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新皮膚科レジデント・戦略ガイド診断と治療社 | 書籍詳細:新皮膚科レジデント・戦略ガイド

京都大学大学院医学研究科皮膚科学教授

宮地 良樹(みやち よしき) 編集

初版 A5判 並製 556頁 2009年04月15日発行

ISBN9784787811233

定価:本体6,800円+税
  

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国際的に活躍できる皮膚科医になるためのアイテムを網羅.誰も教えてくれない本音集.留学や専門医認定試験を目指すレジデント,皮膚科入局を目指す学生の必携書.

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目次

新 皮膚科レジデント・戦略ガイド

■まえがき―皮膚科を考えている君へ
 ………………………………………宮地良樹
■執筆者一覧


第1章 皮膚科をスペシャリティに決めよう
 1 皮膚科の魅力と現状
 ………………………………………清水 宏
 2 皮膚科専門研修をどこで始めるか
 ………………………………………堀口裕治
 3 学会に入ろう
 ………………………………………上出良一
 4 まず読むべき教科書はどれか
 ………………………………………五十嵐敦之
 5 どのジャーナルに目を通すべきか
 ………………………………………橋爪秀夫

第2章 皮膚科専門医を目指してがんばろう
 1 皮膚科専門医制度はこう変わる
 ………………………………………伊藤雅章
 2 学会発表をしよう
 ………………………………………安部正敏
 3 論文を書こう
 ………………………………………谷岡未樹
 4 皮膚科医出身者の『Nature』論文と自己紹介
  a Nature, 2002, Nishimura EK et al.
 ………………………………………西村栄美
  b Nature, 2007, Ono M et al.
 ………………………………………小野昌弘

第3章 サブスペシャリティを持てば皮膚科はこんなに楽しい
 1 皮膚アレルギー
 ………………………………………加藤則人
 2 皮膚病理
 ………………………………………木村鉄宣
 3 膠原病
 ………………………………………佐藤伸一
 4 皮膚外科
 ………………………………………田村敦志
 5 光皮膚科
 ………………………………………森田明理
 6 皮膚真菌症
 ………………………………………渡辺晋一
 7 美容皮膚科
 ………………………………………川田 暁
 8 皮膚悪性腫瘍
  a メラノーマ
 ………………………………………斎田俊明
  b リンフォーマ
 ………………………………………戸倉新樹

第4章 一度は研究もしてみたい
 1 いつから,どうやって研究を始めるか
 ………………………………………古川福実
 2 日本研究皮膚科学会に入ろう
 ………………………………………島田眞路
 3 なぜ私は皮膚科研究にはまったか
  a 研究の楽しさを知らずに過ごすのはもったいない
 ………………………………………天谷雅行
  b 皮疹・病態が病理組織・電顕形態・生化学・分子生物学で説明できるから
 ………………………………………北島康雄
  c ダメ皮膚科医を目覚めさせた研究の面白さ
 ………………………………………塩原哲夫
  d すべてはアマゾン川からはじまった
 ………………………………………清水 宏
 4 どうすれば学位や研究費をとれるか
 ………………………………………中村元信
 5 いま"旬"の研究トピックは?
  a 免疫・アレルギー学
 ………………………………………片山一朗
  b 細胞生物学
  (1)表皮角化細胞
 ………………………………………高橋健造
  (2)色素細胞
 ………………………………………鈴木民夫
  (3)肥満細胞
 ………………………………………神戸直智
  (4)樹状細胞
 ………………………………………相場節也
  c 分子皮膚科学
 ………………………………………澤村大輔
  d 紫外線生物学
 ………………………………………戸倉新樹
  e 毛髪再生学
 ………………………………………板見 智
  f 皮膚生理学
  (1)かゆみ
 ………………………………………生駒晃彦
  (2)バリア機能
 ………………………………………椛島健治
  g 皮膚結合織・創傷治癒学 安部正敏,
 ………………………………………石川 治

第5章 留学しよう
 1 留学のススメ
 ………………………………………神戸直智
 2 留学先の見つけかた
 ………………………………………椛島健治
 3 私はこうして留学生活をエンジョイした
  a 楽しい留学生活の基本3点
 ………………………………………伊藤泰介
  b ドイツ留学のススメ
 ………………………………………小豆澤宏明
  c 備えあれば憂いなし
 ………………………………………山口裕史
  d 留学,そしてその先にあるもの
 ………………………………………大山 学

第6章 女性皮膚科医のストラテジー
 1 結婚・子育てとの両立
 ………………………………………松村由美
 2 医学の世界で生き残るために
 ………………………………………山本明美
 3 女性が活躍すべき皮膚科
 ………………………………………山本有紀
 4 女性皮膚科学
 ………………………………………檜垣祐子
 5 後輩女性医師へのメッセージ
  a 女性医師の過去,現在,未来
    ──完璧は目指さず,とにかく医師を続けてみよう
 ………………………………………錦織千佳子
  b Girls be ambitious !
 ………………………………………妹尾明美
  c 二兎を追うもの三兎を得る
 ………………………………………片岡葉子
  d 皮膚科は面白い──熱い想いを伝えたい
 ………………………………………足立厚子

第7章 元気が出る病院皮膚科医の生きかた
 1 疲弊しない病院皮膚科のストラテジー
 ………………………………………沢田泰之
 2 臨床最前線を楽しむ
 ………………………………………日野治子
 3 一人医長を楽しむコツ
 ………………………………………和田康夫

第8章 特徴のある皮膚科開業医を目指そう
 1 やりがいのある開業のコツ
 ………………………………………服部 瑛
 2 スペシャリティを活かす開業
  a 皮膚科開業医のエキスパートを目指して
 ………………………………………河合修三
  b 医師になってよかった――往診のススメ
 ………………………………………袋 秀平
  c 皮膚科開業医の多様性
 ………………………………………江畑俊哉
  d 患者と歩む医療の構築
 ………………………………………小林 仁
 3 私の開業顛末
  a "ど根性大根"に勝る,"ど根性皮膚科"を目指す
 ………………………………………萩原千也
  b 開業するからには前向きに
 ………………………………………原田 晋
  c 皮膚科開業事始め
 ………………………………………松村康洋

第9章 
皮膚科医のQuality of My Life――ひと味違う私の皮膚科医人生
 1 弁護医師Rをやっている皮膚科医の話
 ………………………………………田邊 昇
 2 ライフワークとの両立のススメ
 ………………………………………笹田昌宏
 3 何にでも興味を持ち,挑戦し,人一倍努力をする
 ………………………………………中川浩一
 4 巨大美容クリニック,レストラン,ダイビングショップ
 ………………………………………中村健一
 5 皮膚科専門医+αを目指して
 ………………………………………浅井俊弥

■付 録 全国大学皮膚科からの熱いメッセージ
 1 北海道大学
 2 札幌医科大学
 3 弘前大学
 4 秋田大学
 5 東北大学
 6 岩手医科大学
 7 山形大学
 8 福島県立医科大学
 9 群馬大学
 10 獨協医科大学
 11 自治医科大学
 12 筑波大学
 13 新潟大学
 14 山梨大学
 15 信州大学
 16 浜松医科大学
 17 埼玉医科大学
 18 防衛医科大学校
 19 千葉大学
 20 帝京大学
 21 日本医科大学
 22 順天堂大学(順天堂医院)
 23 東京医科歯科大学
 24 慶應義塾大学
 25 東京医科大学
 26 東京女子医科大学
 27 東京慈恵会医科大学
 28 昭和大学
 29 東邦大学
 30 杏林大学
 31 聖マリアンナ医科大学
 32 横浜市立大学
 33 東海大学
 34 北里大学
 35 富山大学
 36 金沢医科大学
 37 福井大学
 38 名古屋大学
 39 名古屋市立大学
 40 愛知医科大学
 41 藤田保健衛生大学
 42 岐阜大学
 43 三重大学
 44 滋賀医科大学
 45 京都大学
 46 京都府立医科大学
 47 関西医科大学
 48 大阪医科大学
 49 大阪大学
 50 大阪市立大学
 51 近畿大学
 52 和歌山県立医科大学
 53 神戸大学
 54 兵庫医科大学
 55 徳島大学
 56 香川大学
 57 高知大学
 58 川崎医科大学
 59 広島大学
 60 鳥取大学
 61 島根大学
 62 山口大学
 63 産業医科大学
 64 福岡大学
 65 久留米大学
 66 佐賀大学
 67 長崎大学
 68 大分大学
 69 熊本大学
 70 宮崎大学
 71 鹿児島大学
 72 琉球大学


■索 引

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序文

『新 皮膚科レジデント・戦略ガイド』
●まえがき──皮膚科を考えている君へ●

 本書を手にしたあなたは,何らかの理由で皮膚科をチョイスの1つに考えているから『新 皮膚科レジデント・戦略ガイド』というタイトルが目にとまったのだろうと思います.親が皮膚科医であとを継がなければならないとか,学生時代から皮膚科の面白さに目覚め,当初から皮膚科志望に燃えていて,皮膚科に決めている人は少ないのではないかと思います.多くの方々は,ローテーションの過程で,「自分は目で見て診断することが好きだから皮膚科か放射線科か病理かな」と思ったり,「メジャーな外科は敬遠するけれど皮膚外科や形成外科ならやってみたい」,いや,「手術は苦手で内科的な皮膚科や精神科が適しているかな」,などと自己分析するなかから自分の志望する診療科を少しずつ狭めていく過程で,皮膚科が最終的に浮上してきた,というほうがむしろ多いのではないでしょうか?
 筆者(宮地)も天理よろづ病院の内科レジデントを終了したとき,いろいろ考え抜いて皮膚科を自らのスペシャリティに選びました.今顧みても,われながらその選択は賢明なものであったと感心しています.おそらく生まれ変わってもまた皮膚科医になるでしょう.なぜそう思うのか,4つのポイントに絞ってお話をすることで本書の「まえがき」に代えたいと思います.

生まれ変わっても皮膚科医になりたい4つの理由
ポイント1──臨床で"feel guilty"を感じたくない
 筆者にとっては開業医であった父がロールモデルでした.父は呼吸器が専門でしたが,開業を契機に図らずもGPの道を歩むことになりました.父は勤勉な勉強家でしたが,「内科すべての臓器を網羅するのは至難の業だ」,「できることなら呼吸器だけ診る臨床医でありたかった」と常々述懐していました.そんな父の背中をみながら筆者は考えました.「内科全般を不安混じりに診察するよりも,最初から専門臓器を狭める代わりに,その臓器であれば何でもできる臨床医のほうが患者に後ろめたさを感じない診療ができ,精神衛生上よいのではないか?」.その実感は天理よろづ病院でのレジデント生活を経験して確信に変わりました.多くの内科医が自分の専門領域以外は不安を抱えながら診療している現実を目のあたりにしたからです.
 皮膚科医は皮膚という臓器に専門性を特化しています.しかし,皮膚の病気であれば,皮膚の内科も外科も病理も何でもこなします.皮膚科医であれば,視診から皮膚癌を疑い,自ら生検し,自ら病理を読み,小手術であれば自分で切除できます.皮膚科はいわば自己完結型の診療科なのです.皮膚のことなら一応何でも自信があるという臨床医人生を選択したのはそんな理由からです.そして,その選択は正しかったと今も確信しています.

ポイント2──臨床医として学んだスキルを一生活かしたい
 若い頃は,自分の臨床医人生はバラ色だと誰しも思うものです.臨床の第一線で颯爽と格好いい臨床医になりたいと考えるのは当然です.しかし,今の臨床医学のほとんどがチーム医療と医療機器に依存してことに気づくべきです.同僚スタッフやコメディカル,そして高価な医療器械がなければ最新医療はできません.大病院の部長や大学病院の教授になって,先端医療を恵まれた環境のなかで継続できる人はほんの一握りです.開業した場合や一人医長になった場合を考えてみましょう.眼科や泌尿器科などを除く外科系であればまず手術はひとりではできませんから,ほとんど保存的治療か理学療法に終始せざるをえません.「自分はあんなに大きな手術をしていたのに…」,「まだ手術をしたい…」と鬱屈した感情をもちながら,慣れない内科的医療をするのは辛いと思います.
 開業すると皮膚科を標榜する他科医師が増えます.日本皮膚科学会の会員数は1万人なのに,その数倍の医師が皮膚科を標榜しています.それは皮膚疾患患者が多いこと,病変が目に見えるので診断がつけられそうな錯覚に陥るからだと思います.でも悲しいかな,トレーニングを受けていないので,十分な皮膚科診療ができていません.皮膚腫瘍を切除しようにもまず診断がつかないので術式が定まりません.埋没縫合をしないので傷は大きく残ります.皮膚病理も読めないので最終診断に至りません.かといって,自分の専門科を継続発展することもままならず不本意ながら「にわか皮膚科医」を続けている人も多いはずです.皮膚科の外来には大した器械はありません.せいぜい顕微鏡と生検・デイーサジェリー器具,エコーとCO2レーザー程度でしょうか.皮膚科医にとっては見る目が究極の画像診断なのです.したがって開業しても一人医長でも,やる気と体力さえあれば,生検をして診断に至り,小手術で治療を完結できます.年配の皮膚科医であっても,学会発表や論文発表される開業医の先生が多いのはこのためです.どうせなら,太く短く生きるより,細く長く一生臨床医として楽しみたい,将来開業しても最新の臨床から落伍したくない,そう考えるあなたには皮膚科はとても向いているといえます.現在,筆者は大学で診療していますが,たとえ開業していたとしても,同じように臨床をエンジョイしていたと思います.実際,退官された10名以上の皮膚科教授が開業され,日々の診療を謳歌しておられます.臨床医として今まで学んだ知識とスキルを一生そのまま活かせるのが皮膚科の最大のメリットです.

ポイント3──臨床と研究を両立させて楽しみたい
 せっかく医学を学んだのだから,一度は研究に手を染めて,医学の進歩にいささかでも貢献してみたい,多くの人がそのように考えるのも当然です.長い臨床医人生で,数年間臨床を離れて研究に没頭したり留学しても,必ずその経験は臨床に還元され活かされます.たとえば,卒業20年後を想像してみてください.20年間臨床一筋の人と,4年間研究をして臨床経験が16年の人とでは臨床能力に差はないでしょう.差があるとすればむしろ個人の資質の差に依存すると思います.しかし,4年間,研究をしたことで臨床の包容力が付加されます.患者を診る目も,奥行きのあるものになるはずです.その意味で,筆者は臨床医であっても研究をすることに賛成です.しかし,研究は一人前の臨床医になってから始めるべきです.研修医を終わってすぐに大学院に入り,30歳で学位を取って,病院に赴任したのでは使い物にならない医師になってしまします.30歳にもなると恥をかいて教えを請うことができなくなりますし,まして博士様になってしまうと周囲もそれを許しません.そうすると,結局何もできない,仕方ないからゴルフ三昧の毎日になる,そういう実例を何人も見てきました.内科であれば少なくとも5年の臨床経験が必要でしょう.われわれの教室では,卒後3~4年間の臨床研修後にはじめて大学院進学を許可しています.
 皮膚科学は皮膚というアクセスしやすい臓器を扱い,分子生物学,免疫アレルギー学,細胞生物学などとの接点が多い点で研究面でも有利です.たとえばコールタールによる発癌実験,IgEの発見,線維芽細胞を用いた研究なども,最初は皮膚を用いたものでした.ですから,研究志向の人にも向いた臨床科ということができます.実際,皮膚科には日本研究皮膚科学会という研究に特化した学会もあり,PhDの会員も多くいて,国際的にも日本の皮膚科研究は世界をリードしています.宣伝になりますが,筆者の教室はこの10年間で日本皮膚科学会賞を3回受賞しましたが,その論文はメラノサイトの発生研究をしたNature論文,プロスタノイドとアレルギーを研究したNat Med論文,制御性T細胞を研究したNature論文でした.このように,皮膚科医は基礎研究でも大いに活躍しているのです.これらの受賞論文を書いた先生も決して研究だけに専念していたわけではありません.彼らも,水虫菌を顕微鏡でみたり,粉瘤の手術をしているのです.このように,皮膚科医は臨床と研究をある程度両立させて楽しむことができる,これも皮膚科の美味しい点ではないでしょうか?なかなか臨床と研究を両立できる診療科は少ないものです.これも,皮膚科が専門臓器を特定していること,研究にもアクセスしやすいことなどが背景にあるからだと思います.

ポイント4──My QOLも大切にしたい
 医療崩壊ともいわれる昨今ですが,筆者は臨床医といえども自分の人生を楽しむ権利が当然あると考えます.患者のQOLも大切ですが,医師のQOLも尊重されるべきです.他の科に比べると,皮膚科は重症患者や緊急患者が少ないので,自分のプライベートタイムをセルフコントロールすることが可能です.われわれの教室では,カンファレンスや回診などの公式行事は基本的に朝9時から夕方5時までの間に済ませています.あとの時間は,研究に使おうがデートしようが原則自由です.その人に課せられた責務を果たせば,評価されるべきはその人の業績であり,ライフスタイルではないからです.太田母斑を最初に報告した太田正雄東大皮膚科教授は,また木下杢太郎というペンネームの文人でもありました.皮膚科の教授が学長や病院長を兼ねる頻度も確率から考えると高いと思いますし,皮膚科医の国会議員や日本医師会の理事など,本業以外で活躍されている先生も多いと思います.われわれの教室でも,皮膚科医の傍ら,鉄道車両保存団体の理事長として4冊も本を出したり,交響楽団のファゴット奏者だったり,多彩な人生をエンジョイされている先生がおられます.これは「皮膚科がヒマ」というのではなく,個性と能力を活かして存分に人生を謳歌しておられる方が多いためだと思います.これも,皮膚科医が自分のMy QOLを大切にしていることの現れではないでしょうか?

あなたも皮膚科医の道へ
 皮膚科を考えているあなたに,皮膚科の魅力を述べてきました.「自分は皮膚科に向いているかな」と思うようになったら,ぜひこの本を熟読してみてください.皮膚科医的な価値観,人生観,審美観が合致するあなたは,まさに皮膚科医に最適でしょう.そろそろスーパーローテーション終了後の専門科選択に悩んでいるあなたは,皮膚科の魅力に取り憑かれるかもしれません.是非皮膚科に入局し,次回の皮膚科学会の会場でお会いしましょう.
 
 2009年4月
 京都大学大学院医学研究科皮膚科学教授 宮地良樹