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はじめて学ぶ小児内分泌診断と治療社 | 書籍詳細:はじめて学ぶ小児内分泌

都立小児総合医療センター

長谷川 行洋(はせがわ ゆきひろ) 著

初版 B5判 並製 208頁 2011年04月18日発行

ISBN9784787818690

定価:本体3,800円+税
  

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本書は,日本を代表する小児内分泌科医である著者が,診療で遭遇する症状・症候、豊富な症例を通して,研修医・一般小児科医にわかりやすく小児内分泌疾患の診かたを解説した入門書.

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目次

推薦のことば  林  奐    
長谷川行洋先生へ,そして,新しい同僚の方々へ  横谷 進    

はじめに  
略語一覧  

【入門編】
Ⅰ 徴候・検査値の異常からどういう内分泌代謝疾患を思い浮かべるか  
 1. 低身長  
   ■参考1 Turner症候群とは?  
   ■参考2 GH分泌不全症    
 2. 新生児・乳幼児期の体重増加不良(減少)    
 3. 乳幼児期・学童期の肥満  
   ■参考 肥満症について  
 4. 思春期遅発    
 5. 思春期早発    
 6. 多飲・多尿    
   ■参考 より詳細なNDIにおける高ナトリウム血症に対する輸液療法    
 7. 新生児・乳児早期の低血糖  
 8. 新生児・乳児早期の筋緊張低下  
 9. 新生児・乳児早期の呼吸障害  
10. 新生児・乳児早期の外性器異常  
   ■参考 CYP21A2遺伝子異常症の概説  
11. 低カルシウム血症  
12. 低ナトリウム血症  

Ⅱ 症例から学ぶ初期治療のポイント  
 1. 糖尿病性ケトアシドーシス  
   ■実践編 DKAシミュレーション ―こんな子がきたら…最重症編―  
 2. 副腎不全  
   ■実践編 PSLなどの糖質コルチコイド製剤を治療で長期使用されている症例での
副腎不全予防  
 3. 低血糖  
   ■実践編 高インスリン性低血糖と考え、ジアゾキシドを処方している一例  
 4. 脱水  
   ■参考1 脱水治療のポイント  
   ■参考2 覚えておこう  
   ■実践編 (経静脈的)脱水の治療  
Ⅲ 内分泌データの読み方  

【発展編】
Ⅰ 小児内分泌疾患の分類  
Ⅱ 診断基準・ガイドラインをどう使うか?  
Ⅲ 内分泌学総論  

【付 録】
Ⅰ 小児科医が学ぶべき範囲 
Ⅱ TRPからTmP/GFRを求めるノモグラム  

索引  

(番外編)
専門外来での冷や汗,診断までに時間のかかった症例①    
専門外来での冷や汗,診断までに時間のかかった症例②    
専門外来での冷や汗,診断までに時間のかかった症例③    
専門外来での冷や汗,診断までに時間のかかった症例④    
専門外来での冷や汗,診断までに時間のかかった症例⑤    
専門外来での冷や汗,診断までに時間のかかった症例⑥  
専門外来での冷や汗,診断までに時間のかかった症例⑦  
研修医として必要な社会的ポイント  
指導医のあり方  
初学者相手のよい講義のあり方  
外来・病棟での説明のあり方  
初学者相手のよいカンファランスのあり方  

※番外編:「専門外来での冷や汗,診断までに時間のかかった症例」
専門家がはじめにみても診断をうまくつけられないことはありうる.われわれ(筆者)としては恥ずかしい面がある症例であるが,皆さんに同じようなことをしていただきたくないとの思いから症例の概略を示した.


■ちょっと知っておこう
軟骨内骨化  
小児科医が身につけるべき思春期徴候の
カルテ記載  
Turner症候群の低身長の成因  
予測最終身長    
1~2歳でわかるO脚  
Turner症候群の診断  
新生児期からはじまる低身長  
高身長  
そのほか,成長曲線から学ぼう  
疾患特異的成長曲線  
体重増加は母親のよく聞く心配ごと  
そのほかの非内分泌代謝疾患の
成長曲線  
肥満に対する内分泌スクリーニング検査
  
肥満の評価    
甲状腺腫大    
多飲,多尿の子どもにはじめに必要な
緊急検査  
多飲,多尿患者で大切な身体所見  
CDI,NDI,心因性・習慣性多尿の鑑別
  
尿崩症に対する緊急時治療(経口からの
飲水が期待できないとき)  
血中GHの値の意味は?  
ホルモン濃度の解釈  
添付文書にも記載されている
グリセオールRの使用禁忌  
メチルマロン酸血症は最も頻度の高い
有機酸代謝異常症である  
代謝疾患  
新生児の17ヒドロキシプロゲステロン
(17OHP)高値  
低カルシウム血症の症状  
検査オーダー・解釈のポイント  
DKAで入院した児に対する話し方  
インスリン過剰症の診断,治療(特に)膵臓亜
全摘/部分摘出術は集約化が必要  
中年成人の水分維持量  
特殊な状態での維持カロリー
低張性脱水でのNa喪失量  
脱水の治療中に医原性低ナトリウム血症の
危険性があるか?  

■ちょっと専門家気分
LOW T3症候群は“冬眠”のイメージ  
新生児発症する重度CYP21A2遺伝子異常症
 (塩喪失型21水酸化酵素欠損症)でのフロ
 リネフR投与  
GH治療はPrader-Willi症候群の運動発達に
重要  
思春期発来の内分泌学的変化 
精子を作るのは大変  
LHRH依存性思春期早発症の治療  
尿濃縮のメカニズム  
尿崩症に対する維持治療    
ピットフォールと対策  
脂肪酸分解の異常  
Mini-pubertyとは?  
OTC欠損症を考えたときの急性期治療では
確定診断を待たずに開始する  
5αリダクターゼ欠損  
非古典型CYP21A2遺伝子異常症  
CYP21A2遺伝子異常症の理想的治療とは?
 
Ca感知受容体の機能亢進  
HDR症候群  
V2受容体機能亢進変異  
KATPチャンネルを構成する遺伝子  
国際基準のHbA1c  
2型糖尿病の治療  
敗血症ショック  
インスリン過剰症の鑑別  
病的喪失量

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序文

推薦のことば
 「教育が行われていない病院は,船長のいない船のようなものです.かならずどこかで沈没します」

 これは2001年当時,この本の著者,長谷川行洋君が私に語った言葉です.その頃,救急を含めた幅広い疾患に対応できる小児科医を育成すべきという社会的要請が生まれ,私たちはそれに応えるための一つの方策として,レジデント制度を考えていました.当然ながら賛否両論があり,教育のための時間が専門診療を妨げるという意見もありましたが,冒頭の長谷川君の言葉が私の背中を押してくれました.
 結果は極めて明快で,教育することでスタッフのモラルがあがり,今では全国から小児医療を目指す若い医師たちが集まってセンターに活力を与えています.彼は優秀な小児内分泌・代謝専門医であると同時に,センター総合診療部門長として28名の小児科レジデントの教育責任医でもあります.彼の「教育」への姿勢は,共に学びながら,いかにして理解してもらえるか工夫に工夫を重ねることのようにみえます.この彼ならではの真骨頂がこの本に凝縮されていますので,みなさんが楽しみながら理解できることを私は確信しています.


都立小児総合医療センター院長
林  奐


長谷川行洋先生へ,そして,新しい同僚の方々へ
 はじめに,この素晴らしい本の誕生を心から祝福したいと思います.
 著者の長谷川行洋先生は,小児内分泌学領域で最も優れた臨床家です.よりよい診療のために,いつも適切なリサーチクエスチョンを磨いて自らのグループを率いて研究を行い,その成果を,臨床に応用し,また,発表してきた研究者でもあります.そういった,臨床と研究の相互の関係を,同僚・後輩に上手に伝えようと意図して完成したのがこの本であると私は推測しています.
 この本には,著者の臨床や学問への新鮮な視点が随所に生かされていて,ビギナーにも共感しやすいように工夫されていると思います.目次を見ただけで,たいへん斬新だと思いました.内分泌学の総論とか疾患の分類とか,教科書でいえばはじめの章に置かれる内容をあえて後に回しています(そこで挫折しないようにという,著者の優しくて周到な配慮です).しかも,それらの章に到達した読者には,「発展編」という名称により,励まされるようにできています.では,何から説き起こされているかというと,入門編Iとして,いきなり症候からはじまり,「あなたなら,こういうケースに当たったらどう考える?」と問いかけているようです.そして,入門編IIでは,絶対に失敗をしてほしくないクリティカルな病態への対応が説明されています.そしてです,内分泌を学ぶにはどうしても越えなければならない壁といわれている,「内分泌データの読み方」が入門編IIIで用意されていて,優しくジャンプを助けてくれます.このように,内分泌学の考え方を普及させることを第一の目的にした本ですが,実は,内容も第一級です.
 というわけで,この本を通じてきっと小児内分泌を学ぶ仲間が増えてくれると期待が膨らみます.半ばだまされたと気づいても,面白さがわかれば,きっとこの本をほかの同僚に勧め,そのようにして,さらに輪が広がってゆくと思います.
 長谷川行洋先生に,最上の敬意と最大の感謝をささげたいと思います.


国立成育医療研究センター内科系専門診療部部長
日本小児内分泌学会理事長
横谷 進


はじめに
 小児内分泌疾患は難しそうだ,理解しにくいという声をときどき聞く.われわれはそうは考えていない.むしろ,臨床で必要な基本的な小児内分泌疾患あるいはそれに関連する事項は理解しやすく,楽しいものだと考えている.また小児内分泌疾患というと頻度の少ない,特殊なものというイメージをおもちの方も多いと思う.しかし,外来で内分泌代謝疾患を疑う,診断することは決して少なくない.小児内分泌疾患の基本事項の一つである成長,思春期は小児を診るすべての医師が学ぶ必要がある.
 本書では,初期・後期研修医,その後の若手医師を主な対象として,小児内分泌疾患の大きな柱を理解することを目的とし,難解なこと・例外的なことは省き,基礎知識なく容易に読めるように努力した.内容の大部分は,小児科疾患を診ている医師が現場ですぐに活用できるようになるべく興味がもてるように,平易に,実務に役立つように書く努力をした.コメディカルの方,医学部5~6年生も興味をもっている方は特に,お読みいただきたい.
 本書の入門編,「徴候・検査値の異常からどういう内分泌代謝疾患を思い浮かべるか」では徴候,日常的な検査値の異常から疾患を鑑別した.そこでは内分泌疾患を主に説明する形にしたが,その徴候に関係した小児科のほかの疾患も短く説明した.これは,よくある徴候の中に小児内分泌疾患が混じっていることを理解していただくためである.「症例から学ぶ初期治療のポイント」では,緊急性のあるものとして,糖尿病性ケトアシドーシス,副腎不全,低血糖を,小児科医師の常識として脱水の治療について説明した.
 発展編では,内分泌疾患の分類,診断基準・ガイドラインの使い方,内分泌疾患総論について言及した.この部分は,高度な内容も含んでいるが,決して拒否反応をきたすようなレベルではない.ぜひ一度はチャレンジしていただきたい.
 本書の構成は一頁目から通読していただければ段階を経て理解いただける,あるいは患者さんで勉強する機会がある度ごとに,関連するページを読む方法でもよいようにまとめてある.本書を活用して,実地臨床の中で内分泌代謝疾患の勉強が進むことを期待したい.
 本書で勉強していただいた方に,臨床で必要な内分泌代謝疾患を理解することは決して難しくない,楽しいものだと実感していただければ,筆者の望外の喜びである.本書よりもっと難易度の高い内容,しかし一段と楽しい部分まで内分泌疾患を理解したい方は姉妹書の『楽しく学ぶ小児内分泌(小児内分泌疾患を楽しく学ぶ,改訂3版,2003 をもとに執筆中)』をあわせて読まれることをお勧めしたい.
 内容に関して,不明点,質問などあれば,yhaset@me.com までメールしていただければ幸いである.最後に,診断と治療社 坂上昭子氏の助けなしには,本書は完成していなかったと思われる.ここに深謝申し上げる.

2011年4月吉日

  都立小児総合医療センター      
  総合診療科部長・レジデント教育責任者
  内分泌代謝科部長          
  遺伝子研究科部長          
 長谷川 行洋