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書籍詳細

小児の高次脳機能障害診断と治療社 | 書籍詳細:小児の高次脳機能障害

神奈川県総合リハビリテーションセンター小児科

栗原 まな(くりはら まな) 著

初版 B5判 並製 184頁 2008年05月15日発行

ISBN9784787816528

定価:本体4,800円+税
  

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2001年に行われた高次脳機能障害支援モデル事業を通して成人の支援体制がある程度整い,小児の障害への対応について徐々に関心が高まっている.本書では,様々な高次脳機能障害への医学的処置,リハビリ的な対応を豊富な事例を含めて紹介した.

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目次

序 文

第1章 高次脳機能障害とは

1 高次脳機能とは
●a高次脳機能障害とは 
●b 高次脳機能障害の症状 
●c 脳損傷部位と症状 
2 小児の高次脳機能障害の特徴
●a発達障害にともなう高次脳機能障害 
 脳性麻痺にともなう高次脳機能障害 
 水頭症にともなう高次脳機能障害 
●b 疾患にともなう高次脳機能障害(後天性の高次脳機能障害) 
●c 小児の高次脳機能障害の特徴 
●d 小児における高次脳機能障害の問題点 
3 小児の高次脳機能検査
●a高次脳機能検査の前にすべきこと 
●b 小児の高次脳機能検査 
4 高次脳機能障害に対するリハビリテーション

第2章 原因からのアプローチ

1 基礎知識
●a意識障害の分類 
●b 小児の死亡原因 
●c 小児の疾病別死亡原因 
2 脳外傷
●a脳外傷の概要 
●b 脳外傷にともなう高次脳機能障害 
症例1 脳外傷後遺症 
症例2 脳外傷後遺症 
3 急性脳炎・脳症
●a急性脳炎・脳症の概要 
●b 急性脳炎・脳症の特徴 
●c 当院における急性脳症に対するリハビリテーションの実際 
症例3 インフルエンザ脳症後遺症 
症例4 原因不明の急性脳症後遺症 
4 低酸素性脳症
●a低酸素性脳症の概要 
●b 当院における低酸素性脳症に対するリハビリテーションの実際 
症例5 溺水による低酸素性脳症後遺症 
5 脳血管障害
●a脳血管障害の概要 
●b 当院における脳血管障害に対するリハビリテーションの実際 
症例6 小脳出血後遺症 

第3章 リハビリテーションの実際

1 リハビリテーションの目的―社会復帰,復学をめざして―
2 チームアプローチの重要性
3 リハビリテーションスタッフの役割
4 リハビリテーションプログラム
●a入院プログラム 
●b 移行プログラム(復学支援プログラム)
●c 順調な復学をするために 
●d 外来プログラム 
●e 家族支援プログラム 

第4章 様々な障害からのアプローチ

1 運動障害
●a運動療法 
●b 物理療法 
症例1 脳外傷後遺症(外傷性血管損傷による脳梗塞) 
2 嚥下障害
●a診断 
●b 訓練方法 
3 視覚障害
症例2 急性脳症後遺症 
4 聴覚障害
5 知的障害
●a診断 
●b 治療 
6 てんかん
●aてんかんの原因と発症率 
●b てんかんの分類 
●c 診断 
●d 治療 
●e 発作のケア 
●f リハビリテーションスタッフの関わり 
●g急性脳炎・脳症後のてんかん 
●h脳外傷後のてんかん 
症例3 脳外傷後遺症 
●iランドウ・クレフナー症候群 
症例4 ランドウ・クレフナー症候群 
●j 抗てんかん薬に関連した高次脳機能障害 
7 行動障害
8 その他
●a思春期早発症 
症例5 脳外傷後遺症 
症例6 思春期早発症,脳外傷後遺症 
●b 夜尿症 

第5章 高次脳機能障害への対応 ─様々な症状への対応─ 

1 記憶障害
症例1 左脈絡叢動静脈奇形破裂後遺症 
2 注意障害
症例2 脳外傷後遺症 
3 遂行機能障害
症例3 急性脳炎後遺症,急性リンパ性白血病(寛解) 
4 半側空間無視
症例4 急性脳症後遺症 
5 失語
症例5 脳梗塞後遺症,肥大型心筋症 
6 失認
●a視覚失認 
症例6 脳梗塞後遺症,先天性水頭症 
●b 聴覚失認 
7 失行
症例7 インフルエンザ脳症(ライ症候群)後遺症 
8 感情コントロール低下
9 対人技能拙劣
症例8 脳外傷後遺症 
10 固執性
症例9 脳外傷後遺症 
11 意欲・発動性の低下
症例10 脳外傷後遺症 
12 病識欠落
13 依存性

第6章 役に立つ情報

●a高次脳機能障害支援モデル事業 
●b 高次脳機能障害支援普及事業 
●c 障害者自立支援法 
●d 身体障害者手帳 
●e 療育手帳 
●f 精神障害者保健福祉手帳 
●g特別児童扶養手当 
●h高次脳機能障害評価表(小児用) 
●i当事者団体 
●j これからの歩み 

第7章 北米における小児後天性脳損傷に対する
リハビリテーションプログラム

1 米国における小児脳外傷プログラム
●a米国の小児脳外傷リハビリテーションシステム 
●b 施設の紹介 
●c 教育ツール・キット 
2 カナダ小児脳外傷リハビリテーションシステム 
●aトロント脳外傷リハビリテーションシステム:ABIネットワーク 
●b 小児後天性脳損傷コミュニティ支援プログラム
●c トロントABIネットワークカンファレンス2006 
●d トロント小児病院:救急部門,リハビリテーション部門 
●e ブロールヴュー小児リハビリテーションセンター 
3 小児脳外傷プログラムのフロンティア
●a医学雑誌「発達神経リハビリテーション」 
●b 小児脳外傷カンファレンス in San Diego 2007

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序文

著者は医学生の頃から障害児医療に興味をもち,大学を卒業してまもなくの時期から,脳性麻痺,知的障害,広汎性発達障害といった生まれつきの障害に対する療育に関わるようになった.いくつかの病院で学んだ後,神奈川リハビリテーション病院に勤務するようになって20年目になる.当院は100人以上のリハビリテーションスタッフをもつ総合リハビリテーションセンターであり,理想的な形でチームアプローチを行えることから,小児の後天性脳損傷に対するリハビリテーションに力を入れている.後天性脳損傷に対するリハビリテーションを希望して当院を受診する小児の居住圏は九州から東北にまで及ぶのであるが,それらの子どもたちが地元でリハビリテーションが受けられるようになってほしいと強く思うこの頃である.
 後天性脳損傷のリハビリテーションを行うにあたっては,障害の受容と高次脳機能障害への対応がキーポイントとなる.この点に配慮すれば,現存するわが国の療育システムと支援教育システムを通して後天性脳損傷のリハビリテーションはかなりのレベルで行えるはずである.後天性脳損傷にともなう高次脳機能障害は,発達障害にともなう高次脳機能障害と共通した側面をもっている.小児神経科医や支援教育に関わる教師は,すでに発達障害にともなう高次脳機能障害についてはよく知っているのであるから,その知識を利用できるはずである.
 2001年に国レベルで開始された高次脳機能障害支援モデル事業を通して,成人の高次脳機能障害への支援体制はある程度整った.小児への支援はまだほとんどされていないのが現状であるが,少しずつ関心がもたれてきているのも事実である.
 著者は北米における小児のリハビリテーションシステムについて学ぶ機会を得ているが,北米では後天性脳損傷が1つの障害カテゴリーと認められ,そのリハビリテーションプログラムが実際に稼働していることに感嘆した.そのプログラムから学んだことについても本書に記載させていただいた.
 本書は当院における小児の高次脳機能障害へのリハビリテーションについて書いたものである.プログラムはまだ完成しておらず,十分にまとまってはいないが,高次脳機能障害をもつ子どもたちの役に立つと嬉しい.

2008年 春
栗原 まな