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書籍詳細

新しい無結紮婦人科手術の実際診断と治療社 | 書籍詳細:新しい無結紮婦人科手術の実際 DVD

札幌鉄道病院副院長・産婦人科

寒河江 悟(さがえ さとる) ほか著

初版 B5判 並製 96頁 2007年12月25日発行

ISBN9784787816139

定価:本体5,800円+税 電子書籍はこちら
  

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婦人科手術において,もっとも頻度の高い子宮摘出術 の新術式を紹介.電気凝固によって結紮と出血量を減らし,低侵 襲手術を可能にするバイポーラ型電気メス・BiClampRを用いた, 腹式,腟式それぞれの子宮全摘術を豊富な写真とDVDでわかりや すく解説する.従来の術式との比較,また,手術時間,出血量な どを含む具体的な手術成績も掲載.

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目次

目次

はじめに

安全と低侵襲性を目指した手術術式の変遷
―electric surgeryとは? suture-less surgeryとは?

本書の使い方

おわりに


代表執筆者紹介

第1章BiClamp(R)とは?

■ERBE社 多機能電気メス,BiClamp(R)とは何ぞや?

■Q&A電気メスの基礎知識

第2章婦人科手術におけるBiClamp(R)による
無結紮・少出血手術の利点


 1術後疼痛の軽減

 2単純な術式

 3少ない出血量
 
 4術中・術後合併症の減少

 5QOLの改善

第3章BiClamp(R)による腹式子宮全摘術(TAH)

 1これまでの腹式子宮全摘術との比較

 2[標準術式]BiClamp(R)による腹式子宮全摘術の典型例

 3[応用例]BiClamp(R)による腹式子宮全摘術の応用,工夫

 4BiClamp(R)による腹式子宮全摘術の成績

 5BiClamp(R)による腹式子宮全摘術のpitfall

 6BiClamp(R)による腹式子宮全摘術の将来

第4章BiClamp(R)による膣式子宮全摘術(TVH)

 1これまでの膣式子宮全摘術との比較

 2[標準術式]BiClamp(R)による膣式子宮全摘術の典型例

 3[応用例]BiClamp(R)による腔式子宮全摘術の応用,工夫

 4BiClamp(R)による膣式子宮全摘術の成績

 5BiClamp(R)による膣式子宮全摘術のpitfall

 6BiClamp(R)による膣式子宮全摘術の将来

第5章BiClamp(R)による子宮全摘術を行うにあたって

 1腹式子宮全摘術

 2膣式子宮全摘術

献引

文索

Columnlndex

LigaSureTMとBiClamp(R)の違いとは?

子宮全摘術(hysterectomy)の功罪

TAHの適応とインフォームド・コンセント

LAVHの利点はTAHにおけるBiClamp(R)の使用で相殺されるのか?

TVHにおいて必要な骨盤内解剖の知識

TVHの適応とインフォームド・コンセント

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序文

はじめに

 最近の手術器具の進歩は目覚ましく,電気メスの世界においても
凝固と切開の基本動作に加えて,止血に有用なスプレー凝固モード
が生まれ,さらに超音波凝固切開装置,最近ではbipolar scissors,
さらにLigaSure(TM)などさまざまな装置の登場によって,手術を安
全かつ低侵襲に行う環境が整いつつあります.本書は,従来の針糸
による手術術式が,新しい手術器具により結紮が不要な術式への変
換期にさしかかっている可能性を示し,婦人科手術の最も基本であ
る子宮全摘術,とりわけ腹式と腟式手術について,それらがいかに
改良されるかを解説するものです.
 当科では2005年9月から,無結紮で出血量の軽減を可能にする電気
メス,ERBE社製BipolarSOFT凝固BiClamp(R)(以下,BiClamp(R))を用
いた腹式ならびに腟式子宮全摘術を行っています.第1章ではこの器
械について解説し,第2章では従来の用手的結紮・縫合による手術と
比較して,新術式の低侵襲度を検討し,無結紮・少出血手術の5つの
利点を挙げました.また,BiClamp(R)による腹式子宮全摘術,および
腟式子宮全摘術の標準的な術式,応用例をそれぞれ巻末のDVDに
収録し,誌面にはその静止画をふんだんに使用して,新しい術式を
わかりやすく解説しました.さらに,実際にわれわれがこのBiClamp(R)
を手にしてどのように術式が変化し,その結果いかに手術の侵襲度が
低下したか,手術成績も提示しました.まずは,じっくりと総論とし
ての無結紮・少出血手術の利点をご理解いただき,次に,BiClamp(R)
による子宮全摘術の改良点を,DVDも参照のうえゆっくりご高覧い
ただければと存じます.なお,本書を手にした若手婦人科医師の方々
には,まずあくまでも従来の標準術式を十分に会得されたうえでの本
術式の応用を考えていただきたいと思います.筆者らの術式を行うに
あたっては,通常の止血操作,すなわち鉗子による挟鉗,剪刃による
切断,用手的結紮・縫合という基本操作の徹底が不可欠です.BiClamp(R)
による術式はadvancedversioであることを念頭に置いていただければ
と思います.

 本書が明日からの臨床に少しでも参考になればこのうえない喜びで
あります.今後も改善・改良を目指してまいりますので,お気付きの
点などございましたら,ご指導・ご鞭燵の程よろしくお願い申し上げ
ます.

                          2007年ll月
                           寒河江悟




安全と低侵襲性を目指した手術術式の変遷
―electric surgeryとは? suture-less surgeryとは?

 これまでの私の手術技術の変遷を振り返ります.大学卒業後,医局
に入って最初に経験したのは開腹手術,次には札幌医大のお家芸であ
る腟式手術でした.1980年代後半からは腹腔鏡での手術が盛んに行わ
れるようになり,1990年代後半以降は低侵襲手術への積極的取り組
み,また機能温存術式などが発展してきた時期であります.まさに時
代の流れに沿ってこれまで鍛錬してきたつもりですが,21世紀に入っ
てからの産婦人科領域での手術術式の発展的な変遷には目を見張るも
のがあります.
 欧米ではすでに1990年代後半から2000年にかけて,多くの手術操作
を電気メスなどの手術器械で行うelectric surgery(電気機器を使用
した手術)が盛んになりつつありました.これまでの用手的結紮・切
断を行わず,電気的に止血し手術を遂行するという術式です,いわば
少縫合または無縫合手術,英語ではsuture-less surgeryと称し,限
りなく縫合操作を省略した手術を目指したのであります.そこで,そ
れまでの術式に代わって,なぜこれらが発展してきたのかを考えてみ
ましょう,
 まずこれまでの用手的結紮・切断では,縫合糸による問題,とりわけ
感染源となりうる危険性が取りざたされています.さらに術者にとっ
ては手術操作の煩雑さがどうしても避けられず,出血の制御に手間取
ることもしばしばです.熟練するには相当数の症例の経験が要求され,
難易度の高い手術は一般化が阻まれる事態にもなっていました.多
くの手術術式のなかにおいて婦人科で最も高頻度な手術術式は,産科
での帝王切開術と並び,世界中どこでも子宮全摘術です.しかし,教
育体制の不完全さから,腹式手術はできても腟式手術はできない施設
があったり,腹腔鏡で補助した術式も,ある特定の術者や施設でしか
できないという制約があるのも事実であります.
 そのような状況のなか,この問の手術器械の進歩によって,
electric surgeryの可能性が広がっています,電気メスなどの領域も
凝固と切開の時代から,止血に有用なスプレー凝固の登場,最近では
bipolar scissorsを用いて切開しながら凝固も行いつつ手術を進める
器具が開発され,さらに単回使用ではありますがLigaSure(TM)などの特殊な電気的血管凝固機器が開発され,腹腔鏡下手術での応用が盛んになってきています.
 これらの電気的手術機器の目的は,手術をいかに安全かつ低侵襲に行うかであり,結果として無駄な用手的結紮・切断を省くsuture-less surgery(少結紮あるいは無結紮手術)を目指したものであります.

                          (寒河江悟)