小児科診療
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2019年 Vol.82 No.10 2019-09-13
子どものこころ診療エッセンス

定価:3,080円(本体価格2,800円+税)
序 文 /作田亮一
Ⅰ.こころの診療の基本
小児科医にとってこころの診療とは? /作田亮一
子どもと親に寄り添うこころの診察の心得 /赤間史明・他
こころのストレスと身体の相関 /村上佳津美
思春期の心理社会的問題 /永光信一郎
Ⅱ.一般外来で対応できる診療
子どものこころのヘルス・スーパービジョン /阪下和美
睡眠の問題 /三池輝久
スマホ・インターネット依存 /松﨑尊信・他
子どもをほめて伸ばすためのペアレント・トレーニング /山本淳一
薬物療法の適応と使い方 /石﨑朝世
Ⅲ.初期治療までは行うべき疾患
起立性調節障害 /呉 宗憲
過敏性腸症候群「しんどい・おなかいたい」 /土生川千珠
チック障害 /星野恭子
慢性頭痛 /小柳憲司
不登校-「つながり」,「つなぐ」小児科診療- /岡田あゆみ
Ⅳ.専門医との連携を検討すべき疾患
摂食障害 /大谷良子
神経発達症の併存症と二次障害 /岡田 俊
小児うつ病 /牛島洋景
不安症,強迫症,変換症(転換性障害) /岡 琢哉
家族の問題と福祉の利用 /星野崇啓
症例報告
葉酸欠乏による正球性正色素性の巨赤芽球性貧血をきたした2歳児例 /宮原 奏・他
作田亮一 /獨協医科大学埼玉医療センター子どものこころ診療センター
子どものこころ診療のニーズは高まるばかりです.ストレス状態に陥った子どもは,ことばでつらさを表現することは苦手です.一般外来では腹痛で受診するかもしれません.小児科医はこのような子どもの存在を常に念頭において,こころの問題に気づき見立てる必要があります.
また,子どものこころ診療の専門医の絶対数が足りません.たとえ紹介しても初診までに半年以上待たされることもあります.しかし,患者さんは待ってくれません.患者さんが専門病院を初診するまでは,一般小児科が診療を継続しなければなりません.
このように,一般小児科医・かかりつけ医は「子どものこころの診療」に大きな役割を担っています.2008(平成20)年に厚生労働省による「一般小児科医のための子どもの心の診療テキスト」が出されました.この問題に取り組んでいる一般小児科医は増えていますが,まだ,十分な育成が進んでいるとはいえません.
今回,一般小児科医,研修医などの方々が,日常診療でよりわかりやすく,患者さんの診療を継続してもらえるために,「子どものこころ診療エッセンス」をまとめました.執筆者はすべて子どものこころ診療のエキスパートです.
構成を4部に分けました.Ⅰ.こころの診療の基本,Ⅱ.一般外来で対応できる診療,Ⅲ.初期治療までは行うべき疾患,の最初の3部は,一般小児科医が行うことのできる範囲のおもな疾患をあげて解説しました.最後のⅣ.専門医との連携を検討すべき疾患,は,小児科医の中でも専門的な知識が必要な疾患です.しかし,最近は一般外来でも摂食障害や小児うつ病,神経症,転換性障害,虐待・アタッチメント障害などの子どもに遭遇することはまれとはいえないでしょう.
小児科医はもちろんですが,小児に関連する看護,心理,リハビリテーション,福祉,教育などの現場で幅広く活用していただければ幸いです.