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インクレチン療法実践ブラッシュアップ診断と治療社 | 書籍詳細:インクレチン療法実践ブラッシュアップ
インクレチン関連薬を上手に使いこなす

京都大学大学院医学研究科糖尿病・栄養内科学教授

稲垣 暢也(いながきのぶや) 編集

初版 B5判 並製 168頁 2011年04月21日発行

ISBN9784787818539

定価:本体4,200円+税
  

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インクレチン関連薬の基礎知識から処方の実践,ケーススタディ,ポジショニング,使い分けに関するディベートまで,臨床の現場で役に立つ知識がこの1冊でわかる.

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目次

 執筆者一覧   
 序 文   稲垣暢也
 A. オーバービュー overview     
 インクレチンを用いた新しい糖尿病治療    黒瀬 健/清野 裕  
     a. インクレチンの概念  b. インクレチンの定義
     c. インクレチンの発見  d. インクレチンの生理的意義
     e. インクレチンの創薬
 B. インクレチン関連薬の基礎知識 drug mechanism       
 1.DPP-4阻害薬の特徴と相違点―シタグリプチン,ビルダグリプチン,アログリプチンの比較― 
    大杉 満/門脇 孝  
     a. シタグリプチン  b. ビルダグリプチン
     c. アログリプチン  d.それぞれのDPP-4阻害薬とインスリンの併用
 2.GLP-1受容体作動薬の特徴とDPP-4阻害薬との相違点   稲垣暢也  
     a. GLP-1の糖尿病治療への応用  b. GLP-1受容体作動薬の特徴と効果
     c. GLP-1受容体作動薬とDPP-4阻害薬の違い
     d. わが国でのGLP-1受容体作動薬の適応
 C. インクレチン関連薬処方の実践 practice      
 1.SU薬とDPP-4阻害薬の併用―低血糖を起こさないために―   岩倉敏夫
     a. 重症低血糖  b. 病院に搬送される重症低血糖患者の現状
     c. 重症低血糖を防ぐために
 2.インスリン抵抗性改善薬(チアゾリジン薬,ビグアナイド薬)とDPP-4阻害薬の併用
                        岩本安彦  
     a. わが国の2型糖尿病の治療指針  b. チアゾリジン薬とDPP-4阻害薬の併用
     c. ビグアナイド薬とDPP-4阻害薬の併用
 3.α-グルコシダーゼ阻害薬とDPP-4阻害薬の併用―相乗効果が得られるか?―
                        山田祐一郎  
     a. α-グルコシダーゼ阻害薬はインクレチン関連薬である
     b. α-グルコシダーゼ阻害薬とDPP-4阻害薬の併用
 4.SU薬とGLP-1受容体作動薬の併用―低血糖を起こさないために―   黒瀬 健
     a. SU薬の特徴  b. GLP-1受容体作動薬
     c. SU薬とGLP-1受容体作動薬の併用  d. 併用の実際  
 D. ケーススタディ case study      
 1.DPP-4阻害薬処方のポイント   原島伸一/稲垣暢也
      1)単独投与症例  2)SU薬からの切り替え症例
      3)他の経口血糖降下薬との併用症例  4)持効型インスリン療法からの切り替え症例
      5)インスリン強化療法からの切り替え症例
 2.GLP-1受容体作動薬処方のポイント   大西由希子  
      1)リラグルチド単独療法試験  2)リラグルチド・SU薬併用療法試験
      3)市販後の投与症例
 E. ポジショニング positioning      
 1.私ならDPP-4阻害薬をこのタイミングで使う   河盛隆造
     a. 糖のながれ  b. 2型糖尿病の病態を踏まえた治療のあり方
     c. 経口血糖降下薬による治療効果  d. DPP-4阻害薬臨床応用から派生した疑問点
 2.私ならGLP-1受容体作動薬をこのタイミングで使う   中村淑子/加来浩平  
     a. GLP-1受容体作動薬の特性  b. GLP-1受容体作動薬の臨床的有用性
     c. GLP-1受容体作動薬の糖尿病治療における適応と役割
 F. ディベート debate 「DPP-4阻害薬とGLP-1受容体作動薬のどちらを選ぶか?」   
 1.DPP-4阻害薬を選ぶ理由   竹田孔明/谷澤幸生 
     a. 2型糖尿病の病態  b. 従来の経口血糖降下薬
     c. DPP-4阻害薬の特徴  d. DPP-4阻害薬の注意点
     e. GLP-1受容体作動薬との比較  f. DPP-4阻害薬を選ぶ理由
 2.GLP-1受容体作動薬を選ぶ理由   難波光義/宮川潤一郎 107
     a. 強力な血糖降下作用  b. 胃排泄運動抑制作用と食欲ないし摂食抑制作用
     c. インスリン抵抗性改善作用  d. 脂質代謝改善作用
     e. 心血管に対する作用  f. GLP-1受容体作動薬への期待と課題
 G. インクレチン関連薬の膵外作用―インクレチン効果を超えて― beyond incretin  
 1.心血管におよぼすインクレチンの作用   前川 聡/柏木厚典
     a. 心臓への直接作用  b. 血管系への作用
     c. 腎臓に対する作用
 2.骨におよぼすインクレチンの作用   月山克史
     a.骨代謝のメカニズム  b. GIPの骨への作用
     c. GLP-1の骨への作用
 3.体重におよぼすインクレチンの作用   原田範雄/稲垣暢也 
     a. GIPの体重に対する作用  b. GLP-1の体重に対する作用
     c. インクレチン関連薬の体重に対する作用
 4.消化器系におよぼすインクレチンの作用   難波光義/宮川潤一郎 130
     a. 胃および消化管に対する作用  b. 膵・胆道系への影響
     c. 消化管上皮細胞に対する増殖作用
 H. クエスチョン question   
 1.インクレチン関連薬にnon-responderはいるのか?   白川 純/寺内康夫 
     a. 臨床研究におけるインクレチン関連薬に対するnon-responderの報告
     b. 2型糖尿病におけるインクレチン効果  c. 遺伝子背景がインクレチン効果に与える影響
     d. 自律神経とインクレチン効果について
     e. インクレチンによるインスリン分泌促進機構からみたインクレチン効果
     f. インクレチン関連薬のオフターゲット効果
 2.インクレチン関連薬を用いるにあたっての注意点―海外での報告も含めて―
   古川 昇/荒木栄一
     a. 急性膵炎  b. 消化器症状
     c. カルシトニン値の上昇と甲状腺傍濾胞細胞(C細胞)過形成(甲状腺髄様がん)
     d. 免疫能   e. その他の副作用
     f. 腎機能低下患者,肝機能低下患者への使用  g. その他の注意点
 3.減量手術(bariatric surgery)とインクレチンの関係は?   関 洋介/笠間和典
     a. bariatric surgeryとは?  b. bariatric surgeryの2型糖尿病に対する効果
     c. 消化管バイパスとインクレチン  d. Is type 2 diabetes mellitus a surgical disease?

 付 録   
     1. 糖尿病治療薬の種類とその特徴  2. インクレチン関連薬Q&A
     3. 「インクレチンとSU薬の適正使用について」―Recommendation―

 索 引  




・ 本書の内容は2011年2月23日以前に執筆されたものであるため,アログリプチンの適応に関しては“「インクレチンとSU薬の適正使用について」―Recommendation―”(155ページ)を参照されたい.また,Recommendationの最新版は,日本糖尿病学会のホームページ(http://www.jds.or.jp/),日本糖尿病協会のホームページ(http://www.nittokyo.or.jp/)より入手可能である.

・ HbA1cの国際標準化に伴う表記法の変更・移行期間であることをふまえ,本書においては,データ引用の初出時に,( )にてJDS(Japan Diabetes Society)値,もしくはNGSP(National Glycohemoglobin Standardization Program)値を併記し,区別した.また,各表記の引用元を〈糖尿病 2010;53:450-467〉とした.
 詳細については,日本糖尿病学会ホームページ(http://www.jds.or.jp/)の「新しい糖尿病診断基準と国際標準化HbA1cの運用について」を参照されたい.

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序文

 インクレチン関連薬がわが国の糖尿病診療の現場に登場してからすでに1年以上が経過した.発売前から大いに期待され,話題が先行した向きもあるが,予想を上回る勢いで処方されている現状をみると,実際に処方された多くの先生方がこの薬剤の効果に手応えを感じておられるのではないだろうか.
 この間に予期しないことも起こった.その1つがSU薬とDPP-4阻害薬の併用による重症低血糖である.その結果,SU薬とインクレチンの作用機序に対する理解がより深まり,新たな研究の展開がみられた.これは,われわれが常に臨床の現場から学ぶことの重要性を改めて認識させられる機会でもあった.もう1つは,インスリンからGLP-1受容体作動薬への切り替えによる高血糖の問題である.これは,いくらインクレチン関連薬が有効といえども,その効果には限界があり,インスリンの代替薬にはなりえないこと,したがってインスリン治療を行っている患者では,インスリン依存状態にあるのかどうかを見極める必要があることを示すものであった.幸いこのような問題も,その後の関係諸氏の迅速な対応により頻度が著減しており安堵している.
 本書は,このようなインクレチン関連薬発売後の先生方の様々なご経験をもとに,具体的な使用法にまで踏み込んだ,より実践的な内容を目指したものである.すなわち,読者にインクレチンについて十分に理解してもらえるように,オーバービューならびにインクレチン関連薬やその膵外作用に関する基礎知識の解説から,DPP-4阻害薬とGLP-1受容体作動薬の処方の実践,ケーススタディ,ポジショニングまで,臨床の現場で実際に役立つ内容となるようにつとめた.さらに,使い分けに関するディベート,クエスチョン,付録のQ&Aといった項目を設けることにより,平易でわかりやすい内容になるよう工夫した.
 最後に,それぞれの項目はその分野でわが国を代表する先生方にご執筆いただいた.大変ご多忙のところご執筆いただいた先生方ならびに診断と治療社の方々の並々ならぬご尽力に厚く御礼申し上げるとともに,本書が糖尿病診療に関わる多くの先生方の日常臨床に役立つことを切に願う.

 2011年2月

京都大学大学院医学研究科糖尿病・栄養内科学教授
稲垣暢也