない.
本特集号では,おもにMRIについて画像で疾患の評価に関して,現時点での到達点を示したい.小児の脳はダイナミックに変化するため,成人とは非常に異なる特性を有する.小児MRI像の正常・異常を新進気鋭の松田めぐみ先生解説していただいた.MRスペクトロスコピー(MRS)は小児の代謝疾患には欠かせないモダリティーとなっている.MRSで多くの知見を報告されている相田典子先生に解説していただいた.Arterial spin labeling(ASL)は非侵襲的かつ簡便に脳血流を評価することができ,特に小児においては有用性が高い.小児脳神経疾患のASLについてこの分野の第1人者の1人,井手口怜子先生に解説していただいた.各論として,遺伝子(森 墾先生),胎児MRI(丹羽 徹先生),周産期脳症(早川克己先生),外傷・虐待(小山雅司先生),てんかん(森本笑子先生),脳奇形(宇都宮英綱先生),脊椎奇形(安藤久美子先生),神経皮膚症候群(中井雄大先生),急性脳症・脳炎(高梨潤一先生),脱髄・中毒(鹿戸将史先生),先天代謝・神経変性Ⅰ(住田 薫先生),先天代謝・神経変性Ⅱ(神田知紀先生),小児脳腫瘍(石井仁也先生)と,ほぼすべての分野を含み,執筆陣は誰もが知る第1人者の先生から新進気鋭の中堅,若手を含む最高の布陣となっている.
これらの知識は小児科の先生にとって日々の診療に役立ち,遺伝子や他のモダリティーでの評価に進む指標になると考える.