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シリーズ ボツリヌス治療の実際

美容医療のボツリヌス治療診断と治療社 | 書籍詳細:美容医療のボツリヌス治療

徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部感覚情報医学講座臨床神経科学分野(神経内科)

梶 龍兒(かじ りゅうじ) 総監修

寺本神経内科クリニック

寺本 純(てらもと じゅん) 監修

榊原白鳳病院

目崎 高広(めざき たかひろ) 監修

杏林大学医学部形成外科学教室 教授

波利井 清紀(はりい きよのり) 編集

初版 B5判 並製 112頁 2010年09月20日発行

ISBN9784787817860

定価:本体5,500円+税
  

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多様な有用性をもつボツリヌス治療を解説したシリーズ第五弾,美容医療編.前額部・眉間部、眼瞼周辺、口唇・頸部の皺および咬筋肥大症、多汗症、顔面全体の若返りなどの美容医療について、治療手技や治療成績、有害事象を写真や図を多用し詳細に解説.オールカラー.

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目次

総監修の言葉   梶 龍兒
編集にあたって   波利井清紀
執筆者一覧 

総 論

第1章 美容医療とボツリヌス治療
尾崎 峰,波利井清紀
1.美容医療におけるA型ボツリヌストキシン 
2.美容上の適応と禁忌   
3.副作用 
4.インフォームド・コンセントについて 
5.使用の実際 
6.代表的な使用部位と注意点 
7.おわりに 

第2章 皮膚の「皺」とボツリヌス治療
川島 眞
1.皺の発生メカニズム 
2.わが国におけるBTX製剤による治療の変遷と国内開発経過 
3.ボトックスビスタR国内開発臨床試験 
4.まとめ 

第3章 美容・アンチエイジング医療の将来展望とボツリヌス治療
吉村浩太郎
1.はじめに─拡大するアンチエイジング美容医療 
2.東洋人のアンチエイジング美容医療の特徴 
3.アンチエイジング美容医療の実際 
4.アンチエイジング美容医療の将来展望   
5.BTX治療の将来展望   
6.おわりに   

各 論

第1章 ボツリヌス製剤の使用にあたって
一瀬晃洋
1.製剤の種類   
2.製剤の力価   
3.安全なBTX治療のために   
4.各製剤の特徴 
5.使用法 

第2章 前額部・眉間部の皺の治療
白壁征夫
1.はじめに   
2.前額,眉間部の解剖 
3.ビスタ薬液の調製と保存 
4.ビスタ溶解濃度による浸透拡散率と効果持続期間   
5.注入の準備 
6.一般的な注入テクニック   
7.適応と手技   
8.合併症とその対策 

第3章 眼瞼周辺の皺の治療
宇津木龍一
1.はじめに   
2.皺の成因と治療 
3.治療適応   
4.患者の選択 
5.疼痛対策 
6.診断と治療計画   
7.注入濃度,注入量,注入点   
8.結 果 

第4章 口唇・頸部の皺の治療
新橋 武
1.はじめに   
2.患者選択について   
3.A型BTX注射の基本   
4.口唇部周囲への応用   
5.頸部への臨床応用   
6.今後の展望 

第5章 咬筋肥大治療への応用
河野太郎
1.咬 筋   
2.咬筋肥大症   
3.治療効果 
4.まとめ 

第6章 多汗症の治療
田中智子,横関博雄
1.診断基準 
2.症 状   
3.発汗の重症度とBTX局注の適応   
4.多汗症におけるBTX局注の効果   
5.治療の実際:腋窩と手掌について 
6.副作用   

第7章 皮膚若返り治療におけるボツリヌスの利用(コンビネーション治療)
山下理絵
1.治療の適応   
2.BTXの溶解と注射部位 


索引   

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序文

総監修の言葉

 わが国でのボツリヌス毒素療法は,1980年代後半から臨床試験が始まり,1996年に眼瞼痙攣に対しての治療が認可されて以来,2000年に片側顔面痙攣,2001年に痙性斜頸,2009年に小児脳性麻痺患者における下肢痙縮に伴う尖足に対して適応が拡大されてきた.使用に関してはいまだ厳しい制限が課せられているものの,海外では本治療法に関する研究は進歩を続けて治療効果をあげている.
 こういった時代背景を鑑み,近年,わが国でもボツリヌス毒素療法に対する保険適用疾患が拡大されつつあり,著効例も多く報告されるようになってきた.
 しかし,治療を受ける患者側のニーズも高まっているなかで,事故事例なども報告されており,治療を施す医師は正しい知識と手技を身に付け,安全かつ適正に実施しなければならない.さらに,ボツリヌス毒素療法は様々な診療科において実施されているため,それぞれの領域での専門知識の習得も必要不可欠である.
 そこで,ボツリヌス毒素療法を診療科ごとに取り上げ,手技・コツ・禁忌事項などを盛り込むとともに,写真・イラストを用いて多数の症例をわかりやすく解説したシリーズを企画するに至った.総監修者としては,まずシリーズ構成を決定し,各巻診療科別にその領域の第一人者の先生方に編集をお願いした.
 今回発刊された『美容医療のボツリヌス治療』はその第五弾である.
 本書が有効に活用され,ボツリヌス毒素療法の発展に寄与することを心より祈願している.

 2010年8月

徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部感覚情報医学講座
臨床神経科学分野(神経内科)
教授 梶 龍兒


編集にあたって

 ボツリヌス菌毒素による筋弛緩作用は20世紀初頭より神経毒として広く知られるようになった.1973年,ScottらはA型ボツリヌス毒素をサルの外眼筋(斜視モデル)に局所投与し,外眼筋の収縮抑制が得られたことを報告した.その後,治療が困難であった各種の痙攣性疾患に投与が試みられ,1989年,米国食品医薬局(FDA)によりA型ボツリヌストキシン(米国Allergan社製,BOTOX®)の斜視,眼瞼痙攣,片側性顔面痙攣への適応が認められた.わが国では,1997年眼瞼痙攣に対してBOTOX®が薬事承認され,その後,2000年片側顔面痙攣,2001年痙性斜頸などと神経疾患に対する適応症が拡大されてきた.
 一方,ボツリヌストキシンの顔面表情皺の改善に対する効果は,1992年CarruthersらによるA型ボツリヌストキシンの眉間表情皺に対する効果が報告されて以来,米国を中心に美容医療分野において非手術治療の中心的手技となってきた.そして,2002年眉間の表情皺に対してFDAの薬事承認が得られて以来,米国美容外科学会(ASAPS)のデータによると,BOTOX®注射の臨床件数は増加の一途を辿り,2007年データでは登録された全美容医療件数約1,200万件の23%にあたり,また,非手術治療約700万件のうちの約40%を占めるに至っている.これは,ヒアルロン酸注入の倍にあたる使用数である.
 また,日本でも2000年代初頭よりBOTOX®を含め各種のボツリヌストキシン製剤が個人輸入の状態で顔面表情皺の改善に使用されてきたが,その安全性や効果の面で公の検証がされないままに経過していた.これに対して,2009年春,グラクソ・スミスクライン社が眉間の表情皺を適応として厚生労働省の薬事承認を取得し,正式な医薬品BOTOX Vista®として販売を開始した.
 これを機会に,本書では美容医療において乱用されてきたきらいのあるボツリヌストキシン製剤の基本的知識,安全で正しい使用法などをエキスパートの先生方に執筆していただいた.なお,本書には現在臨床で使用されているボツリヌストキシン製剤の幅広い応用について執筆していただいているが,厚労省の薬事承認が得られている製剤はBOTOX Vista®のみであり,適応症も眉間の表情皺に限られていることをお断りしておく.
なお,現在グラクソ・スミスクライン社より販売されているBOTOX Vista®は,2010年10月よりAllergan社に販売権が移譲される予定である.

 2010年8月

東京大学名誉教授
杏林大学医学部形成外科学教室 教授 波利井清紀