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書籍詳細

アトラスてんかんの発作間欠期・発作時脳波を読む診断と治療社 | 書籍詳細:アトラスてんかんの発作間欠期・発作時脳波を読む

静岡てんかん・神経医療センター臨床研究部長

高橋 幸利(たかはし ゆきとし) 編集

初版 B5判 並製 220頁 2007年10月25日発行

ISBN9784787815569

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定価:本体5,800円+税
  

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初学者,中堅医師を対象に,てんかん症候群におけるあらゆる病 態の脳波記録を網羅的に掲載し,それらの個々について,詳細で わかりやすい脳波判読のエッセンスとポイントを伝授.経験豊富 な専門医の,とっておきのスペシャルテクニックを披瀝.また随 所に置かれたミニレクチャーやワンポイントアドヴァイスは極め て貴重な知識の宝庫となろう.

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目次

アトラス てんかんの発作間欠期・発作時脳波を読む
Contents

推薦文…………大塚頌子
序 文…………高橋幸利
執筆者一覧
第1部 総  論
 A 脳波の基本と留意点…………八木和一
 B 基礎波・睡眠波の発達変化とその異常……………重松秀夫
 C 突発性異常波……………………………大谷早苗/高橋幸利
 D 正常人にみられる突発波……………………………鈴木雄治
 E 光刺激で誘発される脳波異常………………………高橋幸利
 F 過呼吸で誘発される脳波異常………………………池田 仁
 G 睡眠で誘発される脳波異常…………………………梅岡秀一
 H デジタル脳波記録解析のテクニック………………寺田清人
第2部 各  論
 A 局在関連てんかん
  1 特発性
   中心・側頭部に棘波をもつ良性小児てんかん
     ……………………………………………………森川建基
   後頭部に突発波をもつ小児てんかん……………池田浩子
  2 症候性
   側頭葉てんかん……………………………………日吉俊雄
   前頭葉てんかん……………………………………馬場好一
   頭頂葉てんかん……………………………………臼井直敬
   後頭葉てんかん……………………………………臼井桂子
   小児の慢性進行性持続性部分てんかん…………鳥取孝安
 B 全般てんかん
  1 特発性
   良性家族性新生児けいれん………………………大谷英之
   良性新生児けいれん………………………………大谷英之
   乳児良性ミオクロニーてんかん…………………福島克之
   小児欠神てんかん…………………………………重松秀夫
   若年欠神てんかん…………………………………寺田清人
   若年ミオクロニーてんかん………………………田中正樹
   覚醒時大発作てんかん……………………………田中正樹
   その他の特発性全般てんかん……………………田中正樹
  2 潜因性・症候性
   West症候群…………………………………………藤原建樹
   Lennox‐Gastaut症候群…………………………久保田裕子
   ミオクロニー失立発作てんかん………………久保田裕子
   ミオクロニー欠神てんかん……………………久保田英幹
  3 症候性
   早期ミオクロニー脳症…………………………二階堂弘輝
   サプレッション・バーストを伴う
     早期乳児てんかん性脳症……………………二階堂弘輝
 C 焦点性か全般性か不明なてんかん
  1 全般性・焦点性発作の両方をもつもの
   新生児発作…………………………………………小田 望
   乳児重症ミオクロニーてんかん(Dravet症候群)
     ………………………………………四家達彦/藤原建樹
   徐波睡眠期に持続性棘徐波(CSWS)を示すてんかん
     ……………………………………………………井上有史
   後天性てんかん性失語(Landau‐Kleffner 症候群)
     ……………………………………………………井上有史
 D 特殊症候群……………………………………………下村次郎
  1 状況関連性発作(機会性発作)
   熱性けいれん
   単独発作あるいは単発のてんかん重積症
   急性代謝障害あるいは急性中毒のときに起こる発作
第3部 付  録
 A 脳波を読むための画像情報の活かし方
     ……………………………………………………松田一己
 B 脳波と脳磁図…………………………………………芳村勝城
 C 脳波と誘発電位………………………………………江川 潔
 D よりよい脳波記録のための検査テクニック………石原礼子
 E 長時間脳波検査に耐えられる電極装着法
   (当院で行われている装着の一例)………………佐藤哲也

 和文索引
 数字索引/欧文索引

Mini Lecture
lazy activityとは
広汎性α波(diffuse α activity)
subclinical discharge(脳波上の発作)
Roland発射(RD)の出現時期は?
photoparoxysmal response(PPR)とは
scotosensitivityとは
過呼吸による脳波変化の評価のポイント
てんかん焦点の決定に有用なIctal DC shift
BECT症候群の概念と歴史
BECTに対する治療の考え方
Panayiotopoulos症候群
Panayiotopoulos型の突発波
内側側頭葉てんかん
体性感覚発作
後頭葉の機能と解剖学
半球離断(hemispherotomy)
thta pointu-alternant
良性新生児けいれんの症候群名に関する議論
ピクノレプシー(pyknolepsy)
小児欠神てんかん(CAE)の除外基準(LouiseauとPanayiotopoulos)
JAEにおける脳波の除外基準
脱同期
Lennox−Gastaut症候群(LGS)の脳波の変化
ミオクロニー失立発作てんかん(MAE)難治化の危険因子
absence with myoclonias (myoclonic component)とmyoclonic absence
eyelid myoclonia with absence (Jeavons syndrome)
perioral myoclonia with absence (Panayitopoulos)
S-Bパターンの病態生理
光突発反応(photoparoxysmal response)
てんかん性脳症とは
てんかん脳波を治療する?
電流発生源の推定
体性感覚誘発電位皮質成分の名称
体性感覚誘発電位皮質成分と解釈

One Point Adovice
脳波と薬物
過呼吸施行時のポイント
build up
高周波成分の除去
CRTの解像度
BECTの患者・家族への説明
ミオクロニー発作とは
ミオクロニー発作と類似した発作との鑑別診断
定型欠神発作(TAS)の発作時脳波
CAE,JME,JAEの周波数
全般性遅棘徐波複合
転倒を伴う発作
単純欠神(simple absence)と複雑欠神(complex absence)
EMEにおいて強直性攣縮をみたとき
S-Bパターンの意義
脳波から情報を得るには覚醒脳波だけでは不十分
睡眠時に多発する異常脳波をみたら
エトスクシミドとスルチアムは古くて新しい抗てんかん薬
非放射性の機能的画像診断
電気生理と神経画像の融合
よりよい誘発電位記録を得るために
検査中input impedanceを10kΩ以下に保つための参考事項
脳波室内の機器使用

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序文

推薦文

 てんかんは数多くのてんかん症候群から構成され,それぞれが特
徴的なてんかん性脳波異常を示します.特に小児てんかんでは,様
々な脳波異常がその病態や年齢を反映しながら多彩に展開していく
ので,脳波をみながら患者の脳の中でどのような現象が時々刻々進
行しているか想像することは,極めてスリリングな経験です.この
ようにリアルタイムに脳内の変化を追うことができる検査は,脳波
以外にはありません.最近はデジタル脳波が普及して,脳波の判読
はさらにおもしろくなってきました.脳波記録のあとにオフライン
でモンタージュを変えたり,アーチファクトを取り除いたりして,
果たしてどこからどのような異常が起きているのかをより詳細に探
ることもできるようになりました.
 一方,てんかんの診療,研究に新たな画像検査や分子遺伝学的お
よび生化学的手法が取り入れられるようになってきました.これら
は,てんかんを多面的に分析する重要な手段ですが,てんかんはも
ともとelectroclinicalなアプローチを基盤に理解され,分類されて
きた疾患であり,てんかんの診療において,脳波は最も重要な検査
法であることにかわりありません.
 筆者のように長年にわたり脳波を最大の武器としててんかん患者
を診療してきた者にとっては,最近,脳波の価値がともすれば忘れ
られがちな傾向は残念でなりません.その理由はやはり脳波が取っ
つきにくい,すなわち脳波の判読の修練に時間がかかることがあげ
られます.しかし,どのてんかん症候群でどのようなてんかん性変
化が起こるかという概要がある程度わかりはじめると,脳波の判読
がぐっと身近になり,おもしろくなってきます.ところが,臨床の
現場では,一人でそこまで辛抱強く経験を重ねることがむずかしい
現状もあります.そこで大きな助けになるのが今回出版された『ア
トラス てんかんの発作間欠期・発作時脳波を読む』です.
 本書には静岡てんかん・神経医療センター〔旧国立療養所静岡東
病院(てんかんセンター)〕で経験された多くの患者の実際の脳波
が,その病歴とともにエッセンスとして提示され,様々なてんかん
症候群の代表的な脳波所見が丁寧に解説されています.てんかんセ
ンターはわが国で初めててんかん専門のセンターとして設立され,
長年にわたりわが国のてんかん診療と研究を牽引してきた歴史があ
ります.そこで得られた膨大な資料のなかから,これぞと思う脳波
を選りすぐってアトラスとして出版したことの意義は大きいと思い
けるてんかん診療の様子を見るような気がするとともに,同じくて
んかん診療に携わる者として,てんかんという疾患にさらに興味が
つのってきます.てんかんに興味をもちはじめてまだ経験の浅い人
々ばかりでなく,すでにてんかんの診療に携わっておられる多くの
人々にとっても,大変参考になる書物として自信をもって推薦する
ことのできる一冊であります.

2007年初秋
岡山大学大学院医歯薬学総合研究科発達神経病態学(小児神経科)
 大塚頌子




序  文

 日本人の8.8%が熱性けいれんを経験し,0.8%がてんかんを患って
いると考えられていて,読者の皆さんが,初期研修から後期研修あ
るいはその後の専門医療のなかで,脳波を読む機会はかなり多いと
思われます.最近では,高齢化に伴い,脳血管障害等の合併症とし
ての高齢者のてんかんが増えてきており,80歳以降のてんかん発病
率は乳幼児期と同等あるいはそれ以上となり,100人/year/10万人口
のレベルです.よって,成人内科領域でも脳波を判読する知識の習
得が不可欠となってきています. 静岡てんかん・神経医療センタ
ーでは,てんかんに関する医学知識の普及のため,若手医師向けに
“てんかん学研修セミナー”というセミナー方式の研修を年2回開催
し80名程度,“Epilepsy exposure course(てんかん研修初期コー
ス)”という個人研修で年間20名程度,“臨床研究部外部研究員に
よる不定期個人研修”で年間10名程度,研修生を受け入れてきてい
ます(静岡てんかん・神経医療センターホームページ
http://www.epilepsycenter.jp/07/07−4.htm).
参加された方にうかがうと,てんかん診療のなかでお困りの点とし
ては“脳波判読がむずかしい”,“自信がない”という声が,最多
です.筆者自身も静岡てんかん・神経医療センターに来るまでは,
脳波が(も)苦手で,読んでいると睡魔に襲われたのを昨日のこと
のように思い出します.
 若手医師に脳波に対する苦手意識が生まれる理由の一つは,
“典型的なてんかん性異常波の判読経験が乏しく,異常波判読を先
輩医師に確認してもらえる機会が少ない”ことによると,筆者は考
えます.一般病院では,①典型的なてんかん性異常波を有する患者
さんが少ない,②アナログ脳波のためアーチファクトなどが除去で
きず,典型的なてんかん性異常波を見つけにくい,③小児では睡眠
薬等で深睡眠になってから脳波検査を開始するため,典型的なてん
かん性異常波が出やすい軽睡眠期を記録していないことなどが,経
験を少なくする原因と推測しております.
 本書においては,若手医師等のてんかん性異常波の典型例の判読
経験の乏しさを補うべく,当センターで記録された“典型的てんか
ん性異常波”を,てんかん症候群ごとに発作間欠期・発作時脳波に
分けて数多く掲載し,その読み方を“こう読む”という図において
矢印等を用いて,初心者にもわかるように丁寧に説明しています.
本書に掲載された典型的な脳波異常をパターン認識していただき,
日常診療での脳波判読に活かしていただきたいと思います.また,
てんかんを専門とされる先生方においては,豊富な発作時脳波記録
等を活かして,さらなるてんかん脳波についての理解を深めていた
だければ幸いです.また,てんかん指導医の先生方には,これまで
若手医師の指導にあたって,古い脳波記録を倉庫から探し出す手間
があったかと思いますが,てんかん症候群を網羅した脳波アトラス
として,本書を指導に役立てていただければ幸いに存じます.
 最後にあたり,この本の出版のために貴重な時間を割いてくださ
った院内・院外の著者の方々に,厚くお礼を申し上げたいと思いま
す.また,出版の機会を与えていただきました診断と治療社編集部
の堀江康弘さん,小岡明裕さん,寺町多恵子さんに敬意を表したい
と思います.
 この本が多くの脳波にかかわる人々の座右の書となり,てんかん
日常診療に大きな貢献をしてくれるものと期待しています.

2007年9月 野鳥の楽園,漆山にて
静岡てんかん・神経医療センター臨床研究部長・小児科 高橋幸利