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書籍詳細

失語症言語治療の基礎診断と治療社 | 書籍詳細:失語症言語治療の基礎
診断法から治療理論まで

紺野 加奈江(こんの かなえ) 著

初版 A5判 並製 202頁 2001年09月07日発行

ISBN9784787811585

定価:本体3,500円+税
  

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学生および経験の浅い言語聴覚士を対象に,患者の病状を効率良く把握し,適切な治療プログラムを素早く導き出すためのコツとポイントを,実践に則して簡潔明解に解説する.

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目次

第1章 失語症の基礎知識
 A.失語症の定義
 B.大脳構造の基礎知識
 C.高次脳機能の基礎知識
 D.言語モデルの基礎知識
 E.言語とコミュニケーション障害
 F.失語症の症状の基礎知識

第2章 失語症のタイプ分類
 A.古典的分類
 B.皮質下性失語について
 C.失語症周辺の言語障害
 D.特殊な失語症
 E.その他の失語症
 F.言語聴覚士Schuellの失語症分類

第3章 失語症の評価
 A.評価の枠組
 B.評価の流れ
 C.インテーク面接(初回面接)
 D.鑑別診断
 E.掘り下げ検査:治療計画を立てるための評価
 F.その他の高次脳機能障害の評価
 G.画像診断

第4章 失語症の言語治療
 A.言語治療の背景
 B.急性期の言語治療
 C.慢性期の言語治療
 D.治療計画
 E.訓練の流れ
 F.言語訓練法の理論的枠組み
 G.各種訓練法
 H.仮名文字訓練法
 I.言語運用の訓練
 J.拡大・代替コミュニケーション(AAC)
 K.グループ訓練

第5章 発語失行
 A.Brocaと“aphemie(構音不能)”
 B.Marieと“anarthrie(重度の構音障害)”
 C.発語失行とDarley
 D.鑑別診断
 E.発語失行の特徴
 F.“外国なまり(foreign accent)”症候群と発語失行
 G.発語失行と流暢性評価
 H.発語失行と口腔顔面失行
 I.発語失行の責任病巣
 J.症状分析
 K.訓練
 L.予後

参考文献
索引

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序文

 「言葉はどのようにして発せられるのであろうか」という言語学専攻の学生時代の素朴な疑問の答えを求めて,気がつくと失語症言語治療の世界に迷い込んでいました.言語聴覚士の国家資格ができてこの数年,言語聴覚士になろうと入学して来た学生の皆さんをみていて感じることは,短時間に消化しなければならないことが多すぎるためか,ともかく覚えることに必死で,「何故そうなのか」と問う余裕がないことです.しかし,失語症言語治療の臨床で最も必要となるのは丸覚えの知識ではなく,個々の患者に適したオーダーメードの訓練を組み立てる強固な論理性と柔軟な発想です.この意味するところは決して先達が蓄積してくれた知識を無視することではなく,むしろこれを使いこなすことにあります.
 本書の目的は,その膨大な先達の知識を客観的に収集することではなく,むしろ最小限の基礎知識と道具である検査の本質を知り,これを使いこなして如何に効率的に患者の症状を評価するかにあります.的確に患者の症状を把握できれば,おのずと適切な治療プログラムは導き出されるからです.
 執筆に当たってもう一つ強調したかったことは,脳は全体として機能しているのであり,言語症状に終始していたのでは不十分だということです.言語治療の目的はあくまでコミュニケーション能力を高めることであり,コミュニケーションは言語だけでなく,その他の高次脳機能との総合的結果として生まれるものだからです.
 本書は読者として,初めて失語症言語治療学を学ぶ学生や一人職場で働く経験の少ない言語聴覚士を想定しています.そのため,参考文献は必要最小限に留め,表現も誤解を恐れず断定的なものにしました.また,インテークシート等,臨床ですぐに必要となるもののサンプル,市販されていない検査の検査法を掲載しました.これらの道具を自由に使いこなし,「何故この訓練法なのか」を常に自問自答できる臨床家であってもらいたいと願っています.
 最後に,筆者を教え育んで下さった諸先生方,励まし支えてくれた友人と家族,忍耐強くお世話下さった出版社の皆さんに心から感謝します.