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書籍詳細

災害・健康危機管理ハンドブック診断と治療社 | 書籍詳細:災害・健康危機管理ハンドブック

神戸大学大学院医学系研究科災害・救急医学教授

石井 昇(いしい のぼる) 編集

富山大学大学院医学薬学研究部危機管理医学(救急・災害医学)教授

奥寺 敬(おくでら たかし) 編集

自衛隊中央病院内科部長

箱崎 幸也(はこざき ゆきや) 編集

初版 B5判 並製 336頁 2007年05月20日発行

ISBN9784787815316

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定価:本体5,200円+税
  

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化学・生物・放射線・核・爆弾など種々のテロ災害,大地 震,津波,台風,竜巻,洪水,火山噴火,工場・危険物質事 故,群集事故,列車事故,航空機事故,大規模火災,海難事 故,集団感染等に対する健康危機管理システムの構築・基本 戦略を,専門医の立場から詳解したスペシャルテクニック満 載の,時宜を得た待望の書

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目次

Contents

災害・健康危機管理ハンドブック

はじめに…………………………………………………………西山正徳                    

序章 わが国の災害・健康危機管理システムの構築に向けて
    …………………………………………………………石井 昇

第1章 総 論

 1 災害総論…箱崎幸也/桑原紀之
 2 災害・健康危機管理の定義と基本戦略………………郡山一明
 3 クライシス・マネジメント-1 
   災害/テロ発生時の被災現場での対応………………箱崎幸也
 4 クライシス・マネジメント-2 
   地域保健(保健所等)における健康危機管理対応…角野文彦
 5 災害・健康危機管理におけるリスク・コミュニケーション
   ………………………………………………箱崎幸也/黒瀬琢也

第2章 災害・健康危機管理の計画/調整/実行

 6 対処計画の策定 災害/健康危機時の病院での対処計画
   ……………………………………………………………石井 昇
 7 災害医療援助チーム(DMAT, US&R)とその活動……本間正人
 8 トリアージ/応急処置……………………中尾博之/石井 昇
 9 患者搬送と災害時の後方支援…………………………越智文雄
 10 がれきの下の医療(閉鎖空間での医療)……………中山伸一
 11 災害時の心理……………………………三谷智子/岡本美佐子
 12 災害・健康危機管理における災害看護
   ……………………………………………三谷智子/岡本美佐子
 13 マスメディアの立場からみた災害・健康危機管理
   ……………………………………………………………中村通子

第3章 自然災害

 14 地震…………………………………………石井 昇/箱崎幸也
 15 津波………………………………………………………箱崎幸也
 16 風水害(台風,竜巻と洪水・雨害)総論……………箱崎幸也
 16-1 台風……………………………………………………箱崎幸也
 16-2 竜巻………………………………………浅井康文/森 和久
 16-3 洪水・雨害……………………………………………箱崎幸也
 17 火山噴火…………………………………………………箱崎幸也

第4章 人為災害

 18 工場/危険物質事故……………………………………宮本俊明
 19 群集事故(マス・ギャザリング医学)………………奥寺 敬
 20 列車事故…………………………………………………中山伸一
 21 航空機事故…………………………………箱崎幸也/花田隆造
 22 大規模火災………………………………………………齋藤大蔵
 23 海難事故…………………………………………………奥寺 敬

第5章 特殊/テロ災害

 24 化学テロ対処―意図的な化学災害
   (intentional chemical disaster ; ICD)
   ………………………………………箱崎幸也/山本 都
 25 生物剤テロへの対処……………………………………箱崎幸也
 26 放射線/核………………………………………………浅利 靖
 27 爆発・爆弾テロへの対処…………………後藤義孝/箱崎幸也

第6章 集団感染等に関わる健康危機管理

 28 集団感染症対策の理論……………………田中良明/佐藤 元
 29 症候別の感染症対策………………………田中良明/佐藤 元
 30 集団予防接種による副作用発生事例…………………郡山一明
 31 complex emergencies(紛争国での難民支援)………作田英成

第7章 教育・訓練

 32 医学部での教育……………………………奥寺 敬/丹下大祐
 33 看護師課程での教育………………………三谷智子/林美千代
 34 初動対処要員への教育…………………………………井 清司
 35 災害対処訓練の概要と訓練事例…………後藤義孝/箱崎幸也
 36 バイオテロ対処訓練……………………………………岩崎惠美子

〈付録〉災害・健康危機管理 用語集………………………箱崎幸也

索引

おわりに………………………………石井 昇/奥寺 敬/箱崎幸也

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序文

はじめに

 2001年米国同時多発テロ以降,国際的には中東を中心にテロ
行為が続き,いまだイラク情勢は混沌とした状況が続いている.
わが国では,中越地震・福岡県西方沖地震や台風/竜巻による
自然災害をはじめ,JR福知山線脱線事故の人為事故,さらには
鳥インフルエンザ・ノロウイルス感染をはじめ多くの健康危機
事案が頻発している.2007年3月25日には,能登半島地震にて
死者1人,傷病者278人の被害が発生し,わが国では“地震はい
つどこで起きるかわからない”ことが再確認された.2007年1月
の宮崎県清武町・日向市や岡山県高梁市での鳥インフルエンザ
(H5N1)発症や,インドネシアを中心とした鳥インフルエンザ
のヒトへの感染症例の増加などから,新型インフルエンザのパ
ンデミックの出現も間近と考えられている.一方,世界では,
国際的なテロ脅威は依然として深刻であり,アフガニスタンに
おけるアル・カーイダの炭疽菌研究所の発見や“ジュマ・イス
ラミーヤ(JI)”の化学・生物兵器マニュアルの存在等から,
イスラム過激派の化学・生物テロに対する関心は明確である.
さらにテロ組織が,放射線源(医療用,産業照射用)と爆弾を
組み合わせたダーティ爆弾によって,市民の恐怖心や社会・経
済的混乱を目的に使用される危険性が指摘されている.
 東京地下鉄サリン事件や阪神・淡路大震災以降,わが国では
厚生労働省を中心に人為・自然災害だけでなくNBC(nuclear;
核,biological;生物剤,chemical;化学剤)テロ対処にも多
くの取り組みがなされてきた.災害への具体的対策として,広
域災害救急医療情報システム(EMIS)や災害医療派遣チーム
(DMAT)などが整備され,また,健康危機管理では,“NBCテロ
対処現地関係機関連携モデル”,“新型インフルエンザ行動計
画(2007年3月)”の策定など大きく前進してきている.しかし,
消防と医療の連携やさらなるNBC対処の深化など多くの課題があ
る.
 今後の災害や健康危機時に迅速に対応し,被害を最小限に食
い止めるためには,医療関係者だけでなく消防・警察・自衛隊
の初動対処要員の連携は不可欠である.この連携によって,平
素からの連絡調整会議や訓練の開催によって,より実践的な対
処計画の作成が可能である.災害やテロ事案だけでなく,新型
インフルエンザのパンデミックなどでも同様の対処要領が求め
られる.

 本書は,多くの災害や健康危機対処を事例から専門的知識を
わかりやすく解説したハンドブックであり,災害や健康危機に
関わる人々に必須のマニュアルでもある.平易な文章や図表で
構成されており,医学部学生や看護学生,さらに市民の健康確
保という責務を負っている医療従事者や初動対処要員の最適な
入門書である.本書をもとに,あらゆる災害・健康危機対処で
関係機関同士の密な連携によって,実践的な救援活動が可能に
なることを期待したい.

2007年4月
厚生労働省技術総括審議官(健康危機管理担当) 西山正徳


おわりに

 わが国では,1995年の阪神・淡路大震災以後,災害や大規模
事故などが多発し,気の休まる暇もなく人々の健康を脅かす事
態が続発している.大震災を契機にして,大学医学部や医科大
学に災害/救急医学講座が設置されるようになり,災害・健康
危機管理に関する教育や研究が開始されることとなったが,一
部の大学で自前の資料などで教育・訓練を実施されているにす
ぎない.一方,米国では約200医科大学の約半数に災害医学講
座があり,さらに米国医師会では医師の生涯教育に健康危機管
理教育が取り込まれている.
 最近,危機管理意識の高い地域では積極的に災害訓練に取り
組まれたり,災害関連の学会等でのセミナーなどが多く開催さ
れるようになってきているが,わが国では医療従事者に対して
災害医療を包括した健康危機管理事案への教育はほとんどなさ
れていない.
 現在,南山堂から山本保博ほか(監)『災害医学』(2002年)
が発行されているが,この書籍は,内容的に初心者にはむずか
しく,また健康危機管理は網羅されていない.
 したがって,災害医療を包括した健康危機管理事案への教育
を実施するためには,質の高い理解しやすい入門書/教科書が
求められていた.さらに医師や看護師の国家試験でも,トリア
ージに関する問題が出題されており,今後,健康危機管理に対
する教育は医学・看護学生のみならず,現役の医師・看護師な
ど多くの医療従事者に求められている.
 以上のような状況を踏まえ,われわれは今回,主として医学
生・看護学生を対象とした入門書としての本書『災害・健康危
機管理ハンドブック』を企画した次第である.
 本書の読者対象として,上記の医学生・看護学生に留まらず,
災害医療を包括した健康危機管理教育は地方公共団体の防災担
当者や保健所職員など,幅広く健康危機問題に関わる人たちに
も必須の教科書として歓迎されれば,編集者としては望外の喜
びである.
 最後に,われわれ編集者の要望を御快諾賜り,優れた玉稿を
寄せていただいた各分野の専門家であられる御執筆の先生方に
は,この場を借りて深甚の謝意を表するものである.

2007年4月5日


神戸大学大学院医学系研究科災害・救急医学教授 石井 昇
富山大学大学院医学薬学研究部危機管理医学(救急・災害医学)
教授 奥寺 敬
自衛隊中央病院内科部長 箱崎幸也