HOME > 書籍詳細

書籍詳細

診断と治療社 内分泌シリーズ

原発性アルドステロン症診療マニュアル改訂第2版診断と治療社 | 書籍詳細:原発性アルドステロン症診療マニュアル改訂第2版

国立病院機構京都医療センター内分泌代謝高血圧研究部部長

成瀬 光栄(なるせ みつひで) 編集

東京医科歯科大学大学院分子内分泌内科学(内分泌・代謝内科)教授

平田 結喜緒(ひらた ゆきお) 編集

改訂第2版 B5判 並製 256頁 2011年01月11日発行

ISBN9784787817808

定価:本体5,500円+税
  

立ち読み機能は、ただ今準備中です  


近年,最も注目されている内分泌疾患の一つである原発性アルドステロン症について,機序から診断,治療までを網羅した一冊.今回の改訂では情報の更新に加え,副腎静脈サンプリングや診断・治療の手順を各施設ごとに詳説,比較し,相違点を明確化した.

関連書籍

ページの先頭へ戻る

目次

CONTENTS
推薦のことば /猿田享男 
『内分泌シリーズ:原発性アルドステロン症診療マニュアル』改訂第2版発刊にあたって /成瀬光栄
序文(初版) /成瀬光栄 
執筆者一覧  
Ⅰ 基礎編
1 アルドステロン発見の歴史 /清水直容
2 アルドステロンの合成 /柴田洋孝 
3 生体リズム異常と原発性アルドステロン症 /岡村 均 他 
4 アルドステロンの分泌調節 /宮森 勇 
5 アルドステロンの腎作用 /西山 成 
6 アルドステロンの心血管作用 /吉本貴宣 他 
7 アルドステロンの非ゲノム作用 /有馬秀二 
8 心臓アルドステロン合成系 /名越智古 他 
9 血管アルドステロン合成系 /武田仁勇 他 
10 アルドステロンブレイクスルー /田辺晶代 他 
11 ミネラルコルチコイド受容体の活性化 /城 理絵 他 
Ⅱ 臨床編
第1章 総論
1 原発性アルドステロン症の変遷と病態 /平田結喜緒 
2 疫学・頻度 /上芝 元 
第2章 診断
A スクリーニング法
1 どのようなときに疑って検査するか /成瀬光栄 他 
2 アルドステロン・レニン比 /田辺晶代 他 
3 降圧薬服用時の注意 /立木美香他
4 アルドステロン測定法 /小田桐恵美 
B 機能確認検査
1 総 論 /成瀬光栄 
2 フロセミド立位試験 /橋本重厚 
3 カプトプリル試験 /成瀬光栄 他 
4 生理食塩水負荷試験 /髙橋克敏 他 
5 フルドロコルチゾン食塩負荷試験 /柴田洋孝 
6 迅速ACTH試験  /大村昌夫 他 
7 経口食塩負荷試験 /柴田洋孝 
8 機能確認検査の実際 成瀬光栄 他 
C 画像診断
1 画像診断の実際 /桑鶴良平 
2 CTの診断的意義①:CTで腫瘍を確認できる場合 /田辺晶代 他
3 CTの診断的意義②:CTで腫瘍を確認できない場合 /武田彩乃 他 
D 副腎静脈サンプリング
1 総 論 /田辺晶代 他 
2 内科医からのアドバイス /田辺晶代 他
3 放射線科医からのアドバイス①:
副腎静脈サンプリングを確実に成功させるためのポイント /姫野佳郎 
4 放射線科医からのアドバイス②:右副腎静脈のバリエーションへの対応 /高瀬 圭
5 ACTH負荷の目的と意義  /田辺晶代 他 
6 点滴法と静注法の比較  /田辺晶代 他 
7 各施設の実際
(a) 東北大学腎・高血圧・内分泌科 /佐藤文俊 他 
(b) 福島県立医科大学糖尿病・内分泌代謝内科  /橋本重厚 他 
(c) 金沢大学内分泌代謝内科  /武田仁勇 他 
(d) 東京大学腎臓・内分泌内科 /髙橋克敏 他 
(e) 東京医科歯科大学内分泌・代謝内科 /杉山 徹 他 
(f) 東京女子医科大学第二内科 /田辺晶代 他 
(g) 慶應義塾大学腎臓内分泌代謝内科 /三石木綿子 他 
(h) 聖マリアンナ医科大学代謝・内分泌内科 /方波見卓行 他 
(i) 横浜労災病院内分泌・代謝内科 /大村昌夫 他 
(j) 京都大学内分泌代謝内科  /田村尚久 他 
(k) 国立病院機構京都医療センター内分泌・代謝内科 /成瀬光栄 他 
(l) 国立循環器病研究センター高血圧・腎臓科  /岩嶋義雄 他 
(m) 各施設・診療科の実施概要一覧 /成瀬光栄
8 診療ガイドライン(特にAVS)に対する欧州からの批判 /平田結喜緒 
E 原発性アルドステロン症の病型分類と鑑別診断
デキサメタゾン抑制迅速ACTH試験  /沖  隆 
第3章 治療
A 薬物治療
1 薬物治療 /谷 祐至 他
2 アルドステロン拮抗薬の適応  /佐藤敦久 他
3 薬物治療の課題 /成瀬光栄 他 
B 外科治療
1 外科治療の現状 /滝澤奈恵 他 
2 手術前後の注意(内科から) /立木美香 他 
3 ミニマム創内視鏡下副腎摘除 /木原和徳 他 
4 ラジオ波による治療 /石坂和博 他 
5 手術効果の判定方法 /栗原 勲 他 
C エキスパートオピニオン
エキスパートオピニオン:CTとAVSが不一致である場合の手術適応
第4章 病理
1 原発性アルドステロン症の病理の基本 /笹野公伸 
2 原発性アルドステロン症の質的病理診断  /相羽元彦 他 
3 アルドステロン合成酵素の免疫染色による原発性アルドステロン症の
病理学的確定診断法 /西本紘嗣郎 他 
第5章 合併症・予後
1 合併症・予後①:原発性アルドステロン症の心血管系合併症 /田辺晶代 他 
2 合併症・予後②:心血管疾患,腎障害および糖脂質代謝異常 /武田仁勇 他 
3 合併症・予後③:ミネラルコルチコイド受容体の活性化による心血管障害 /横田健一 他 
4 Masked chronic kidney disease in primary aldosteronism /髙橋克敏 他 
第6章 診療に役立つ症例
1 サブクリニカルクッシング症候群を合併した原発性アルドステロン症 /平石喜一郎 他 
2 副腎癌による原発性アルドステロン症 /成瀬光栄 他
3 片側性副腎微小病変による原発性アルドステロン症 /大村昌夫 他 
4 悪性高血圧を呈した原発性アルドステロン症 /成瀬光栄 他 
5 大動脈解離を合併した原発性アルドステロン症 /青鹿佳和 
6 高レニン血症を呈した原発性アルドステロン症 /方波見卓行 他 
7 腎胞を合併した原発性アルドステロン症  /本杉裕一郎 他 
8 長期経過に伴う病理所見を呈したアルドステロン産生腺腫の一例 /森 栄作 他 
9 副腎静脈血中アルドステロン濃度が低値の原発性アルドステロン症  /立木美香 他 
10 AIMAHに合併した原発性アルドステロン症 /早川惠理 他 
11 副腎摘出術後に耐糖能異常が著明に改善した原発性アルドステロン症の一例 /難波多挙 他 
12 造影剤アレルギーの原発性アルドステロン症の局在診断をどうするか? /髙橋克敏 他 
13 CTと副腎静脈サンプリングで局在の逆転した原発性アルドステロン症 /余語宏介 他 
14 心不全治療中に発見された原発性アルドステロン症の一例 /武田仁勇 他
第7章 診療ガイドライン・診療手順
1 日本高血圧学会高血圧治療ガイドライン2009(JSH2009) /成瀬光栄 他 
2 日本内分泌学会ガイドライン /西川哲男 
3 米国内分泌学会ガイドライン /田村尚久 
4 Mayo Clinicにおける診療手順 /William F. Young,Jr.,MD,MSc 他 
5 金沢大学内分泌代謝内科における診療手順 /武田仁勇 他 
6 福井大学内分泌・代謝科における診療手順 /稲葉 聡 他 
7 東京大学腎臓・内分泌内科における診療手順 /髙橋克敏 
8 東京医科歯科大学内分泌・代謝内科における診療手順 /杉山 徹 他 
9 東京女子医科大学第二内科における診療手順 /田辺晶代 他 
10 慶應義塾大学腎臓内分泌代謝内科における診療手順 /柴田洋孝 他
11 聖マリアンナ医科大学代謝・内分泌内科における診療手順 /方波見卓行 他
12 横浜労災病院内分泌・代謝内科における診療手順 /大村昌夫 他 
13 京都大学内分泌代謝内科における診療手順 /田村尚久 他 
14 国立病院機構京都医療センター内分泌・代謝内科における診療手順 /成瀬光栄 他 
15 大阪大学老年・高血圧内科における診療手順 /神出 計 他
16 九州大学病態制御内科における診療手順 /松田やよい 他 
17 診療ガイドライン・診療手順一覧 /成瀬光栄 

索 引  
Column
・アルドステロン関連の生理学と病態 /清水直容 
・原発性アルドステロン症自験第1~3例の回顧
─四肢麻痺とECG上のU波が診断の目安だった頃─ /竹田亮祐 
・副腎の病理形態学からみた原発性アルドステロン症 /笹野伸昭
・草創期の原発性アルドステロン症 /吉永 馨 
・原発性アルドステロン症診療の今後 /平田結喜緒 
・第4回アジア・オセアニア内分泌会議(1971年)の思い出 /竹田亮祐
・原発性アルドステロン症と私 /福地総逸 
Information
・原発性アルドステロン症に関する情報提供・啓発活動 /成瀬光栄 
・NHKためしてガッテン「薬も減塩も効かない 急増する謎の高血圧」 /成瀬光栄 
Topics
・重要文献①:アルドステロンに関する論文(ⅰ)  
・選択的アルドステロンブロッカー:エプレレノン  
・重要文献②:原発性アルドステロン症に関する論文(ⅱ)  
・重要文献③:スクリーニング検査  
・重要文献④:機能確認検査  
・医薬品による偽アルドステロン症;pseudoaldosteronism /清水直容

血漿アルドステロン濃度(PAC)の単位
 本書では,日本高血圧学会,日本内分泌学会ガイドラインの表記に準じ,原則としてpg/mLに統一しています.

ページの先頭へ戻る

序文

『内分泌シリーズ:原発性アルドステロン症診療マニュアル』
改訂第2版発刊にあたって
 内分泌疾患は多様な臓器の多様な疾患を包含するが,個々の疾患はたとえば糖尿病などの代謝疾患と比較して頻度が少ないことから,臨床医学の現場においてその重要性が必ずしも十分に認識されているとはいえない.しかし,内分泌疾患の診断の遅延は生命にかかわる深刻な影響を及ぼすことがあり,また血圧,糖・脂質,骨代謝などの慢性的な異常を介する標的臓器障害を招来することもある.それゆえ,適切な早期診断と治療が肝要で,そのためには十分な症例の経験と疾患に対する知識が必須である.しかしながら,内分泌疾患に関する系統的な書籍は従来と比較して激減しているのが現状である.このような背景から実地臨床の視点に立って企画・刊行されているのが診断と治療社の「内分泌シリーズ」である.編者らはこれまで,『内分泌代謝専門医ガイドブック』『原発性アルドステロン症診療マニュアル』『褐色細胞腫診療マニュアル』『わかりやすい原発性アルドステロン症診療マニュアル』『クッシング症候群診療マニュアル』『甲状腺疾患診療マニュアル』『内分泌機能検査実施マニュアル』『内分泌性高血圧診療マニュアル』の企画・編集を行ってきた.
 原発性アルドステロン症(PA)は近年,最も注目されている内分泌疾患の一つである.従来考えられてきたよりも頻度が高いこと,適切な診断・治療により治癒可能であること,標的臓器障害が少なくないこと,などが注目される背景である.本疾患の診療に従事する医師も増加し,診断例も飛躍的に増加している.『原発性アルドステロン症診療マニュアル』はPAに関する実践的なマニュアルで,アルドステロンに関する基礎的事項から診断,治療に関する多様な情報をコンパクトにまとめた書籍である.本書は2007年11月に発刊後,大変多数の先生方に活用いただいてきたが,この分野での進歩が著しいことを考慮して,この度,さらに内容を充実させるために改訂第2版を発行することになった.今回の改訂では全体的なフォーマットの統一に加えて,副腎静脈サンプリングの項で,各施設の相違点を明確に整理するとともに,各種学会ガイドラインや各施設でのPA診療手順とその比較についても解説を追加した.本改訂版が今後さらにPAの診療に役立つと信じている.誌面を借りて,改訂に際してご無理をお願いした執筆者の先生方に改めて深く御礼申し上げる次第である.

2010年11月
国立病院機構京都医療センター
内分泌代謝高血圧研究部 部長
成瀬光栄


序文(初版)
 Conn博士により原発性アルドステロン症(primary aldosteronism:PA)が報告されてから50年が経過する.その間,レニン,アルドステロンの測定法の確立とCTを主とする画像診断法の進歩により,内分泌の専門施設でなくても診断が可能となった.同時に,その頻度が当初に想定されたよりもはるかに低いとされたことから,“特殊な内分泌疾患”として,日常診療における注目度は必ずしも高くはなくなっていた.しかし,近年になり①PAの頻度が予想以上に高いこと,②脳梗塞や心肥大などの臓器障害の合併が少なくないことが報告されたのに加えて,アルドステロンの研究が進歩し,新規のアルドステロン拮抗薬エプレレノンが臨床応用されたことから,PAの診断と治療が再び脚光を浴びている.
 高血圧と低カリウム血症を合併し,内分泌学的にレニンの抑制,アルドステロンの高値が明らかで,副腎CTで明確な腫瘍を認める典型例の診断は容易である.しかしながら,血清カリウムが正常,レニンの抑制程度が弱い,アルドステロン増加が軽度,副腎CTで明確な腫瘍を確認できないなど,機能面,形態面で典型的所見を呈さず,診断に苦慮する症例も多数経験されてきている.PAに対する注目が高まるのと平行して,その診断の各ステップと治療における種々の問題点が浮き彫りにされてきたといえる(図).通常,1)低カリウム血症の有無にかかわらず,すべての高血圧患者において,少なくとも一度はPRA, PAC測定によるスクリーニングを実施,2)陽性であれば,アルドステロンの自律性かつ過剰分泌を証明する機能的確認検査を実施,3)陽性であれば副腎CTによる局在診断,4)腫瘍を確認できない場合は,副腎静脈サンプリングを実施する一側性病変であることが確認できれば,積極的に内視鏡的副腎摘出術を検討する.しかしながら,スクリーニング法のカットオフ値,機能的確認検査の組み合わせとカットオフ値,副腎CTの撮影条件,副腎静脈サンプリングの適応と実施方法,カットオフ値,長期予後からみた手術と内科的治療の予後比較など,種々の点の詳細は必ずしもコンセンサスがないのが現状である.
 本書は高血圧の日常診療においてPAを的確に診療できることを目的として,PAの診断と治療に関する最新の知識,動向を網羅すると同時に,その中から今後解決すべき様々な課題が明らかになることも意図して企画した.執筆者としては本分野でわが国を代表する諸先生方にお願いさせて戴いた.本書がわが国のPAの診療水準の向上に役立てば幸いである.

国立病院機構 京都医療センター
内分泌研究部 成瀬光栄