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脳腫瘍の病理と臨床改訂第2版診断と治療社 | 書籍詳細:脳腫瘍の病理と臨床改訂第2版

福井大学医学部脳脊髄神経外科教授

久保田 紀彦(くぼた のりひこ) 監修

福井大学医学部脳脊髄神経外科・手術部 准教授

佐藤 一史(さとう かずふみ) 編集

改訂第2版 A4判変型 上製 340頁(全ページカラー印刷) 2008年05月25日発行

ISBN9784787814951

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定価:本体23,000円+税
  

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脳腫瘍のWHO分類改訂を踏まえ,初版刊行後6年間に蓄積された 新知見,特に分子生物学領域の知見を豊富・詳細に盛り込み, 初版で不足していた病理組織写真を多数追加し,可能な限りき れいな病理組織写真の集大成を図った.脳神経外科医のみに留 まらず,神経内科医,神経放射線科医,一般病理医にとっても 必読の書である.

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目次

目次

改訂に寄せて

初版の序文

■脳腫瘍総論
 1.分類   
 2.頻度
 3.悪性度,予後
 4.小児の脳腫瘍
 5.高齢者の脳腫瘍
 6.診断
  1)臨床診断
  2)病理診断(光顕)
  3)病理診断(免疫染色)
  4)病理診断(電顕)
  5)分子生物学
 7.鑑別診断
 8.治療

■各論
 1.星細胞由来の腫瘍
  1.びまん浸潤性星細胞腫
   1)びまん性星細胞腫
   2)退形成性星細胞腫
   3)膠芽腫
   4)巨細胞膠芽腫
   5)膠肉腫
  2.星細胞腫astrocytomaの限局型
   1)毛様細胞性星細胞腫
   2)上衣下巨細胞性星細胞腫
   3)多形黄色星細胞腫
  3.大脳膠腫症
  4.星芽腫
  5.脊索腫様膠腫
  6.原発性髄膜膠腫症
  7.新たに提唱されたneuroepithelial tumors
  8.視神経膠腫
  9.脳幹部神経膠腫
  10.家族性神経膠腫
 2.乏突起膠細胞由来の腫瘍
 3.上衣細胞由来の腫瘍
  1.上衣腫
  2.粘液乳頭状上衣腫
  3.上衣下腫
 4.脈絡叢乳頭腫
 5.神経細胞由来の腫瘍
  1.神経節膠腫,神経節細胞腫
  2.嗅神経芽腫
  3.神経細胞腫
  4.dysembryoplastic neuroepithelial tumor(DNT),胚芽異形成性神経上皮腫瘍
  5.desmoplastic infantile ganglioglioma(DIG)
  6.傍神経節細胞腫
  7.papillary glioneuronal tumor(PGNT)
  8.rosette-forming glioneuronal tumor of the fourth ventricle
 6.松果体実質細胞由来の腫瘍
 7.胎児性腫瘍
  1.髄芽腫
  2.supratentorial primitive neuroectodermal tumor(PNET)
  3.上衣芽腫
  4.大脳神経芽腫
  5.atypical teratoid/rhabdoid tumor
  6.髄上皮腫
 8.脳神経,末梢神経由来の腫瘍
  1.神経鞘腫
  2.神経線維腫
 9.髄膜性腫瘍
  1.髄膜腫
  2.血管外皮腫
  3.原発性頭蓋内悪性黒色腫
  4.孤在性線維性腫瘍
  5.形質細胞肉芽腫
 10.胚細胞性腫瘍
  1.胚細胞腫
  2.奇形腫
  3.卵黄嚢腫瘍(内胚葉洞腫瘍)
  4.胎児性癌
  5.絨毛癌
 11.胎生期遺残組織由来の腫瘍,先天性腫瘍
  1.頭蓋咽頭腫
  2.ラトケ裂嚢胞
  3.類上皮腫
  4.類皮腫
  5.脊索腫
    ecchordosis physaliphora
  6.脂肪腫
  7.視床下部過誤腫
  8.コロイド嚢胞
 12.下垂体腫瘍
  1.下垂体腺腫
  2.下垂体後葉腫瘍
  3.spindle cell oncocytoma of the adenohypophysis
 13.血管芽腫
 14.造血器系腫瘍
  1.悪性リンパ腫
  2.組織球症
   1)histiocytosis X
   2)Rosai-Dorfman症候群
 15.肉腫
  1.横紋筋肉腫
  2.平滑筋肉腫
  3.軟骨肉腫
  4.線維肉腫
 16.頭蓋骨・軟骨腫瘍
  1.良性の頭蓋骨・軟骨腫瘍
  2.悪性の頭蓋骨・軟骨腫瘍
 17.転移性脳腫瘍
 18.遺伝性疾患と神経系腫瘍
  1.神経線維腫症Ⅰ型
  2.神経線維腫症Ⅱ型
  3.Turcot症候群
  4.Cowden病,multiple hamarthoma and neoplasia syndome, Lhermitte-Duclos症候群
  5.Gorlin症候群
  6.Li-Fraumeni症候群
  7.von Hippel-Lindau病
  8.結節性硬化症
  9.multiple endocrine neoplasia(MEN)症候群,多発性内分泌腫瘍症候群
  10.rhabdoid predisposition syndrome
  11.Carney complex(syndrome)
  12.melanoma-astrocytoma syndrome
 19.放射線誘発性脳腫瘍
 20.脊椎・脊髄腫瘍
 21.眼窩内腫瘍

索引

著者略歴

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序文

改訂に寄せて


 「脳腫瘍の病理と臨床」の初版から5年が経過した.初版以来,
この本に対する多くのご批判を,また組織写真の出来栄え,詳細
な文献的考察などは多くの称賛を頂いた.しかし,本のサイズや
価格などを含めた問題点も指摘された.これらをできるだけ改善
し,5年間に蓄積された業績を追加し,第2版を出版することがで
きた.
 最近の脳腫瘍病理の最も大きな出来事は,脳腫瘍のWHO分類が改
訂され,4回目のBlue Bookが2007年に発刊されたことである.大
筋では大きな変化はみられないが,新たな腫瘍概念が7項目も取り
上げられ,特にneuroglial tumorsに新しい腫瘍名が多い.これら
は,ほとんどがまれなものであるが,臨床家としても新しい腫瘍
概念は理解しておかねばならない.本書では,これらの腫瘍の組
織図は一部しか取得できないので,その他は解説に留めた.詳し
くは,Blue Bookを参照されたい.Blue Bookの末尾に連ねられた
名誉ある文献をひもとくと,日本人の原著が約10%を占めており,
その貢献度に驚嘆する.これは編集者グループへの留学歴の関係
もあり,公平な評価ではないかもしれないが,日本人が脳腫瘍病
理の分野で国際的な業績を挙げている確かな証拠である.
 本書の特徴は,脳神経外科医が日常診療で得られた脳腫瘍の臨
床画像や手術所見を参考に,病理組織写真を作成し,集大成した
ことである.この作業のためには,日常遭遇する平凡な所見でも
何か新しいものが潜んでいないかを探索する新鮮な視点が必要で
ある.私は,砂浜の小さな平凡に見える石ころでも,扱う人によ
り,宝石になる物がいくつか潜んでいることを口癖にしている.
組織所見は誰の目にも同じ姿を現すので,平等の立場で論ずるこ
とができる.しかし,光顕用に固定された組織を電顕で観察する
と,驚くほど細胞破壊が著しい.このようなものを様々な物質を
付けて染色しても,その実態を把握するには限界がある.神経組
織は,即座に固定しないと人工産物が作られやすい.特に神経細
胞や,ある種の神経膠細胞はその傾向が強い.私どもは,このよ
うな脳腫瘍組織診断時の弱点を克服するよう努力し,組織標本を
作製し染色した.今回の改訂では初版で不足していた組織図を追
加し,また特に最近進歩の著しい分子生物学分野の知見を加筆し
た.また,腫瘍の実態をより詳細に示す電顕所見も初版同様でき
るだけ掲載した.本書は,脳神経外科医だけでなく,日常診療や
研究で脳腫瘍に接する機会のある神経内科医,神経放射線科医,
一般病理医にも利用して頂けるように工夫したので,広い分野で
活用いただけるものと期待している.
 本書の作成にあたり,稀少な症例の画像や病理組織を提供して
頂いた,金沢大学脳神経外科の濱田潤一郎教授,林 裕准教授,
広島大学脳神経外科の栗栖 薫教授,杉山一彦准教授,岐阜大学
脳神経外科の岩間 亨教授,福井県済生会病院脳神経外科の宇野
英一部長,ならびに本書の編集にご尽力頂いた診断と治療社に深
甚の謝意を表します.

2008年2月4日 立春の空を仰いで 久保田紀彦