小児科診療
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連載「Photo Quiz」ではビジュアルに画像診断のポイントを解説.
2020年 Vol.83 No.8 2020-07-10
小児科医の将来を考える

定価:3,080円(本体価格2,800円+税)
序 文 /神田祥一郎
Ⅰ.どんな小児科医になりたい?
大学病院では? /神田祥一郎
地域医療では? /島津智之
子ども病院では? /松島崇浩
子どもの「かかりつけ医」 /阪下和美
在宅医療では? /土畠智幸
コラム
専攻医が描く将来の小児科医 /塙 孝哉
小児科医になってよかった! /林 良樹
Ⅱ.女性医師が活躍できるためには?
女性医師のリーダーシップとは? /赤嶺陽子
めざせ!?育児・家庭との両立 /惠谷ゆり
キャリアモデルから一言! /村上てるみ
女性医師が留学するには? /衞藤 薫
Ⅲ.小児科医の働きを改革しよう!
ハラハラしない!?しかもタメになる当直? /松島卓哉
こんな後輩と…先輩と働きたい! /福與なおみ
小児科医にとっての働き方改革とは? /伊藤友弥
Ⅳ.もっと研究をしよう!
なぜ研究が必要か? /武内俊樹
いつ,どうやって研究? /張田 豊
海外留学と研究 /犬塚 亮
原 著
マラセチアに感作した乳幼児例のアレルギー背景 /毛利陽介・他
症例報告
2型糖尿病発症時のインスリン強化療法に関する検討 /江口勇太・他
血液検査から偶然発見された両側低形成腎のDown症候群の1例 /青井輝希・他
神田祥一郎 /東京大学医学部小児科
本原稿を執筆している2020年5月現在,新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行拡大により世界各地で混乱が認められています.いくつかの大都市ではロックダウンが行われ,日本においても緊急事態宣言が発令されました.私の周囲でも,短い準備時間で様々なマニュアルが修正をくり返しながら作成され,新しいシステムが導入されつつあります.外来では電話診療が進み,ほとんどすべての会議がWEB上で行われるようになりました.
『小児科診療』が1,000号を迎えるにあたりゲストエディターとしてお声かけいただいたのは2019年夏のことです.編集委員会の先生方とご相談し,「小児医療の将来を考える」ことを企画として立案いたしました.その過程のなかで医療ICT(Information and Communicaion Technology)について考える機会がありました.コロナの「コ」の字も巷に出ていなかったその時は,まだ先の話だと思っていましたが,COVID-19の流行によって,それは決して遠い将来の話ではないことを実感しています.
折しも,超少子高齢化社会を迎えることが予想され,予防接種や最新医療の普及により疾病構造が大きく変化している時です.小児医療がそのなかだけで完結するのではなく,社会とのつながりのなかで成立している以上,その役割が変化しないわけがありません.
では,どのように小児医療は変わっていくのでしょうか?
その答えは私たちの掌のなかにあります.社会における小児科医の新しい役割を見出し,創ることは私たちの責務です.社会の変化や現状を捉える冷静さや感受性,ときには大胆に対応する勇気が必要です.
本特集では,臨床,研究,教育,キャリア形成,リーダーシップについて各分野で活躍されている先生方から,将来を見据え解説をいただきました.各項すべて,多岐にわたる小児医療の今後を思い描くうえで必須であり,ご一読いただきたく思います.特に,読者の皆様にとって,これまであまり馴染みのない分野の先生方からのコメントは大変刺激的であり,新たな視点が生まれるに違いない,と想像します.また専攻医,ベテラン小児科医の先生方からそれぞれ小児医療の将来についてコラムをいただきました.専攻医の先生のコラムからは,これからの小児医療の担い手である若手小児科医の想像力の豊かさと柔軟性を強く感じました.一方,ベテランの先生からは,小児医療がこれまでにも挑戦を続けてきたことを教えられ,新しい時代に立ち向かう勇気をいただきました.
さあ,変革の時代です.私たちの小児医療を引き受け,創造しましょう.