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書籍詳細

シリーズ ボツリヌス治療の実際

神経疾患のボツリヌス治療診断と治療社 | 書籍詳細:神経疾患のボツリヌス治療

徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部感覚情報医学講座臨床神経科学分野(神経内科)

梶 龍兒(かじ りゅうじ) 総監修

寺本神経内科クリニック

寺本 純(てらもと じゅん) 監修

榊原白鳳病院

目崎 高広(めざき たかひろ) 監修・編集

初版 B5判 並製 108頁 2010年02月15日発行

ISBN9784787817464

定価:本体4,500円+税
  

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多様な有用性をもつボツリヌス治療を解説したシリーズ第四弾,神経疾患編.眼瞼・片側顔面痙攣,痙性斜頸,痙縮などの神経疾患について,治療手技や治療成績,有害事象を詳細に解説.

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目次

目  次
総監修の言葉 梶 龍兒 
編集にあたって 目崎高広 
執筆者一覧

第1章 神経疾患総論
目崎高広
1.運動異常症
2.神経疾患におけるボツリヌス治療の位置づけ

第2章 眼瞼痙攣・開眼(開瞼)先行
大澤美貴雄
1.疾患の概略
2.局所解剖
3.治療手技
4.治療成績(長期治療成績を含む)

第3章 片側顔面痙攣
目崎高広
1. 片側顔面痙攣:総論
2. 局所解剖
3. 治療の基本手技
4. 治療成績
5. 有害事象

第4章 痙性斜頸
林 明人
1.疾患の概略
2.局所解剖
3.治療手技
4.治療成績

第5章 成人の痙縮
笠原 隆,正門由久
1. 痙縮とは
2. 治 療
3. 海外の治療成績
4. わが国の治療成績

第6章 その他の神経疾患
中村雄作
1. 口下顎ジストニア(Oromandibular dystonia:OMD)
2. 痙攣性発声障害(Spasmodic Dysphonia)
3. 多系統萎縮症にみられる喉頭ジストニア
4. 書 痙(上肢ジストニア,Focal hand dystonia)
5. 下肢ジストニア
6. 体幹ジストニア
7. 振 戦
8. 頭 痛
9. 筋筋膜痛症候群(myofascial pain syndrome)
10. 唾液分泌過多

索 引

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序文

総監修の言葉
 わが国でのボツリヌス毒素療法は,1980年代後半から臨床試験が始まり,1996年に眼瞼痙攣に対しての治療が認可されて以来,2000年に片側顔面痙攣,2001年に痙性斜頸,2009年に小児脳性麻痺患者における下肢痙縮に伴う尖足に対して適応が拡大されてきた.使用に関してはいまだ厳しい制限が課せられているものの,海外では本治療法に関する研究は進歩を続けて治療効果をあげている.
 こういった時代背景を鑑み,近年,わが国でもボツリヌス毒素療法に対する保険適用疾患が拡大されつつあり,著効例も多く報告されるようになってきた.
 しかし,治療を受ける患者側のニーズも高まっているなかで,事故事例なども報告されており,治療を施す医師は正しい知識と手技を身に付け,安全かつ適正に実施しなければならない.さらに,ボツリヌス毒素療法は様々な診療科において実施されているため,それぞれの領域での専門知識の習得も必要不可欠である.
 そこで,ボツリヌス毒素療法を診療科ごとに取り上げ,手技・コツ・禁忌事項などを盛り込むとともに,写真・イラストを用いて多数の症例をわかりやすく解説したシリーズを企画するに至った.総監修者としては,まずシリーズ構成を決定し,各巻診療科別にその領域の第一人者の先生方に編集をお願いした.
 今回発刊された『神経疾患のボツリヌス治療』はその第四弾である.
 本書が有効に活用され,ボツリヌス毒素療法の発展に寄与することを心より祈願している.

2009年11月
徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部感覚情報医学講座
臨床神経科学分野(神経内科)
教授 梶 龍兒




編集にあたって
 本書は主要な神経疾患に対するボツリヌス治療を概観したモノグラフであり,順次刊行されつつある「シリーズ ボツリヌス治療の実際」の一冊である.拙著『ジストニアとボツリヌス治療 改訂第2版』(2005年)が診断と治療社から上梓されて以来,本領域における治療ノウハウはもはや行き着くべきところに達したのではないかという当初の予想を裏切り,2006年以降も続々と新しい知見が出続けた.第3版を,という声もわずかに聞こえた気はするが,すべての章を書き直すのはどうも気が重いと思っていたら,渡りに舟とばかりに舞い込んだ企画が本書である.
 本書では,シリーズの他書と同様に分担執筆の形をとったので,私(編集者)の仕事はずいぶん楽になったのであった.編集者の権限を利用して自分の書きたいところを先取りし,書きたくないわけではないがそこまで手が回らない,という部分を,斯界で著名な数人の先生にお願いした.読者の皆様には,私の手によらない章をお読みになり,新たな書き方,新たな刺激に,密かに快哉を叫んでおられる方もあるのではないか.実は私も同様であり,ご意見を伺ってみたかった高名な先生のご高説を,このように通覧できるのは編集者冥利に尽きる,と考えている.
 とはいえ,ボツリヌス治療の実際の手技には個人差が大きく,種々の手法の優劣について確たるエビデンスがない場合も多い.また,出版されている文献の妥当性にもさまざまなランクがあり,すべてを同列に論じることは危険でもある.本書もまた同様であって,各執筆者の「手技」主張には,必ずしも客観的な証拠がない場合もある.もちろん編集者が個人的な主張で紙面のすべてを覆うことなどできようはずもなく,したがって各章の記載にはある程度の誤差あるいは矛盾が発生する可能性がある.読者の皆様にはこれを不統一としてではなく,専門家の間にもこれだけの意見の相違があるのだ,という一つの例としてご覧いただきたいと思う.
 もっとも,単に知的遊戯としての読書では医学書としての役割を果たし得ないであろう.そこで本書では執筆依頼に際して,本シリーズ中でも特殊な方法を採用させていただいた.すなわち,文献記載の方法についてである.
 本書では,「個人的意見」と「文献引用」とを,可能な限り弁別できるように記載いただくよう各執筆者にお願いした.そして,文献は無制限に挙げていただき,読者が疑問を感じた折に随時原典を参照できるように配慮した.どこまでが執筆者の個人的意見であり,どこからが誰の意見であるか,ということは,記述の客観性を確保するには重要なポイントである.その結果として,引用文献数は本文のボリュームに比べて多くなっているが,当初の目論みどおり,本書を一つのデータベースとして利用していただくことができるのではないか,と考えている.
 年を経るとわからなくなることなので最後に書いておくが,巷では新型インフルエンザが遂に「警報」レベルにまで流行,新型のみならず季節性のワクチンも不足して,官民ともに右往左往している今日である.まだ冬はこれから.本書が出版されるころ,世の中はどうなっているだろう.しかしインフルエンザが流行する季節にも,ボツリヌス治療を必要とする神経疾患は厳然と存在しており,その患者はやはりインフルエンザワクチンだけでなく,正しいボツリヌス治療を必要としているのである.本書で知識を更新し明日の治療に役立てていただくことを切望する.そういう本として本書が機能するならば幸いである.

 2009年11月

榊原白鳳病院
診療顧問 目崎 高広