小児科診療
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連載「Photo Quiz」ではビジュアルに画像診断のポイントを解説.
2020年 Vol.83 No.2 2020-01-10
知っていますか?小児科領域のスポーツ障害

定価:3,080円(本体価格2,800円+税)
序 文 /德村光昭
Ⅰ.急性スポーツ障害
熱中症 /黒澤寛史
運動誘発喘息(EIA) /小田嶋 博
食物依存性運動誘発アナフィラキシー(FDEIA) /浅海智之・他
運動・水泳中の不整脈 /住友直方
運動中の突然死 /鮎沢 衛
Ⅱ.慢性スポーツ障害
子どものオーバートレーニング /鳥居 俊
スポーツ貧血 /植田高弘
スポーツ心臓 /原 光彦
スポーツと血尿・蛋白尿・腎機能異常 /張田 豊
スポーツと月経異常 /中村寛江・他
スポーツと精神疾患 /橋口 知
Ⅲ.スポーツ関連トピックス
小児のスポーツとサプリメント,ドーピング /杉浦令子
新たに開始された運動器検診の成績と課題-平成28(2016)年度以前との比較を含め- /帖佐悦男
子どもの体力・運動能力の推移 /西嶋尚彦・他
スポーツ活動と脳振盪への対応 /石田浩之
スポーツ現場における川崎病既往者への対策 /三浦 大
原 著
ディスレクシア(発達性読み書き障害)に対する音声認識機能を使ったトレーニングの試み /平岩幹男・他
症例報告
肩甲骨骨髄炎に罹患した乳幼児自己免疫性好中球減少症の1例 /佐藤充晃・他
Leber遺伝性視神経症の1例 /谷口慎治・他
第25回川崎病全国調査成績 /小佐見光樹・他
德村光昭 /慶應義塾大学保健管理センター
運動やスポーツと健康の関係については,多くの疫学的研究がなされ,健康への効果に関するエビデンスが蓄積されています.一方で,運動やスポーツに関連して発生する健康障害も多く,特に成長発達過程にあり心身が未熟な小児では,成人とは異なる様々なスポーツ障害が認められます.小児にみられるスポーツ障害の中で,成人に比べて軟骨成分が多く,筋肉や靱帯の柔軟性にすぐれるものの強度が十分でない小児特有の運動器に生じる整形外科的スポーツ障害については,運動器検診が2016年度から学校健康診断の必須項目に加えられた効果もあり,近年知識の普及が進みつつあります.しかしながら,運動やスポーツによって起こる小児の内科的スポーツ障害については,意外に知られていないことが多く,小児科の臨床現場で対応に苦慮した経験のある方も多いと思います.
本号は,研修医や小児科専門医を目指している一般小児科医をおもな対象として,臨床の現場で遭遇する運動やスポーツに関連して小児に発生する内科的スポーツ障害の解説書として企画しました.運動やスポーツによって生じる小児科領域のスポーツ障害の中から,おもに運動中に発生する「急性内科的スポーツ障害」では,最も悲劇的な運動中突然死をはじめとして,熱中症,運動誘発性気管支喘息,食物依存性運動誘発アナフィラキシー,運動・水泳中の不整脈を取り上げました.また,運動のやり過ぎや長期の不適切な運動によって生じる「慢性内科的スポーツ障害」では,オーバートレーニング(慢性疲労),スポーツ貧血,スポーツ心臓,血尿・蛋白尿に加えて,婦人科的,精神科的障害について,各々の専門家に執筆を依頼し解説をお願いしました.また,「スポーツ関連トピックス」では運動やスポーツに関する小児科領域の新しい話題を取り上げ,最新の解説をお願いしました.そのうち,脳振盪については,学校活動への段階的復帰を含む最新の小児用評価ツールについて解説しています.その他の項目についても,小児科の臨床現場で役立つよう実践的な内容を中心に,平易な記載を心がけました.お手元においてご活用いただければ幸いです.